ニチアサの話がしたい vol,265
■今週のゼッツ
・名画と家政夫とアンティークドール
今週の『ゼッツ』Case10「消える」は名画ミステリー。アネモネが描かれた3枚の幻の絵画に隠された「国家機密」を奪還するというのがセブンのミッションだ。毎回潜入のために行うセブンの変装やねむに与えられた役割も『ゼッツ』の魅力の一つだと思うが、今回は美術コレクターの渥美宅に潜入するため、セブンは「家政夫」に、ねむはその邸内で「アンティークドール」として飾られているという設定がまず楽しい。掃除道具満載のトートバッグを肩に下げても尚エージェントとしての風格や優雅さはそのままのセブンと、(『ゼッツ』ももう10話になり若干見慣れてしまっていたが、纏う空気感まで変わる今井竜太郎さんの莫とセブンの演じ分けはいつも本当に凄いと思う。同じ顔なのに違う人にしか見えない……!)動く度に左右から垂れたレース布が妖精の羽のようにひらひらと足元を舞う黒いコルセットドレス姿のねむの可憐さに目を惹きつけられる。メイクや髪型も甘いドーリー系で統一されており、特に台座にポーズを決めたまま立っている登場シーンはまさに文字通り「お人形のような」可愛さだった。演者の堀口真帆さんがSNSで「特にお気に入りの衣裳」とおっしゃっていたのも納得だ。
そんな中、渥美の絵画が何者かによって盗まれ、現実でも美術館からアネモネの絵画2作がひとりでに消えるブラックケースが発生。双方の現場にカビのような足跡があったこそから、莫と怪事課はそれぞれ物品について調査を進めることに。
・穏やかに冷たい、ゼロの「温度」
ここで特筆したいのは莫に対するゼロの「温度感」だ。ゼロがゼッツライセンスで「 NPO法人 名画を守る会 七津茣」なる偽の身分証を生成シーンは、前回、ロワイヤル城金のランチ招待券をゼロに貰えたことで味をしめたのか「芸術鑑賞も紳士の嗜み。ってことでまた招待券くれるんですか?」と期待の眼差しで両手を差し出す莫の圧倒的「のび太くんみ」と、それに「フフフ、任せてよ!」とばかりに身分証を用意するゼロの「ドラみ」の可愛さで若干ナーフされているが、捜査をするにもまだ真昼間だしなとボヤく莫に「事の重大さを分かっていないようだな」と嗜めたり、カプセムドロッパーを何度も回そうとするのを見て「欲張るな」と釘を刺したり、リカバリーカプセムを奪われたと聞いて「そんな大事なものを誰に?」と冷静さは保ったまま、されど鋭く追求するところなどは声優を担当する川平慈英さんの穏やかな声色とは裏腹にちょっとした「冷たさ」や「容赦のなさ」も感じ、ゼロというキャラクターのハンドリングが絶妙だなと唸ってしまう。ゼロはオープニング映像でも窓の外で黒い爆煙に襲われるセブンを助けようともせずにゼッツルームに佇みチラリとこちらを振り向くだけという演出がされており、完全に味方だとするには意図的に不穏な要素が散りばめられている気がするので、今後もゼロの動向には注目していきたい。まあそれはそれとして、ガチャガチャを回す手が止まらない時、ゼロに「欲張るな……」と、そっと腕に手を置いて止めてもらいてえ~!!という欲望は十二分にあるのだが……。今週も永徳ゼロさんはノーブルでクールでセクシーで最高であった……。
そして、本編の感想からは脱線してしまうが、先日秋葉原で開催された「魂ネイション2025」において、「S.H.Figuarts コードゼロイダー」のロボットモードとビークルモードがそれぞれ参考展示されたことも今週大変嬉しかったゼロ関連のニュースのひとつだ。どちらも発売してほしすぎる。そしてゆくゆくは「トランスフォーマー」ばりのロボ↔︎ビークルの完全変形フィギュアも出てほしい気持ちでいっぱいだ。完全変形はオタクの夢!!
ゼロのことになるとやや筆圧が(正しくはタイプ圧が)上がってしまい申し訳ない。話を戻そう。莫と怪事課、それぞれ調査を進める中、莫は渥美が何度もギャラリーを訪ね「この絵の価値は私が一番分かっている」と、しつこく買取を要求していたこと、怪事課はかつて失踪した部下である小鷹賢政が消えた名画を美術館に寄付し、SNSを通じて渥美に接触していた事実を掴み、莫はリカバリーカプセムを奪った男が小鷹であることを知る。よく考えると、どう見ても怪しい捨て垢からの「心当たりがあります。よかったら相互フォローし、DMください」などというリプライにまんまと反応してしまう渥美もネットリテラシーが無さすぎるし、開示請求で足取りを掴まれる仮面ライダーの悪役ってマヌケすぎるだろ!とも思うが、昭和の時代から遡っても仮面ライダーの悪役はまあまあな割合でわりとウッカリさんだったりドジっ子なことが多いのでここはノクスのチャームポイントのひとつとして呑み込んでおこう。また、怪事課の2人が莫の部屋に窓から転がり込んだり、はたまた飛び降りたりするシーンでは外から犬の遠吠えや猫の鳴き声が聞こえていて、通行人からの通報は免れたもののご近所のアニマルたちにはしっかり警戒されているのが分かって笑ってしまった。こういう音響効果の桑原秀綱さんによる遊び心たっぷりの仕事ぶりも毎度ながら心ニクい。
・バトルフィールドは甘い匂い!?
