コーヒー1㎝の謎、解けました。
私は1㎝ほどコーヒーを残す癖がある。
どうして残してしまうのか自分でもよくわかっていない。
決してそのコーヒーが美味しくないわけではないのだが、なんか残してしまう。
──1㎝。
例えば大好きな某バックス。
サンドイッチやスイーツのお供に必ずドリップを頼むのだが、やっぱりいつも残っている。
ところが、こちらのコーヒーショップのスペシャルティコーヒーだけは、その私のよくわからない1㎝の癖が出ないのだ。
自分でも驚きだ。
きっと、何かそこには理由があるはずだ。
***
私はいつも1日に2回コーヒーを飲む。
◾️1回目◾️全ての朝のルーティンを終えた時
朝ごはんを作り、夫と長男のお弁当を作り、洗濯機を回し、お風呂掃除をして、お化粧をする。それから洗濯物を干し、次男を送り、ソフトフラフープをミセスの曲を聴きながらブンブン10分間回し、朝ごはんを食べる。食器を洗い、現在不登校の長男を居場所に車で送って帰宅して……
やっと訪れるコーヒーTime。
在宅勤務の夫がコーヒーメーカーで私の分も淹れておいてくれる。
コーヒーメーカーの上に置いてあるマグカップが、ほんのり温かい。
「おつかれさま」そう言われているみたいだ。
マグカップにコーヒーを注ぎ、お供のスイーツを選ぶ。
テーブルの上にそれらを置き、椅子に座る。
マグカップのふちに鼻を近づけ、香りを吸い込む。
甘くて優しい香りが私を巡る。
一口ゴクンと口に含み、私は、ふぅ......とため息をつく。
はぁ......美味しい。
時刻は10時。やっと訪れる静寂と安堵の時間。
その時間にコーヒーは欠かせない。
今日のコーヒーは、こちら。

なんのはなしです珈✖️TABBY’s COFFEEコラボブレンド
【moonlight Donkey】〜秋の夜長ブレンド〜
毎回コーヒー豆と一緒に物語が届く。
今回は、私の物語を選んでいただいた。

私と夫の出会いを書いた。
ものすごく嬉しい。
ありがとうございます。
苦しかった日々も、夫と出会ったことでそれは遠い過去になり、それを今こうしてコーヒーを飲みながら物語として読む時が来るなんて、思いもしなかったなぁ。
ゴクン。
美味しいなぁ、TABBY’sさんのコーヒー。
口当たりが良くて、本当に飲みやすい。
前回のルワンダの雫〜ほっこりブレンド〜はフルーティで爽やか。
今回は甘みを帯びた丸い味わいがした。
その甘くて優しいコーヒーが沁みていく。
最高の時間。
気がつくと、全部飲み干していた。
あ、──1㎝残ってない。
美味しかったなぁ。
もっと飲みたいなぁ。
時計を見るともう迎えの時間になっていた。
......行かなくちゃ。
私は空っぽのマグカップをシンクの中に置いた。
***
◾️2回目◾️息子たちの送迎から解放された時
「今からお母さんの時間だから!」
本日2回目のコーヒーTimeを前に、私は叫んだ。
この台詞の向こう側にある感情。
それは──
朝から息子たちの送迎人生。
やっと解放されたんだから今からはお母さんの好きなことやらせてくれ?
話しかけてくれるな?
兄弟喧嘩巻き込んでくれるな?
頼んだぞ?
私は強めの圧を台詞に込めた。
時刻は15時を回っていた。
そろそろ2階から夫が休憩をしに降りてくるはずだ。
夫にコーヒーを淹れて欲しいがために、今すぐコーヒーを飲みたい気持ちをいつもぐっと我慢している。
夫はコーヒーの豆が入った袋を開ける時にいつも鼻を近づける。
私も一緒に。
夫婦でクンクンする。
「はぁ......幸せの香り」
私はコーヒー豆の香りをいつもこう表現する。
某コーヒー屋さんで働いていた時も、棚に並べてあるコーヒー豆の袋のガス抜きが好きだったし、シャツに染みついたコーヒーの香りを漂わせながら帰宅するのも好きだった。
moonlight Donkey......甘くてほんと癒される。
マグカップにお湯を注ぎ温めておく。
豆を24g計り、グラインダーに入れる。
ガガガーという砕かれる音も、我が家ではもうお決まりの音だ。
小鍋の持ち手をクルッと回し水を入れる。
夫はいつも小鍋を持つとそうする。
初めの頃はそれが可笑しくてツッコミを入れていたのだが、毎度やるので今はもうスルーだ。
クルッと回す音が耳に入ってくる。
クルックルックルッ......
私が見ていなくても夫は回す。
小鍋にお湯を沸かし、ドリップケトルに移す。
左手をポケットに入れ固定させ、ゆっくりと円を描きながらドリップする。

夫がハンドリップで淹れてくれるコーヒーは格別美味しい。
仕事が立て込んでいても、午後のコーヒーは必ずハンドドリップだ。
忙しいからこそ、このゆっくりとした時間を大切にしているんだろうと思う。
静かな時間が流れる。
TABBY’s COFFEEのmasaさんも言ってる。
日常の中に訪れる3分の静寂。
夫もまたその虜なのだろう。
温めておいたマグカップにゆっくりコーヒーを注いでいく。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
束の間のコーヒーTimeが始まる。

まずは香りから楽しむ。
「香りがさ、前回のルワンダの雫より甘い気がする」
「全然違うよね。面白いね」
一口すする。
「ああっ!美味しい」
「美味しいよね」
それから私は今日あった息子の出来事や、今の気持ちや、首が回らない話や、新しく完成した道路の右折が怖い話や、夕ごはん献立どうしよう問題などの話を夫に浴びせる。
夫は静かに頷きながら聞いてくれる。
ひとしきり話しすっきりしたあとは、再びコーヒーに戻る。
「TABBY’s さんのスペシャルティコーヒーはほんと飲みやすいよね」
「グビグビ飲めるよね」
「うん、グビグビいける。だって、ほら......」
私はマグカップの底を見せた。
「おっ、残ってないじゃん」
「そう、残らない」
私も夫も、グビグビで分かち合う。
語彙力よ......。
しかし、これこそが謎の1㎝の答えである気がした。
そう、とにかくTABBY’s さんのコーヒーは飲みやすい。
口当たり柔らかく、瑞々しくて、軽やか。
物語を読みながら飲んでいても
考えながら飲んでいても
話しながら飲んでいても
口に含んだ瞬間自分の一部みたいになって、自然に喉を通っていく。
「飲む」っていうより、「溶け込んでいく」......みたいな。
どうやら私は、美味しいだけじゃ最後までは飲めないらしい。
“飲みやすさ”があるコーヒーだけが、1㎝すら残らない。
だから、私は今日もTABBY’s さんのコーヒーを気づけば最後まで飲みきっている。
「さて、いくわ」
1㎝の謎が解けたところで、夫は再び仕事に戻り、私も最後のコーヒーTimeを終わらせ冷蔵庫から人参を取り出した。
***
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