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ニチアサの話がしたい vol,266


■今週のゼッツ

・ゼロの焦り

 幻の絵画に隠された国家機密奪還を巡る、ゼッツ初の「名画ミステリー」解決編となった今週の『ゼッツ』Case11「腐る」。夢の中で深層心理に潜入し、ナイトメアを倒して夢主を救うという流れはこれまでの「通常回」通りだが、いつもと違うのはこの事件がノクスの策略にも紐づいているということである。その危険性にゼロも気づいているのか、名画が夢の中で3枚とも腐食されてしまったことで「今回のミッションはもう手遅れかも」とうなだれる莫に対し「本物のエージェントになるんじゃなかったのか」と焚き付け「そのナイトメアはまだ現実に侵出していない。今晩中に国家機密を奪還すれば間に合う」と口早に提案。その様子に莫から「……ゼロ、焦ってるの?」と指摘されてしまうシーンが印象的だ。これまで常に穏やかで紳士的な対応を崩さなかったゼロだからこそ、「焦り」という人間臭い一面が見えたこと、しかもそれを部下である莫に見透かされてしまうのも意外であった。だが、これでゼロは「エージェントになりたい」という莫の夢から生み出された都合の良い「上司役」などではなく、ゼロにはゼロなりの思惑や目的があり、ある意味で莫のことはそれを実現させるための駒として利用しているとも言える立場だということがよく分かる。今回奪還を命じた「国家機密」の詳細を「知れば君も重大なリスクを背負うことになる。それは避けたい」と言って莫に教えなかったところには、彼に必要以上に危険な目に遭ってほしくないという温情めいたものを感じつつ、「知り過ぎれば己の身を滅ぼす」というノクスの言葉通り、もしかしたらゼロには莫に知られると不都合な真実を隠している……の、かもしれない。

・ミッションか、夢主の命か

 また、今週ゼロと莫と関係で「おっ」と思ったのが、腐食させた3枚の幻の名画を使い、国家機密を奪おうとするノクスを追うか、それとも現実の身体も腐食を始めてしまっている夢主の渥美を救うためにナイトメア退治を優先させるかで2人の意見が食い違ったことだ。ミッションの最重要事項はあくまで国家機密の奪還であり、渥美の命は二の次だとするゼロと、「人助けがしたい」という夢が原動力となっている莫とでは、根本的に優先事項が実は違うというのは今回のエピソードで始めて浮き彫りになった部分ではないだろうか。果たしてこの2人のギャップは今後ますます広がっていくのか、それとも互いのスタンスの違いを認め合い、唯一無二のバディとなっていくのか。その辺りにも注目していきたい。

 ところで、このシーンの冒頭、ゼロが『相棒』の右京さんの如く高所から紅茶を注いでいるシーンがあり、スーツアクターの永徳さんの遊び心なのか、マスクの視界不良による不可抗力なのかは分からないが、永徳ゼロさんが全く上手くカップに紅茶を注げておらず、ほとんど床に紅茶をブチ撒けているだけなことに気付いて爆笑してしまった。しかもその後もシーンでゼロが歩く際、床が濡れているものだから足音にビシャビシャ音が付随されているのも芸が細かい。この辺りは音響効果の桑原さんのナイスセンスによるお戯れだと思うが、ゼロ司令官のこういう「抜け感」がまたたまらなく愛おしくもある。渥美の身体がカビに腐食され始めたのを見て、慌てて渥美邸を飛び出した莫の「ゼロ!」という呼びかけに「分かってる、飛ばすぞ」と自宅へ急行してくれるバイク態の活躍もカッコ良く、喋るバイクや車を相棒に持ってみたいという憧れが疼く。これだけAIやネット技術が進んでいるのだから、喋る家電やペットロボットの延長で、早く一家に一台意志を持った喋る乗り物が普及する時代になってほしいと強く思う。

・眠らない刑事と眠るエージェント

 今回の絵画盗難事件に、失踪した元部下 小鷹賢政が関わっていると知った富士見は平素よりもさらに勢い勇んで渥美家を訪ねる。だがその渥美もなかなかの曲者で、なかなかに絵画の秘密について口を割らない。早朝から始まった尋問は、栄養ドリンク「徹夜野郎MAX」を次々と消費させながら午後まで続く長期戦に。疲労困憊すぎてもはや酩酊状態にすら見える富士見役 三嶋健太さんと、渥美役林泰文さんのグデングデンのお芝居が笑いを誘いつつ、「非常識が2人いた……」と頭の痛そうにボヤくなすかの苦労が偲ばれるコメディタッチのシーンではあるが、ふと、栄養ドリンクや熱い使命感で「眠り」に抵抗しようとする富士見と、どんな状況でも布団に入れば2秒で入眠できる莫はキャラクターとして対比関係にあるのだなと今更ながらハッとさせられたりもした。

