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『ライジン 第2話』 #創作大賞2024 #漫画原作部門

1話

https://note.com/mikaruma/n/n0e98b5562024


<未確認飛行物体マハ


目撃した現代人がUFOと呼ぶ飛来物でありタイムマシンの役割も持つ。

直径約4kmほど、その中には選ばれた隊員が調査に使うための研究所や実験施設が存在する。

タイムリープした際にはここを拠点とし未来人が活動を行う>

■未確認飛行物体マハ 時間設計室 夕方

時間を表すパネルがたくさん並ぶ部屋の中でオレンジの髪、眼鏡をかけた時間設計士の女性クミン(29)が腕を組んでいる。

クミンの横には深山花武人と蝶野蜜音が並んで立っており、彼らの前で土下座をして謝るチョウジの姿があった。
チョウジの横には土下座をしてるように見える壊れた蜘蛛のロボットが置いてある。

チョウジ「本当にごめんなさい!
カブトさんの未来の奥さんが蜜音さんだってバラしちゃいました!」

怒りを露わに顔を歪め貧乏ゆすりをするクミン。
気まずい空気の中、蜜音が照れつつも冷静に話し始める。

蜜音「いや、そう言われても納得できませんよ。
彼は私と7つも歳が離れてますし、それに私は今付き合ってる彼氏がいるんですけど!」

カブトはショックを受けた表情をする。

カブト「え……か…」

クミンは深くため息をつく。

クミン「はー……おい、チョウジ!」

チョウジ「はい!」

クミン「この人たち混乱してんじゃん!
お前、未来のことについて話したらどうなるか分かってるよな!
お!?言ってみろこら!」

チョウジ「はい!未来のことを知ると心が少し変わってしまい未来に影響を与える可能性があります!
するとタイムデザイナーのクミン先輩の仕事が増えるであります!」

その言葉を聞いてイラッとするクミン。

クミン「仕事が増えるでありますじゃねぇよ!
分かってんならやるなバカやろー!
お前、これで何度目だよ!」

チョウジ「マジすみません!」

チョウジは頭が地面にめり込みそうな勢いで謝る。

クミン「…ったく、ほんと仕事増やしやがって!
お二人さん!」

急に呼ばれて背筋が伸びるカブトと蜜音。

クミン「私はタイムデザイナーのクミンです。
タイムデザインっていうのは未来に大きな影響を与えないように色々と調整する仕事です」

そう言うと時間軸が乗ったパネルや機械を操作するクミン。

クミン「そこのバカが言ったように、カブトさんと蜜音さんは将来結婚するわけですが……
今それを聞いたことで2人の心にどのように影響が出るかを計算してます」

蜜音「それで、私たちはどうすればいいんですか?」

クミンはパネルから何かが表示されたのを確認してじっと読み込む。

クミン「……なるほどな…」

土下座しているチョウジも少し顔を上げる。

クミン「…2人には別々に話をしないといけないな」

気まずくて顔を赤らめながらも目線は合わせないカブトと蜜音。
2人は生唾を飲み込む。

■未確認飛行物体 マハ 時間設計室の外の廊下

チョウジとカブトは部屋の外の廊下で立って待っている。

チョウジ「いや、ホントすみません!
未来のこと喋ると色々と面倒なんすよね…」

カブト「まぁ……なるようになるだけですよ。
それより学校で襲われた他の人たちはどうなったんですか?」

チョウジ「あぁ、テロリストって言っても無闇に人を殺すと自分達の先祖の可能性もあるので無関係な人は無事ですよ」

カブト「そうか、良かった……」

少し静寂が流れる。

チョウジ「はぁ…… クミン先輩怒ってたなぁ…
仕事が増えるとあの人いつもイライラするんすよ…
タイムリープすると時間設計士の仕事が増えますからね……」

クミン「誰のせいだ!おい!」

チョウジ「ひぃっ!」

振り返ると扉の隙間からホラーのようにこちらを覗くクミンがいる。

チョウジ「うわぁ!もう、蜜音さんに説明は終わったんすか?」

クミン「あぁ、終わった。2人とも入れ!」

■未確認飛行物体 マハ 時間設計室

チョウジとカブトが部屋の中に入ると蜜音の姿はそこにはなかった。

カブト「…あれ?先生は?」

クミン「蜜音さんは記憶を消して別の隊員に連れて帰ってもらった」

カブト「え!」

クミン「今後、彼女がこの施設に来ることもないし
未来から我々が来てるという記憶もない」

チョウジ「あぁ、記憶を消すパターンすか……」

カブト「じゃあ俺も…?」

クミンはチョウジを横目で睨んだ後に少し歩き始めて話を続ける。

クミン「君は記憶は消さなくていい…
だがやってもらう事がある」

カブト「やってもらうこと?」

クミンはカブトの目を見て話す。

クミン「彼女を守れるくらい強くなれ」

クミンは台に置いてあった壊れた蜘蛛のドローンを手に取る。

クミン「今回、敵は気づかれないように最小限のロボットだけを学校に送り込んだ。君たちを殺すために。
今後はもっと大きな事があるかもしれない。
我々も全力で君たちを守るつもりだが、万が一のために彼女と距離が近い君が強くなって守れるくらいの男になれ」

