ニチアサの話がしたい vol,267
■今週のゼッツ
・隕石衝突を阻止せよ!
ついこの前初回放送を迎えたと思ったのに、あっという間にワンクール目が終了してしまった『ゼッツ』。Case12となる今週のサブタイトルは『衝く』。今回のセブンのミッションである「Prevent the meteor strike.(隕石衝突を阻止せよ)」の「衝突」から引用されているものだろうが、それだけではなくセブンのミッションを最近何かと妨害してくるノクス / 小鷹賢政が、莫も知らない秘密の核心を「衝く」といったようなニュアンスも感じられ、年末に向けてさらに盛り上がりが加速しそうな予感である。それにしても、「隕石衝突を阻止」という今回のミッション、一介のエージェントが請け負っていいスケールじゃないだろ!とツッコミたくなるところだが、これもまた「夢」がテーマのゼッツだからこそできる壮大な任務なのかもしれない。
越雲宇宙センターで宇宙飛行士体験を楽しむ少年・石井星也とセブン。そしてそのガイドを務めるねむ。ねむを演じる堀口真帆さんいわく、「動く度にシャラシャラ~と音がする」ギャラクシーな青と銀の帽子や、メタリックカラーの手袋など、今週も夢の世界観に合わせたねむの斬新なコーディネートが素敵だ。「いつか本当に宇宙に行けるのかな?」星也の純粋な願いに「ああ、君が夢見る限り」と穏やかな微笑みを返すセブン。そんな何とも和やかな光景を打ち壊したのは館内に鳴り響く緊急サイレン。なんと巨大な隕石が宇宙センターに向かって落ちてきているという。衝突までの48時間というタイムリミットが迫る中、目を覚ました莫は現実世界で怪事課と共に夢主を探し始めることに。
・知られざるカプセムの「中身」
序盤のエピソードでポイントとなってくるのはやはりカプセムだろう。第2話で莫が初めてカプセムドロッパーを回した際にゼロが言った 「(カプセムには)『夢を叶える力』が封じ込められている」という抽象的な説明に何となく「そういうもんか」と思わされてしまっていた筆者だが、「お前はカプセムの恐ろしさを何も分かっていない」とノクスがバリアカプセムを破壊し、中から黒い靄を纏った凶暴なゼッツ エスプリムバリアが飛び出してきたのを観た時は、驚くと同時に「やられた!」と思わず仰け反りたくなってしまった。カプセムのモチーフがガチャガチャ(カプセルトイ)であるという時点で気付くべきだった。「中身を保護する『外側』」であり、「何が入っているだろうというワクワクや夢を収める器」でもあるケースと、「そこから飛び出してくる意外な『中身』との出会い」は、考えるまでもなく必ずセットはなずじゃん!と。仮面ライダーのOP映像は結構ハッタリをかまされることもあるのであまり深く考えていなかったが、OPでも確かにゼッツは黒い靄に覆われた自分と戦闘を繰り広げており、こんな序盤にきちんとOPが回収されるとは……という感慨も含めて、一本取られた気持ちだ。
また、道路に飛び出した星也を莫が「危ない!」とバリアカプセムで守った際、カプセムからも「危なかった……」という謎の声がしたことにもビックリした。変身アイテムが喋るのは前作の『ガヴ』のゴチゾウ然りそこまで珍しいことではないが、THE無機質な印象だったカプセムからまさか人語が聞こえるとは思わなかったのだ。(しかも「密着警察24時」の犯人ばりの歪んだ声質で)ノクスがカプセムの中から出てきた黒い靄を纏ったゼッツのことを「ナイトメア」と呼んでいたが、それはやはりゼッツが日頃から戦っている「ナイトメア」と同義ということなのだろうか。初代『仮面ライダー』から踏襲されてきた「同族殺し」というコンセプトや、それに伴う「敵と同じテクノロジーや能力を使う」という伝統を鑑みれば「そう」である方が妥当なような気さえしてきてしまうが、そうなってくると問われてくるのはやはり、「悪夢を叶える力」を、なぜ莫は「夢を叶える力」に変換して戦うことできるのかという部分でもあると思う。世界に向けて発信する『ゼッツ』だからこそ語れる「仮面ライダーとは」に期待したい。
