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☆ねこ神様のマッチングにゃぷり2


私は「にゃぷり」

猫好きの神様によって作り出された猫の姿をした猫の神である。

 

私の任務は不運な野良猫の猫生を少しでも幸せに過ごせるように助けてくれる人間とのマッチング。

 

【その2】

○車に乗り込んだ子猫

数年前、この年はまだ肌寒さを感じる梅雨の朝。

にゃぷり仲間からの伝達があった。

 

田んぼのあぜ道でヨチヨチ歩きの子猫がひとりぼっちで鳴いている。

誰か保護できる人間とマッチング(出会わせること)はできないものかと。

 

私はすぐに応答した。

私の担当エリアの人間がこの後近くを通るだろう。

この人間はサヨさんという

 

本人が猫を飼ったことはないが、子どもの頃には家に猫がいた。

セキセイインコやカメなどずっと生き物と生活してきたし、巣立ちに失敗したコスズメたちを助けたりしている。

今は家族にワンがいる。

きっと保護してくれるだろう。

 

問題はどうやって子猫の存在をサヨさんに気付かせることができるか。

 

現地のにゃぷりに任せるしかなさそうだ。

 

私の任務はサヨさんをいつも通りに通勤させること。

トラブルもなく順調に通勤経路を進んでいく。

 

国道に出たところで数台の渋滞が起きていた。

いつもそれなりの交通量はあるが、渋滞となるほどではない。

 

「事故かな。両側共に動いてないなぁ」

田んぼの中の道なので見通しはいい。

前の車に近づいたところで、対向するトラックのお兄さんが乗り出して前をのぞき込んでいるのが見えた。

 

「え? うさぎ?」

トラックの前に小さな白い生き物が見えた。

その生き物はチョコチョコと動き、サヨさん側の車線に入った。

 

トラックはゆっくりと動き出し、反対車線は流れ始めた。

なぜかサヨさんの前の車もゆっくりと進んでいく。

 

「どこいった? 車にひかれるよ」

心配しながらサヨさんもゆっくりと進んだ。

 

すると前の車が通りすぎたところに白い子猫が現れた。

信じられないことに数台の車は子猫をまたいで進んでいったのだ。

 

サヨさんは子猫の寸前で車を停めて降りた。

後続車は停車しているサヨさんの車を避けて進んでいった。

 

しかし、車の前に子猫はいない。

車体の下を覗いてもいない。

路肩まで見たがいない。

 

「こっち側の田んぼに降りたのかな。ごめん、さすがにここは降りれない」

 サヨさんは仕方なく車に乗って走り出した。

 

すると「ミーミー」と鳴き声がする。

「まさかエンジンルームに入った?」

 

とっさにわき道に入ってエンジンを止めて探した。

通りかかったオジサンが声をかけて一緒に見てくれたが

子猫の姿は見つからず、きっともう出て逃げただろうとなった。

 

しかし、サヨさんがまた走り始めると「ミーミー」と声がする。

車内には入れないだろうし。

 

今度はコンビニの駐車場に停めて探した。

この道を通るタカさんを待って二人で探したが見つからない。

ボンネットを叩いても、声をかけても鳴き声も気配もしない。

 

もう一度、300mほど先のドラッグストアまで走ってみることにした。

走り出すと声がする。

 

「少し先に自動車整備工場があるから、そこに行ってみて」

タカさんは言い残し仕事に向かった。

 

自動車整備工場はちょうど始業するタイミングで従業員が集まっていた。

事情を話すとみんなで子猫探しが始まった。

4~5人いただろう。

 

「いたいた白いの。バンパーの中」

ライトで照らしてやっと見つけることができた。

 

しかし、手が入らない。

内側のカバーを外して無事救出。

「メスだな。どうすんの、この猫」

「まだ何も考えてないですね」

子猫は慣れた手つきで捕まえられ、段ボールに入れられた。

 

「家は3匹いるからなあ」

「いやぁ急には無理だな、小さいし」

 

「とりあえず会社に連れて勤します」

サヨさんと子猫の出会いまでは無事完了。

 