クミンはカブトの目をしっかりと見て試すように問いかける。
男としての覚悟を問われているようで目を逸らさないように真っ直ぐクミンの目を見るカブト。

カブト「俺は誰にも死んで欲しくねぇす。
特にあの人は学校で唯一俺に話しかけてくれる大切な人なんですよ。
未来はわかんねぇすけど、最初からそのつもりです」

クミンはカブトの覚悟を感じ取り笑顔を浮かべる。

クミン「まぁ、君ならそう言ってくれると思ったけどね。
じゃあ、とりあえず明日から泊まりで合宿ね!」

カブト「……え?」

クミン「家と学校には適当に言い訳しといて!」

カブト「そ、そんな急にどうしろって……」

■深山家 居間 夜

ご飯が並んだ食卓でカブトと母ユキと妹の木葉(8)は夕食を食べている。

ユキ「えー!1週間旅に出る!?意味わかんないんだけど!」

カブト「いや、足が動くようになったことだし今まで行けなかったところに行こうと思ってさ!
可愛い子には旅をさせろって言うでしょ…」

木葉「兄ちゃん、旅に出るの?」

妹の木葉が隣の席でこちらを見ている。

カブト「ああ、一回りも成長して戻ってくるからな!」

ユキ「旅ってあんた…行き先は?」

カブト「まだ決めてないけど連絡はする!」

ユキ「まぁ、男が決めたんなら何か掴んできなよ」

カブト「あぁ、ありがとう」

■深山家 玄関 早朝

玄関前でリュックを左手に背負ったカブトは扉を開くと誰もいない廊下を振り返り言葉を発する。

カブト「行ってくる」

■マハ 広い武道場のような部屋

シナモンはカブトの前に立ち手に石を持って話を始める。

シナモン「石を浮かせられるようになったそうだが、君の義手も霊石で作られている。重さは30kg弱だ。」

カブト「さ…30!?」

シナモン「それくらい動かせないと話にならんということだ。
そしてもう一つ、この1週間で基礎的な運動能力と集中力を鍛えていく。
地獄の日々になるが、覚悟はいいか?」

カブトの目を見るシナモン。

カブト「もちろん。必ず強くなります」

シナモンはその覚悟を見てニコリと笑う。


カブトのモンタージュ-

-水晶玉ほどの石を浮かせようと集中する。

-腕立て伏せ、走る、腹筋、懸垂、スクワット

-疲れて地面に倒れ込んでいるカブトに指導をしているシナモン

-スーツケースほどのサイズの石を浮かせようと集中する

-チョウジが義手を持ってカブトに手渡す

-クミンに怒られるチョウジが少し見える

-シナモンと手合わせをするカブト

-ボコボコにされてピンク髪の女性に治療してもらう

-義手をつけた状態で走る、腕立て、懸垂…

-モンタージュ終了

<そしてトレーニングも終わり10日が過ぎた>

■上神高校 廊下

廊下を歩いて帰るカブトに後ろから蜜音が声をかける。

蜜音「よう、今日はバイトか?深山〜!」

何も知らずにニコニコする蜜音。
その顔を見て少し眉を落としつつも笑顔を見せるカブト。

カブト「えぇ、そんなところです」

蜜音「また勉強わかんないとこあったら先生にいつでも聞けよー!」

カブト(もう、ゲームには誘ってくれないのかな…)

カブト「ありがとうございます。先生もお気をつけて!」

蜜音はニコニコしながら手を上げて見送ると別の生徒に話しかけに行く。
少し寂しそうに振り返るカブトだったが再び廊下を歩いていく。

■学校の帰り道 昼

カブトは霊石の岩がある上神山に向かって歩いている。
カブトは学校のカバンを背負ったまま長袖のシャツからは義手が光っており、両手でお茶とおにぎりを持っている。

カブト「やっぱ両手が使える生活はいいもんだな。
おにぎりとお茶を持ちながら食事ができるぜ…」

人通りの少ない路地をカブトが通り抜けると、草陰から蜘蛛のドローンがゾロゾロと出現する。

カブト「おっと、久々に見たな……
ざっと5台くらいか」

蜘蛛のドローンが順番に赤く光り出し足に刃物が出現する。

カブトはカバンとお茶を下ろして右腕の袖をまくる。

カブト「よし、腕試しだ」

蜘蛛のドローンが一斉にカブトに襲いかかる。
カブトは目を左右に揺らし脱力した感じでしゃがみ込む。

カブト「はは!遅ぇな!」

4台を次々と避け、空中に飛び上がった一台を右腕で殴ると青い稲妻が発生し蜘蛛ドローンが大破。

一瞬、最初の夜にセージを殴ったシナモンのパンチが頭をよぎる。

ドローンをそのまま地面に叩きつける。
残る4台の蜘蛛ドローンへと向かう。

カブト「さて、やろうか」

   ×   ×   ×

チョウジが山の方から走って降りてくる。

チョウジ「うわー、どうりで遅いと思ったら…」

地面にはすでに4台の蜘蛛のドローンが壊れて転げ落ちている。
一台はカブトが右腕で掴んでいる。

カブト「俺はもっともっと、強くなりたいっす」

カブトはチョウジの方を向くと笑顔で答える。

チョウジ「どうやらその手は馴染んだみたいっすね……」

そう言うとチョウジはじっと黙る。
何か指令が来ているようだ。

チョウジは「了解です…」

と小さく呟くとカブトの方を向いて話し始める。

チョウジ「カブトさん。
どうやらうちの軍隊長が呼んでるっすけど、今から時間いいすか?」

カブト「軍隊長……?」

3話へ続く。


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