・揺れる富士見、進むなすか
小鷹の秘密が明らかになるにつれ、怪事課の2人それぞれのドラマも展開されてゆく。莫から小鷹がナイトメアに加担していると聞く富士見だが、かつての小鷹の正義漢ぶりを知る彼はどうしてもそれが信じられず、莫との間に不和が生まれてしまう。ここで好印象なのはなすかだ。富士見の頑固ぶりに久々に「下の名前は親にしか呼ばせません」と反発しつつ、一方で「後悔してるんですか?小鷹さんの言葉を信じられないまま彼が失踪してしまったことを」と、富士見の葛藤を見抜き、「小鷹さんはどこかで生きているかもしれません」と希望を捨てず、莫が夢の中で事件を解決しているというまさに夢のような話を「自分の目でブラックケースが改善されるのを見た」ことを根拠に信じ、「人類滅亡のブラックケースが起きようとしているなら止めないと!」と自らの職務を全うしようとする。周りに流されない冷静さと芯の強さを兼ね備えたなすかが誰よりも頼もしく見える一幕だった。
・小鷹賢政という人間
また、今週は富士見の回想シーンで、現実世界で健在だったころの小鷹の姿が見られたことも嬉しかった。3年前、小鷹は夢の中でナイトメアに遭遇しており、彼らがブラックケースを引き起こす原因なのでは?というところまで掴みかけていたような様子だった。「自分が目撃したナイトメアの個体です」と、ごく真剣にモンスターのスケッチを富士見に渡しつつ、「ただ夢に出てきただけだろ」と剣もほろろに遇らわれると「じゃあ賭けますか?実在したら一杯奢りで」などとちょっと悪戯っぽい顔を向けるも、すぐに「いや、やめましょう」と、そんなことを言った自分自身に苦笑し「あんな悪夢を経験するのは自分だけでいい……許すわけにはいかない。人の夢で好き勝手に暴れるナイトメアを」と、スッと目を細めてここではない遠くの世界を見つめる小鷹。この短い富士見との会話の中に、小鷹の正義感の強さと透明感、生粋の愛嬌、きっと2人で仕事帰りにしょっちゅう飲んでいたのだろうなと察せられる富士見との距離感、そして柔和な面持ちに射す激しい怒りや深い翳りまでもが感じられ、常にポエティックな台詞回しでどこか現実離れしているノクスとは違う、「小鷹賢政」という人間の「生」に初めて触れたような気がして、改めて演者の古川雄輝さんの演技力に圧倒されてしまった。CODEはあくまで自分が夢の中で生み出した組織であると思い込んでいる莫に、CODEはずっと昔からある現実の組織であると伝え、それに莫が驚いたのを見た瞬間の「ハァ〜〜〜〜」というイラついたため息と、「お前はCODEのことを何も分かってない!」という激昂は、何も知らぬまま「エージェントごっこ」を楽しむ莫の無知さへの憤りと共に、莫のような純粋な若者を利用するCODEへの失望と怒りが混じっていたような気がして、彼が度々莫に「手を引け」と言ってくるのは、自分の目的を妨害されたくないという意図もあるだろうが、どこか莫の身を案じて言っているようにも感じられてしまう。それにしても、『555』のスマートブレイン、『アマゾンズ』の野座間製薬、『ギーツ』のデザイアグランプリ運営、『ガッチャード』の錬金アカデミーなど、仮面ライダー史における「クソ上層部」には枚挙に遑がないが、CODEもその仲間入りを果たす可能性があるのかと思うと、物語としては甚だ不穏ではありつつ、ライダーオタクとしては「やっぱり朝はお味噌汁だよね!」的なノリで「やっぱりライダーの上層部はクソじゃないとね!」と、ついついちょっとテンション上がってしまうのは決して筆者だけではないと思う。
