ご挨拶をさせていただきました
~受け継ぐ力、そして未来へ~
議長様よりご挨拶のお許しをいただきましたので、私の所信の一端を申し上げさせていただきました。
はじめに
この度、令和8年5月東金市議会臨時議会において、今後4年間の私の市政運営に関する所信表明をさせていただく機会を頂戴いたしましたこと、心より感謝申し上げます。
去る4月19日に執り行われました東金市長選挙におきまして、市民の皆さまからのご支持をいただき、今般伝統ある東金市の第21代の市長として、その重責を担わせていただくこととなりました。
このたびの選挙では、今までの文化活動、地域活動や、教育委員として教育行政に関わった以外、政治や行政の実務経験がない私を、多くの方々が支持してくださり、この場へと送り出してくださいました。
このことは、市民の皆さまが市政に対して変化を求めた証しだと思っております。まさに、「民意」という大きな風が吹いた結果と言えましょう。市民の皆さまの今までの暮らしに対する危機感や閉塞感といったものが、「東金を変えたい」という切なる思いとなって、私の背中を押してくださったに違いありません。
皆さまからいただいた御支援の大きさは、そのまま期待の大きさであると肝に銘じ、その期待に、そしてその負託にお応えできるよう、これからの4年間、誠実に、真摯に、力を尽くして市政運営に取り組むことをお誓い申し上げる次第でございます。
4つの基本姿勢
私は市民の皆さまのお心に届くよう、日々懸命に、私の目指す市政の在り方を訴え続けてまいりました。それは、これからの私の市政運営における最も尊重すべき思い、「市政運営の4つの基本姿勢」でございます。
1.公平公正で、市民の皆さまの声が届く市政の実現
1つ目が「公平公正で、市民の皆さまの声が届く市政の実現」でございます。
市政をより良くしていく同志でもある市民の皆さまが置き去りにされることなく、その声が最も尊重される政治へと転換しなければなりません。市民の皆さまの意見や思いをしっかりと受け止める場を設けると同時に、それが市政へと反映される体制を整えていく必要があります。
市民の皆さま お一人おひとりが、「自分たちのまちのために、自分は何ができるのか」を真剣に考え、それを声にしていくことができれば、東金市はより住み良いまちになっていくと確信しております。
市民の皆さまがご自身のお考えを声に出し、それを行政がしっかりと受け止める。この双方向のやり取りの繰り返しこそが、相互の信頼関係を築くと同時に、分かりやすい市政を実現させるのだと考えております。
2.情報開示
2つ目は、市政に透明性を確保するための「情報開示」でございます。
このまちの主役は市民の皆さまでございます。
いわば、市民の皆さまこそが市の頂点に存在しているのです。
その市民の皆さまの判断を的確なものとするためには、行政が正しい情報を、適時、お伝えすることが必要条件となります。すべての情報を分りやすく提供していくことで、開かれた市役所へと変わっていけると確信しております。
重要施策にかかわる意思決定は、そのプロセスを市民の皆さまと共有し、誰にも見える形とすることが民主主義の原点でございます。そのために、種々の場面や局面において、さまざまな方法を駆使しながら、適切な情報開示がなされるよう進めてまいります。
情報通信分野の進歩は目覚ましいものがあります。いまやどこからでも情報発信ができ、どこにいても、それを取得することが可能となってまいりました。私は以前からホームページを開設し、広く情報を提供してまいりました。また、InstagramやFacebookなどSNSを活用して、幅広い層へと私の思いをお伝えをさせていただいてまいりました。
これらの情報発信手段を市政の情報提供にも大いに活用してまいります。そのようにして、若い世代の方々にも市政への関心をお持ちいただくことで幅広い意見を市政に反映できるものと考えております。もちろん、これまでの情報発信手段である「広報とうがね」や「ホームページ」なども最大限活用し、一人でも多くの方に情報が行き届くよう努めてまいります。
3.広域行政の必要性
3つ目は「広域行政の必要性」でございます。
交通網や交通手段の整備、情報通信手段の発達、普及により、人々の活動範囲は、行政区域を越えて格段に広がっております。このような状況の中で、政治的行政体を維持しつつ、複数の自治体が協力、連携して、必要な事務事業を共同処理することで、より効率的な市民サービスの提供が可能となります。