再び渥美の夢の中へと落ちたセブンはねむと共にコードゼロイダーに乗り込むとナイトメアのアジトへ潜入し、公式サイトいわく「自らの幻菌糸を用いてあらゆるものを変質・腐食させる能力」で絵画を腐食させ、内なる秘密を暴こうとするモウルドナイトメアとの対決に挑む。ここで登場するフィジカムインパクトの発光スーツは何気にCase3以来で、やはりめちゃくちゃそそられる。スーツアクターを務める新田健太さんのアクションも今週もキレッキレだ。(特にゼロイダーから排出されたブレイカムゼッツァーを空中でキャッチしながらバイクを軽々とジャンプで飛び越えていくシーンが猛烈にカッコいい!)リアルタイムなのか録画なのか不明だが、部屋の隅に下ろされたスクリーンにゼッツとナイトメアの戦いが映し出されている柴崎貴行監督らしい捻りの効いた演出も面白い。
このモウルドナイトメア、名前の通りカビがモチーフのナイトメアであり、ゼッツのパンチやキックがヒットする度にバフバフと白い粉を撒き上げるわけだが、「吸い込んだら内臓がカビそうだな!」とゼッツが顔をしかめる一方、(鼻も口もないデザインのゼッツがこういうこと言うの何かすごいグッとくるものがあるんだが筆者だけでしょうか……)粉塵を表現するのにベビーハウダーを使って撮影していたため、現場はほんのり甘い香りに包まれていたという柴崎監督のポストを見て大変微笑ましい気持ちになってしまった。かつて飲み屋で聞いた、滑りの悪いスーツを着る際にスーツアクターさんたちは全身にベビーパウダーをはたいてから着ていたため、屈強な男たちが集まっているわりにスーツアクターさんの楽屋はエケチャンの匂いが充満していることが多かったという与太話を思い出す。色々とスーツの生地なども進化しているので今でも使うことがあるのかは分からないが、現場の創意工夫や手触りが伝わってくる良いエピソードである。
・盾で守り、殴る!エスプリムバリア!
身を挺して絵画を守ろうとするねむ。そんな彼女に非情にも銃口を向けるノクスに対し、ゼッツはバリアカプセムを起動し、仮面ライダーゼッツ エスプリムバリアにフォームチェンジ。何と言っても特徴的なのは両手に装着された「レムディフェイス」と呼ばれる大きな盾で、「盾で殴る」でお馴染み『アバレンジャー』のアバレマックス様同様(信仰上の理由で様付けにさせていただく)無敵の防御力であらゆる攻撃から身を守るだけでなく、戦闘時にはその強固な性質を利用して武器としても使用する、ディフェンスだけでない攻防一体のアクションが面白かった。
もうひとつ、個人的に「すごくいいなあ」と思ったのが、ねむごと絵画の周辺をドーム型のバリアで覆ったゼッツが、「バリアから一歩も出るなよ」と胸をトントンと叩きながら言い、それに対してねむが同じように胸を指先で叩きながら「名画は私が守る!」と勇ましく応えたシーンだ。これは台本の指示なのか柴崎監督のディレクションなのかは不明だが、最初はゼッツの「心臓を捧げてでもやり遂げるミッション」を表すサインだったそれが、今やセブンとねむの間で「頼んだぞ」「オーライ」というハンドサインにもなっているところに、2人の相棒としての関係性が徐々に深まっていることが見えて素敵だ。
ノクスは「小鷹賢政」とゼッツに呼ばれるものの「そんな男はもう存在しない」と否定。自らを「俺の名はノクス。夜を生き、夢を彷徨うエージェント」だと名乗ったところで終幕となる。エージェントということは、彼もまたセブンと同じCODEに所属する人物なのか、それともナイトメアが統括する別組織のエージェントなのか?ねむの肉体を夢の世界へ持ち出し、自らは現世に甦ろうとしているノスクの狙いは何なのか?名画に隠された「国家機密」の謎と共に、ノクスや「エージェント」にまつわる謎もまた大きく広がりを見せることになりそうだ。
■今週のゴジュウジャー
・ゴジュウジャーを届けてくれてありがとう
今月頭に起きたメインキャストの降板騒動の影響で、先週37話は何とか(それこそ神がかり的な)編集テクニックを駆使して放送に漕ぎつけたものの、放送後には次回予告が無く、各所公式サイトにも「次回の放送は未定です」と書かれるのみで、これは放送休止も已むなしかと思われていた矢先に38話放送の報が届いた。時は2025年11月13日。実にオンエア日の4日前である。
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