スーパーゴール級の、トマト
新発売のカップ麺を見ると、つい買う。
理由はない。「NEW」と書いてあるだけで、もうかごに入れている。たぶんこれは癖の一種で、治す気もない。
今回手に取ったのは、カップヌードルのロブスター完熟トマト。ふたにカナダの国旗がついていて、「スーパーゴール級! 北中米の味」と書いてある。北中米、というくくりの大きさが少し気になったが、深くは追わなかった。ロブスター、という五文字に弱いのである。
お湯を入れて三分待つ。ふたを開けると、裏側が湯気で真っ白に曇っていた。中は赤い。トマト色のスープに、エビ風ボールがごろごろ浮いている。キャベツとにんじんも見える。見た目はちゃんと、パッケージの写真に近い。

一口すする。
甘い。トマトの甘みが濃い。酸味はほとんどない。完熟トマト、というのは嘘ではないらしく、ケチャップの酸っぱさでも、生のトマトの青さでもない、煮詰めたあとの甘さがある。これは好きな味だ。
ただ、途中で思った。ロブスターはどこにいるのか。
濃厚なロブスターとトマトの旨み、とふたには書いてある。だが私の舌は、ロブスターを名指しで見つけられなかった。エビ風ボールはエビの味がする。スープはトマトの味がする。ロブスターらしき何かは、たぶんこの濃さのどこかに溶けているのだろう。溶けているのだろうが、表に出てはこなかった。
期待していたのは、もっとこう、殻ごと煮出したような、海のにおいのする濃さだった。実際に来たのは、トマトが主役のスープである。ロブスターを探して、見つからず、代わりにトマトが手を挙げて立っていた、という感じ。悪くはない。むしろこのトマトだけで一杯ぶん成立している。ただ、看板の名前と中身が、少しずれている。
そういえば、昨日の昼も天ぷらそばのカップ麺だった。
つまり二日続けて、昼はカップ麺である。しかも天ぷらそばの翌日がトマトなので、順番としてはむしろ昇格しているのかもしれない。和から洋へ。北中米へ。
ロブスターは見つからなかったが、トマトはおいしかった。
昼はそれで済んだ。
漫画は新宇佐美式で描きました

いいなと思ったら応援しよう!
記事を読んでくれてありがとうございます。気が向いたら、チップで応援していただけると、次の漫画やエッセイを描く力になります。