こうしたことから、市民の生命、財産を守るための地域医療や消防、救急、防災をはじめ、環境保全、観光振興、施設の共同利用などの分野で、広域での連携を積極的に推進するため、近隣自治体との協議を行ってまいりたいと考えております。
4.財政の健全化
そして、4つ目が「財政の健全化」でございます。
年を追うごとに厳しさを増す財政状況の中で、不足する財源を市債の発行に頼ってきた自治体は、その結果、毎年の予算は公債費により圧迫され、ますます厳しい財政状況へと追い込まれてまいります。
さらに今後、人口減少や高齢化率の上昇、労働力人口の減少、さらには、次の世代を担う出生数が200人台から100人台に推移することも予測され、財政状況は一層厳しさを増すことが懸念されております。
これまで、社会保障関連のコストが大幅に増加し、近い将来、市の経営を圧迫する可能性があることをご説明してまいりました。
財政の立て直しは一朝一夕にできるものでは決してございません。だからこそ可能な限り早い時期に、その道筋を付けておくことが重要となってまいります。
そのためには、今まで以上に行財政改革を推進するとともに、税金の使いみちの優先順位を明らかにする必要がございます。つまり、施策の推進や予算の配分において「選択と集中」を更に徹底するということでございます。新規に実施する社会資本の整備につきましては、優先順位が高く、真に必要と考えられるものに絞ることで、徐々に健全な財政へと近づけてまいります。無理、無駄を排除した財政運営に努めることが、健全化への近道だと思っております。
以上の4点が、今後、私が市政の舵取りをするにあたり尊重していく基本姿勢でございます。地域に元気や活力が満ちあふれるまち、市民の皆さまの笑顔が広がるまちを築いていくために、力の限り努めてまいります。議員の皆さまにおかれましても、何卒、御理解、御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
組織としての方針
~法令遵守と「和」と「団結」~
また、組織を運営するにあたっては、2つの方針に基づいてまいります。
1.法令遵守(コンプライアンス)の徹底
その1つ目が、事務を執行する上で法令遵守(コンプライアンス)を徹底するということでございます。
これは単に法を守るということだけでなく、組織としてのルールを尊ぶことで正しい組織の在り方を実現し、同時に、職員相互の信頼関係を構築するということでございます。法令遵守を徹底することで、個々の職員の能力のみにとどまらず、市役所としての組織力をいかんなく発揮できる行政体になれると確信しております。
私の使命は、「市民の皆さまのための政治を行う」こと以外にございません。これを実現するためには、法令遵守に裏打ちされた組織の力が不可欠と考え、職員の皆さまとともに、行政サービスの維持向上を図り、組織の“在り方”をアップデートしてまいります。
2.「和」と「団結」
2つ目が『「和」と「団結」』でございます。
今後、市政を円滑に運営していくに当たっては、市民の皆さまと行政が一体となって、協働によるまちづくりに取り組むことが極めて重要となってまいります。
そのためには、それぞれのお立場を越えて、東金市章の示す「和」と「団結」の理念の下で、新たなまちづくりを図っていくことが不可欠だと考えております。今後、東金市民が力を一つにするためのキーワードが、この「和」と「団結」でございます。
私だけでなく、市の職員の皆さまとともに、この2つの事柄を心に刻み、それぞれの役割を全うしてまいる所存でございます。
市長としての責務
市役所には多くの個性あふれる職員の方々が在籍しております。
しかし、それぞれの職員が別々の方向を向いていたのでは、市民の皆さまに御満足いただけるサービスは提供できません。
市の最高責任者たる市長の責務は、コンダクターとしての能力を発揮することであると考えております。誠実さと強い意志をもって、職員の皆さまの個性と能力が活きるように束ね、組織を動かす。これが、私の考える市を代表するリーダーとしての市長の姿であり、責務であると思っております。
市政に携わるあらゆる場面には、市民の皆さまへの思いが込められております。
その思いが市民の皆さまに届きますように、すべての職員の皆さまが、持てる力の全てを発揮し、各々の役割を果たすことのできる環境を整えてまいります。一体のチームとなり、心に届くハーモニーを奏でることができるよう、一丸となって市政運営に邁進してまいります。