なかなか手荒な方法をとったものだ。

危険が多すぎた気がする。

 

職場に着いたサヨさんは同僚の知恵を借りながら世話をした。

 

ミルクをあまり飲まない。

段ボール箱に新聞紙を入れたがトイレもしない。

 

しかし箱から出すとデスクの上を歩きまわり、とりあえず元気そうだ。

 

青い目の白猫。女の子だ。

保護団体に連絡しようか。

誰か引き取れないだろうかと、それぞれ家族と相談した。

 

タカさんに子猫の画像を送ると「飼いたい」といってきた。

ノリさんも驚きながらも

「自分から車に乗り込んで来たんだから飼うしかない」と。
もともと猫を飼いたいと言っていた二人だからね。

 

サヨさんは世話するのが自分になるのを懸念し、あまり乗り気ではないようだ。

 

「ちゃんと世話してよね」

ということでサヨさんが家に連れて帰ることになった。

 

帰宅途中にタカさんと待ち合わせし、サークルやフード、猫砂など必要なものを購入。

 

リビングの片隅にサークルを置き、ワンが子犬の時に使った布製のハウスを置いて猫ちゃんハウスができあがった。

 

保護したあとは一切声を出していない。

「声でないの?」

「いや、車に入った時は鳴いてたからね」

 

緊張しているからなのか、保護してからは誰も声を聞いていなかった。

 

やはりミルクはあまり好まない様子。

ふやかしたフードをあたえると

「うみゃーうみゃー」

言いながら勢いよく食べた。

 

「お腹空いてたんだね」

「うみゃーうみゃーって言ってる!」

「歯は生えてるね」

「まだ2ヵ月になってないだろうって」

 

「トイレトレーニングとかどうしたらいいんだ」

「だいたい働きに行くのに昼どうする」

「ババさんに頼めるの?」

「ジジさんの許可下りる?」

「ソウスケ(ワン)と仲良くできるかな」

 

いろいろ課題がありそうだな。

私もちょっと不安になってきた。

 

しかし、すぐに不安は消えた。

 

「チビのうちはお金かけないように100均グッズで十分だよ」

と妹に聞いたサヨさんはプラトレイでトイレを作った。

そして子猫は迷わずにトイレを使用した。

 

母屋に行かずサヨさんたちの居住域のみで過ごす。

昼間はババさんにゴハンを頼んだ。

 

ソウスケとはサークル越しに向かい合ってゴハンを食べ、仲良しになった。

 

「飼い猫?」

「飼い主が探してるかも」

「近くに民家ないよ。どうやってあの場所に来たんだろ」

「捨て猫かも。少し離れたところに墓地があったし」

「ヨチヨチ歩きで田んぼの中を渡って来れるとは思えない」

「カラスがいっぱい居たからね」

「兄弟とは居たのかも」

「野良猫が生んだにしては汚れていない気もする」

「迷い猫の情報がないか調べてはみてるけど…」

サヨさんたちは答えが出るはずもないのに想像を巡らせた。

 サヨさんの車はそこそこ車高がある。
こんなチビがよく飛び乗ったものだと驚いた。

飼い主はタカさんということになった。

名前はスモモ。

白猫のようではあるが、少し色味があってスモモみたいだとか。

 

病院で一通り検査をしたところ健康優良児のようだ。

一カ月半くらいだろうとなった。

避妊手術の計画をたて、完全に家族として迎え入れられた。

 

なかなかヤンチャで冒険好きの猫のようだ。

タカさんが自室に連れていったところ、早速動き回り、まさかのゴキブリホイホイに引っかかるとは…

 

数年前にネズミが出た時に置いたものらしい。

早々にシャンプーする羽目になったようだ。

 

シャンプーしたけど⋯ネバネバがとれないからやり直しだ

今回、私はハラハラ、ドキドキしすぎて疲れた。

何はともあれ、マッチングは成功した。

 

後はサヨさんたちにお任せ。

 

私はマッチングにゃぷりとして次の任務へ


◯おまけ
スモモは白猫ではなかった⋯
だんだん濃くなってるね〜

白いのは縫いぐるみ

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