11 訪問リハビリの日常【エンディングノート】
エンディングノートとは、自分の人生の終わりに向けて準備しておく事項をまとめたノートや文章のことです。遺言状とは異なり、法的な効力はもたないものの、家族や友人へ自分の意思を伝えることに役立ちます。
「訪問リハビリの日常」は、私の体験をもとにしたフィクションです。登場人物は架空の人物であり、実際の出来事とは異なります。
「とても素晴らしいものを作っていただきました。本当にありがとうございます。」
私がエンディングノートをお渡ししたところ、90代の利用者さんはとても喜んでくれました。この時はとてもお元気で、特にどこか不調があると言うわけではなかったのですが、何かあった時のために、一度自分の考えをまとめ、家族に伝える手段として、エンディングノートを作成することにしたのです。自分で書くことは難しいとのことで、利用者本人のみならず、家族からも話を聴き、私がエンディングノートを作成しました。
この利用者様は、エンディングノートについて説明した時から、作るのを楽しみにしてくださっていました。エンディングノートには何枚か写真を入れさせてもらって作っているのですが、「一緒に遺影写真も撮ってください。」と言ってくださるほど、意欲的でした。90歳代にもなると、同年代の方は他界されている方も多く、体力も落ち自由に自分で外出することもできないため、お話をすることも大好きで、写真を撮ったり、何かを作成するということも最近は滅多にないこともあり、エンディングノートの作成することを、とても張り切っていました。
その利用者様は、エンディングノートで、「治らない病気は治療しない。」、「知らない権利=告知を受けない権利を行使する。」、「苦痛や痛みを緩和したい。」、「最期の時は自然に任せたいと。」、「できる限り自宅で暮らしたい。」と言う内容をエンディングノートを作った際に希望されていました。そして、そのエンディングノートは、旦那様や子どもたちにも見せ、内容を共有していただきました。
そして日にちが経ち、その方の体調が悪くなりました。普段はお元気でしたが、持病があること、高齢であることから、私たちもそのような事態になることも想定していました。そして今後の治療について、利用者様と旦那様に確認したところ、「悪いところは直してほしい。」、「できる限り治療をして欲しい。」、「長生きをしたい。」というのが、ご本人様と旦那様の希望でした。まだエンディングノートを作成して半年も経っていませんでしたが、違う希望でした。「どんな年になっても生きれる限りは生きたい。」、「やはり死ぬのが怖い。」と言うのが、その方の答えでした。そして、利用者様とご家族の希望で病院に入院されました。入院後の詳しい経過は分かりませんでしたが、しばらく闘病した後、病院で最期を迎えることになりました。
この利用者様やご家族様が、最期の時にどのような気持ちだったかは、分かりません。やはり最期は自宅で過ごしたかったのか、病院でしっかり診てもらえて良かったと思っていたのかなどは、分かりません。エンディングノートに記載したことが、いざと言う時と違う気持ちなら、それはそれで良いと思います。きっと、エンディングノートを作ったときの気持ちも本心だし、体調が悪くなったときに考えたことも本心だったと思います。
今回のことを通して、色々なことを考えした。私自身、エンディングノートを作成しましたが、きっといざと言う時には考えは変わるんだろうなと思います。何も起こっていない平時の時に、「何かあった時に最期はどうしたいですか。」と言われても、現実味が無さすぎて、浅くは考えられますが、深くは考えられないと思います。私は、「治らないなら延命を希望しない。」、「できる限り自宅で過ごしたい。」と希望していますが、きっと「末期癌です。余命3ヶ月です。」とか、「難病です。99%助かりません。」と言われても、もしかしたら1%の望みにかけるために、治療するかもしれません。
だからと言って、いざという時のことを全く考えずに生活することが正しいとは思いません。人間は必ず死にます。いつ、誰に、何が起こるかは分かりません。時折、自分自身の中で、または家族と一緒に、いざと言う時のことを考えておく必要はあると思います。
なるべく健康的な生活をすること、健康診断などを利用し病気などを早期に発見できるようにすること、そして何かあっても後悔が少ないようやりたいことを日常生活でやっておくこと、そして何かあったときにことを時折考えて時折エンディングノートを見直すこと、この辺りを意識して生活してしていこうと思います。

この話は私の体験をもとに感じたことを記載しています。そのため、内容はフィクションであり、登場人物も架空の人物です。
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