当市においては、当面、解決しなければならない課題が山積している状況です。市長就任以来、さまざまな報告や資料に触れております。困難かつ差し迫った課題が多いことは明らかです。
これらの諸課題を迅速、的確に解決に導くためには、これまでと異なる視点による思い切った方針の転換も必要となってまいります。これまでの体制の中で決定された施策や事業について、今一度、市民の皆さまとともに考え直すべきものについては、優先順位をつけて見直していきたいと考えております。
課題認識と政策の方向性
今や、人口減少、少子高齢化、情報化社会、デジタル化が進む急激な社会変動により予測不能な時代、様々な現象が絶え間なく起こる激動の時代でございます。東金市にお住いの全世代の皆様が安心して暮らすことができ、また、東金市が将来においても持続可能な自治体であるか否かは、今この時の適切な政策と行政運営にかかっています。
より良い社会へ向かい、人と人とがつながり、ともに手を携え、子どもたちが今日も歩んでいる「未来へとつづく道」を切り拓くため、私の課題認識と政策の方向性を「3つの幹」として、大筋でお示しをさせていただきたいと存じます。
1.「政策」
1つ目の幹が「政策」でございます。
■ダウンサイジング
私が率先して取り組んでまいりたい施策の1つが、公共施設の最適化と適正配置、つまり、「ダウンサイジング」でございます。
これまで多くの自治体は「拡大」を前提にしていました。
右肩上がりで増える人口、それに伴い増えていく税収を背景に、様々な施策を積み上げてきました。
しかし今、私たちが直面しているのは、人口減少、少子高齢化、インフラや公共施設の更新費用の増大という、従来の前提が通用しない時代でございます。
だからこそ必要なのは、単なる「縮小」ではなく、未来に合わせて「適正な規模へとつくり替える」という発想であり、東金市にとって本当に必要なものを見極める選択と集中を進めていくことでございます。
「公共施設の最適化」「道路、水路の整備」「教育、行政、医療におけるDXの推進」、こうした取り組みを通じて、都市機能や公共サービスを、市民の皆様の生活の質(Quality of life)を損なうことなく、持続可能な形へと再構築してまいります。
限られた資源を最も効果的に活かし、未来の世代に過度な負担を残さないため、私はこのダウンサイジングを、100年先もつづく東金の未来への第一歩として進めてまいります。
自治体格差拡大の時代であることに鑑みれば、東金市を全国に広く発信し選んでいただけるまちにしていくことは、今後重要となってまいります。
しかし、まずは足元をしっかりと見据え、いま現にこのまちにお住まいの5万5千余の市民の皆さまのための施策を、堅実に着実に実行していくことが市政運営の大原則だと考えております。
■産業振興
さらに、産業振興の課題も挙げられます。
農林業に関しては高齢化と後継者不足が最大の課題であると認識しております。このために、森林の管理は不十分となり、耕作放棄地も増加の一途を辿っている状況でございます。これらに対しては、地道に着実に対応してまいりたいと考えております。
また、新たな農業振興策として、地域農業の活性化について、農業に従事されている皆さまと話し合う場を設け、後継者が育つ魅力ある農業、時代に合った農業振興策を模索してまいりたいと考えております。
また、東金市にはより良い社会を目指し地道に努力されている方々も数多くいらっしゃいます。
まちに元気を取り戻そうと奮闘している皆さまをこれからも積極的に応援してまいります。そうした皆さまと行政がともに、知恵を出し合い、汗をかくことで、お一人でも多くの笑顔が増え、市全体に活気につながるようにともに歩みを進めてまいります。
また、市に活力を取り戻し、雇用機会を確保するために、企業と連携し新たな価値の創造にも力を注いでまいりたいと考えております。
成田空港の拡張、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の全線開通など、他の地域に例を見ないほどの優れた条件が整っております。この高速交通結節点という優位性を積極的に前面に押し出し、全国の企業へ、立地を働きかけてまいります。
■優位性と独自性
当市には、広い空と広大な土地という地形的な恵みをはじめ、美しい景観や山里の自然など、類い稀な恵まれた環境があります。
徳川家康が鷹狩りに幾度も訪れ、宿場町として栄えた歴史や伝統、それに裏打ちされた文化もあります。その昔には、上総道学が浸透し、政治や文化振興、江戸につながる物流の要衝として大きな役割を果たしてきました。