 もうひとつ、何気ないシーンだがすごくいいなと思ったのが、渥美を助けようと自室のベッドに入ろうとしたところを美浪に見つかった莫が「美浪さ……国家機密なんて俺には荷が重いかもしれないけど、誰かを助けることならできるよな?」と、ミッションの遂行と人命救助の間で揺れる想いを美浪に語りかけた際、美浪が「いつもやってきたでしょ。雷に打たれても隕石に衝突しても懲りずに」と返すシーンだ。その表情は柔らかな微笑みに満ち、兄がこれ以上不幸に見舞われないよういつも心配して「人助けはしないで!」と必死に訴えつつも、心の奥底では自分がどんな目に遭おうとも困ってる誰かに手を差し伸べずにはいられない莫の深い思いやりが大好きなんだろうなと思わせられて胸がジンとする。自分は現実では人助けができない。だからこそ、夢の中でエージェント:セブンになって夢主を救うことは自分の夢を叶えることでもあるし、いつも自分を想ってくれる美浪のためでもあることを「……そうだった。やっぱり夢の中だけにしとくよ」という言葉で締めくくり、「おやすみ」と明るい声で布団に滑り込む、妹思いな莫の「兄の顔」も、またとても優しいかった。

・2つの秘密と国家機密

 『ゼッツ』は映像も工夫が凝らされているので、我が家の5歳の甥っ子のごとく、あまり深いことは考えずパッションで観てももちろん楽しいとは思うのだが、敢えて言及するならば、幻の3枚の絵画には、渥美とノクスそれぞれにとっての「秘密」が隠されていたというところにミステリーとしての面白さがあったように思う。つまり、渥美の持つ「秘密」はそれが自分の技術の粋を集めて描いた贋作であったこと、対するノクスは、渥美の精巧な贋作は絵画の内に潜む、「国家機密」へと繋がる扉の鍵さえも再現させているという「秘密」を手にしていた点だ。

 ノクスが隠し部屋から奪ったアタッシュケース、(アタッシュケースといえば一般的なドラマでは現ナマが入ってるものだが、殊『仮面ライダー』においては往々にして新アイテムが入ってるのがTHEお家芸だ)そこに保管されていたのは「イレイス」という名のカプセムと「ナイトインヴォーガー」と呼ばれるバックルであり、リカバリーカプセムによって復元されたそれらを使用し、ノクスが「ノクスナイト」なる姿に変身することはもう公式サイト等々で解禁されている通りだが、変身に際する掛け声は「擬装」であり、巧緻を極めた「贋作」の絵画との浅からぬ因縁を感じてしまうのは筆者だけだろうか。
 
とにもかくにも、次回はノクス、そして演者の古川雄輝さんにとっての満を持しての初変身となる。『ガヴ』と『ゴジュウジャー』の盛り上がりが凄まじすぎて、ちょっと『ゼッツ』の話題が霞み気味な気がするのだが、個人的にノクスナイトの誕生はかなりブチ上がりポイントなので、引き続き喧しく応援していきたい所存である。みんな!!古川さんが変身するぞーーー!!!

◾️今週のスーアクさん

・仮面ライダーゼッツ パラダイムワンダー!

 本体がカビである性質を生かし、自身の大きさを自由自在に変化させられるモウルドナイトメア。それに対抗するためにゼッツは「不思議な力」を操れるワンダーカプセムの可能性に懸け、仮面ライダーゼッツ パラダイムワンダーに変身。自身も親指ほどのサイズに小さくなってナイトメアと交戦する。「不思議の国のゼッツといこうか」は、無論、体が大きくなったり小さくなったりしながら主人公アリスがワンダーランドでヘンテコな旅をする、ルイス・キャロルの児童小説『不思議の国のアリス』からの引用だが、キザなセブンらしい、そして高橋悠也さんらしいオシャレな言い回しである。ちなみに、『ゼッツ』のOPで複数の扉から様々なフォームのゼッツが出てくるカットにおいて、右上にいるパラダイムワンダーのサイズが大小2タイプあったことに読者貴兄はお気付きだっただろうか? 筆者も今週TLでその指摘を見かけて初めて気付いたのだが、どの回にどんなサイズのパラダイムワンダーがいるのか、ぜひ見返してチェックしてみてほしい。