富士見が回想した3年前は、ねむが事故に遭い肉体が病院から消えた翌年でもある。さらに小鷹が公安に辞職願を置いて失踪したのが1年前ということは、ざっくり考えても、小鷹がCODEの裏の顔やカプセムの危険性を知ったこと、ナイトインヴォーカーバックルとイレイスカプセムが破壊され、ゼロが言う「絶対に知られてはいけない国家機密」として封じられたこと、ノクスが悪夢の世界でねむの肉体を保持し始めたこと、そして小鷹が現実世界での生活を捨てナイトメア側に寝返るまでには結構な月日を要していることになる。それぞれがどんな時系列で起きていったのかは今のところ不明だが、小鷹 / ノクスの動向を中心に、これまで決して「日常」の枠から出ることのなかった美浪がゼッツルームに入りゼロと邂逅を果たすなど、ストーリーパートにバーストがかかってきた気配は肌身に感じるところだ。9月の放送開始からここまでの、2話で1セットのエージェント話も短編集っぽくて楽しかったが、連ドラとしての本領発揮はむしろここからなのかもしれない。『ゼッツ』、面白くなってきた~~~~ッッ!!
◾️今週のスーアクさん
・ギンギラの永徳ノクスナイトさん!
今週最大の見どころといえば、古川さん演じるノクスが復元されたナイトインヴォーカーバックルとイレイスカプセムを使い、新戦士「ノクスナイト」に変身、いや「擬装」したことだろう。「蒸血」「鉄鋼」に続く特殊な変身の掛け声を持つ擬似ライダーというだけで既にカッコいいのに、演じるスーツアクターさんは何と我らが永徳さん!ご存知の通り永徳さんは既に『ゼッツ』では司令官ゼロのスーツアクトを担当しているので、「まさか兼任は無いだろう」と予測候補から外してしまっていたので、ノクスがカプセムを引っ掻くように回し、「インヴォークナイトシステム!イレイス!」の変身音と共に一度姿がイレイス(消去)され、空の中からオレンジ色の光と共にノクスナイトが姿を現した瞬間、かなりデカめの声で「ウワーーーーッッ!!永徳さんだーーッッ!!」とマジで声に出して言ってしまった。いい年した大人がTV番組を見て大声を出すなという感じだが、自室だったので、あと永徳さんだったので許されたい。だって永徳さんだよ!?!?そらデカい声も出るだろうよ!!嬉しすぎる!!本当にありがとうございます!!
ねむが「ギンギラのゼッツ!?」と驚いたのも頷ける、全身がギラギラのメタリックシルバーというカラーリングにまず目を奪われる。それこそ擬似ライダーの元祖とも言えるシャドームーン様(信仰上の理由で様付けさせていただく)や、仮面ライダードライブタイプハイスピードなど、銀色の(擬似)ライダーがこれまでいないわけではないが、メカニックなモチーフではなく、筋肉や肉体のボディラインを強調させたスーツで銀色というのは史上初なのではないだろうか。筆者も一見して「宇宙人っぽい!」と思ってしまったのだが、こういった体にぴったりと沿うシルバーのボディスーツというと、やはり『ウルトラマン』や『タケダアワー』シリーズの巨大ヒーローのイメージが強いので、仮面ライダーシリーズでやるのはなかなかの挑戦だったと思うのだが、丸みを帯びたゼッツの目に比べるとずいぶんと釣り上がった目、高貴かつきらびやかな印象を与える橙、金、黒のラインを全身に走らせることにより、「仮面ライダー作品のキャラに見えるけど、仮面ライダーじゃない」絶妙さがきちんとデザインに落とし込まれつつ、何よりそんな小理屈を吹っ飛ばすほど、脳髄に一撃で「カッコいい!!」刺さる、永徳さんの肉体美と存在感が凄い。