そして何より、人と人との顔が見えるつながりや子どもの成長をやさしく見守る地域力など、都会にはない地方都市の住み心地の良さがあります。
また、先に申し上げた県内有数の高速交通基盤をはじめ、多彩な可能性を秘めています。
都心、羽田空港、成田空港へと続く窓口としての東金ジャンクション、徳川家康の御成街道、八鶴湖や雄蛇ヶ池をはじめとする観光資源、平地で温暖な気候や豊富な水資源等の地形的条件、森林資源、等々、高い都市力を示す優位性がございます。
このように、このまちは、ほかには負けない優位性を秘めています。
私は、このまちが秘めている優位性やオリジナリティに軸足を置き、他の地域にはない絶対的な価値を徹底的に追求していこうと考えております。
例えば八鶴湖や雄蛇ヶ池には、そのままでも人を惹きつける、そこにしかない独自の魅力があるはずです。それこそが、オリジナリティそのものであり、その独自資源を生かしてこその活性化であろうと思っております。
地方分権、地域主権の時代にあって、地方自治体の自主性と自立性は、今後、ますます求められてまいります。ここ東金にお住まいの皆さまと行政が一体となり、ここにしかないオリジナリティを生かしながら、自分たちのまちを自分たちでつくる。これこそが、憲法に規定された「地方自治の本旨」である住民自治を具現化するための最良の方法であると考えております。
長い時間の中で培われてきたこのまちの魅力を守り、後世へと伝えると同時に、私たちのまち固有の優位性、独自性を生かしてさらに成長、飛躍するまちへと育て上げるため、皆さまに支えられながらこの身を尽くしてまいる覚悟でございます。
2.「教育」
2つ目の幹が「教育」でございます。
税収が減り続ける未来がすぐそこまで来ている中、将来にわたって行政サービスを維持向上させ続けるためには、人口の年齢構造のリバランスを実現しなければなりません。
そのために、東金の魅力の1つとして「教育」に焦点を合わせ、担税力のある「子育て世代に選んでいただけるまち」、全国に誇れる「教育のまち」の実現に努めてまいります。
子育てをしている1人の母親として“わかりみ深い”適切な策を講じて、負担や不安を和らげるとともに、対外的訴求力の高い政策を積極的に「発信」し、「選んでいただけるまち」を目指してまいります。
また、激動の社会を生き抜いていくためには、多種多様な価値観の中で、様々な立場、その時々の社会のありようを受け止めることはもとより、個性や特性が十分に配慮され活かされる社会を目指すことを念頭に置く必要があります。
お一人おひとりの気持ちが大切にされ、個性を発揮でき、活躍できる社会を目指します。
次世代に合わせた組織の成長、人材育成もまた、広い意味での“教育”であると考えています。
3.「対話」
3つ目の幹が「対話」でございます。
先程「4つの基本姿勢」で「情報開示」の必要性を述べさせていただきましたが、行政が一方的に情報を提示するだけでなく、市民の皆さまとの対話にも力を注いでまいります。
「お一人おひとりが社会を創っていく大切なメンバー」という視点から、多くの市民の皆様との対話を大切にしていきます。
各地区の活動や会合などを通し、市民の皆さまの声をしっかり受け止め、市政に反映させてまいります。
私には、「市民の声が届くまちをつくってほしい」という市民の皆さまの負託に応える義務があります。これからも多くの市民の皆さまと対話し、ともに知恵を出し合い、東金市を、「信頼されるまち」「安心を実感できるまち」へと歩みを進めていくことを最大の目標として、全身全霊で取り組んでまいります。
結び
まさに、Next Stage 「いま、東金を変えるとき、そして、東金が変わるとき」です。
「政策」で未来の道筋を示し、
「教育」でその道を歩む人を育て、
「対話」でその歩みを支える絆をつくる。
この3つの幹がそろったとき、
東金市は、より強くより豊かな未来を創造していくことができると信じています。
社会や政治が揺れる時代にいかに軸足を定めていくのか、私たちはどう生きていくのか、国も自治体も組織も個人もどの時代においても常に問われています。
100年先もつづく東金の未来のために、これからの“在り方”への問いに真剣に向き合ってまいります。
市民の皆さま、議員の皆さまにおかれましては、私たちがこれからもともに暮らしていく東金市の在り方をより良いものにしていくために、今後とも格段の御支援、御協力、御指南を賜りますよう、重ねて、心よりお願い申し上げ、市長就任に当たっての所信表明とさせていただきます。