 今回は特定のアクターさんではなくアクションシーンについての話になってしまうのだが、特筆したいのはやはりミニサイズでの戦闘の面白さだ。サイズ(鎌)モードになったブレイカムゼッツァーの上にナイトメアと共に着地したゼッツは、ワンダーカプセムを放り投げるとブレイカムゼッツァーに装填。カプセムを回転させるためにその上を走る姿は、公式サイトでは「ランニングマシンのよう」と描かれていたが、どことなくボールの上で遊ぶハムスターのようにも見えて可愛らしい。ガーデニングの道具たちがパラダイムワンダーの力でふわりと宙に浮き、ジョウロからチョロチョコと流れ出る水が、ゼッツとナイトメアにはいくつもの巨大な水滴となって襲いかかるように見えるのも映画『バグズ・ライフ』っぽい演出でファンタジックだ。

 「粒子レベルで生き続け増殖する!我らを倒すことは不可能!」と宣うと、モウルドナイトメアは極小サイズに変化するが、「負けてたまるか!」と自分と同等のサイズにスモールダウンしたゼッツを見て「ここまで小さくなるなんて……!貴様、人間か!?」と驚愕。それに対するゼッツの答えが「可能なんだよ。夢を見る力が人にあるからな」なのが本当に良い。人間だから不可能なことがあるのではなく、夢を見る人間だからこそあらゆることを実現する可能性は生まれるのであり、『ゼッツ』はずっとそんな「夢を見る力」の無限性とその素晴らしさについて伝えてくれているような気がする。

 ゼッツは「ブレイカム・エッジ」で無数の刃を繰り出すと、モウルドナイトメアの別個体たちを一網打尽に。最後はさらに自身のサイズを小さくし、モウルドナイトメアの皮膚から内部に入り込むと、体内から攻撃をブチ込み勝利するというシリーズでもかなりレアなタイプのライダーキックを見せてくれた。CGや合成技術は日々進歩しているわけだが、結局のところ大切なのはそれを使って誰も見たことのない「不思議」をどう顕在化させていくかであり、そう言った意味で パラダイムワンダーの初戦は非常に「特撮的」だったと言えるのではないだろうか。渡辺淳アクション監督と、ゼッツのスーツアクター新田健太さんのコンビが見せてくれる新しい映像世界をますます楽しみにしていきたい。

■今週のゴジュウジャー

・テガソードゴジュウユニコーン!

 今週の『ゴジュウジャー』39話は「燃える密着!見せてやるんだ指輪のパワー!」と題し、第26話に登場した関智一さん演じる東映の名物プロデューサー、関本カズが再登場し、センタイリングに焦点を当てた総集編が放送された。OP映像に突如差し挟まれた「サブリミナル関本カズ」的演出と、もはやどこからが台本でどこからがアドリブなのか分からない関さんの芝居に爆笑しつつ、(それに半分素で困っている吠役 冬野心央さんの表情がまたいい)思い出のシーンと共に次々とセンタイリングとその変身者であるユニバース戦士らが紹介されていく。振り返ってみればどのユニバース戦士も豊かな個性を持ち、秘められたドラマやゴジュウジャーとの関係性なども魅力的だったが、個人的にはドンモモダロウにエンゲージしていた熱海常夏のことを吠がとても晴れやかに「(俺の)ベストフレンドナンバーワンだ!」と称していたのに何だかすごくグッと来てしまった。常夏さん、良かったね……!

 後半では、おそらく元々の38話として使われる予定だったと思われる、欲望のままに暴飲暴食をし破壊の限りを尽くすボンとゴジュウジャーたちのアクションパートが展開。リボンの専用武器が自らの名を表す「リボン」を裁断する断ち切りバサミなのも味わい深いが、やはりここで注目したいのは、リボンにふっ飛ばれたゴジュウユニコーンがそのまま空からやってきたリョウテガソードをキャッチ。華麗に一回転して着地し、テガソードゴジュウユニコーンとなるシーンだろう。テガソードの腕でリボンの触手攻撃を全て打ち返したユニコーンは、鮮やかなスライディングと共にリボンを斬り結ぶと、ゼンカイジャーリングを使い、ゼンカイフィニッシュバスターを放ち見事リボンを追い払ってみせる。スーツアクターの下園愛弓さんのしなやかで力強いアクションが目を引く素晴らしいバトルシーンだが、ここでもうテガソードゴジュウユニコーンの姿を見せるというのは、なぜ角乃がリョウテガソードを持ち得ることになったのか、そのエピソードは省略しつつ、今後アクションシーンにはテガソードゴジュウユニコーンを参加させていきますという番組サイドからの表明にも見え、演者の急な降板という致し方ない事情であることは重々承知の上、「一河角乃」というキャラクターを愛してきた身としてはやはりほろ苦い気持ちも正直隠しきれない。

・『ゴジュウジャー』とは何か

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