そして始まる、新田健太さんのゼッツvs永徳ノクスナイトさんの一騎打ち。前半は小雨の降りしきる中でのナイター撮影。ファイトスタイルは武器を持たない徒手空拳で、互いに力量や能力を探り合うような立ち回りが続く。ゼッツもどちらかと言えばクールでスマートな戦い方をするライダーだと思うが、ノクスナイトはそれよりも更に静かで、冷徹とも取れる空気感でゼッツに容赦なく拳を振るっていく。ゼッツのスーツから迸る赤い光が、ノクスナイトの銀色の肌に反射する様がまた何とも美しい。ノクスナイトは専用武器ブレイカムバスターを手に取ると、コードゼロイダーから射出されたソードモードのブレイカムゼッツァーを弾き、ゼッツがそれを拾えぬよう足蹴にすると一気に斬り上げる。このサドな感じもまたたまらない。私も机から落ちたボールペンを拾おうとしてノクスナイトに手ごと踏まれたいものである。
ノクスナイトの能力により、戦闘場所が日中の屋外に移動。「隠された悪夢を見るがいい」とカプセムの中から引き摺り出したナイトメアをノクスナイトは必殺技で爆破。作劇的な視点から言うと、黒い靄に覆われたナイトメアとその後の爆破が映えるように日中に場転したのだと思うが、壁をカーテンに変えたり地面をカーペットのようにめくったりと、これまでもゼッツが夢の一部を操る様子は見てきたものの、夢の舞台そのものを変えられるところにノクスナイトの力の強大さを感じる。撃たれたナイトメアは最期の一撃をノクスナイトに喰らわそうとするも、その直前で哀れ砂塵となり、風に乗ってノクスナイトの体を撫でて消えていく。その一連の中でも全く動揺を見せないノクスナイトの勝者の風格に満ちた佇まいが痺れるほどカッコ良かった。
ノクスナイト登場から早1週間だが、もう毎日ノクスナイトを思い出してはニヤニヤしているような気がする。もうこれは公式からのちょっと早いクリスマスプレゼントだと都合よく解釈させていただき、これから存分に永徳さんのメロ散らかしを吸って怒涛の年末年始を生き存えたい。永徳さん、ノクスナイトご登板おめでとうございます!そしてありがとうございます!!永徳さんは、いつも「今」がいちばんカッコいい!!
■今週のゴジュウジャー
・リニューアルOPと新生 一河角乃!
当連載、「ニチアサの話がしたい」を長く読んでくださっている読者貴兄ならご存知かもしれないが、私は『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の大ファンである。愛している、と言ってもいい。だからこそ、一河角乃役の新キャストに『ドンブラ』で鬼頭はるかを演じた志田こはくさんが決まった時も、「あのこはくちゃんが!!」と弾け飛びそうなくらい嬉しく思った反面、「いくらはるか役を演じたとはいえ、作品や役は全く別なのだからそこを混同してはいけない」と強く自分に言い聞かせていたし、SNS等で志田さんの角乃役としてのご登板について発信する時も、なるべく『ドンブラザーズ』には触れぬよう、最大限注意してきたつもりだった。もし放送で角乃の顔や声が変わったことが一切言及されなかったとしても、それは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のヒロインが途中から何の説明もなく別キャストに交代したのと同じように、あるいは急病の天海祐希さんの代わりに舞台『おのれナポレオン』の主演を宮沢りえさんが務めたように、イチ観客である私はただただそれを「作劇上によるキャスト交代」と割り切って受け入れようと、そう心に決めて観た今週の『ゴジュウジャー』40話「恐怖莫大!お化け屋敷でリボンは笑う」。が、結果的に言うとそんな私のちっぽけな覚悟は、『ゴジュウジャー』という番組のパワフルさによってものの見事に打ち砕かれることとなる。
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