ねこのじかん
9月の終わりに引っ越してきて、ほどなくした10月、庭にモフモフくんとハチワレくんがあらわれた。
段ボールハウスで一冬を越え、夏を前に、犬小屋ハウスにリニューアルした。
とても長い時間を過ごしたようだけれど、1年にもなっていなかった。
朝、ハチワレくんは犬小屋ハウスの屋根の上から2階を見上げて私たちが起きるのを待っている。モフモフくんはシャッターを開けると、やっと起きたかとでも言っているかのようにモソモソと犬小屋ハウスから出てくる。
ごはんはまだ?お腹すきました、と言っているのように2匹並んで、窓から家の中をのぞきこむ。
人間はいそいそと2匹のごはんを用意して、先ずは食いしん坊のハチワレくんのごはんを窓枠に置いてから、モフモフくんのごはんを置く。
そうしないと、食いしん坊のハチワレくんは我慢できず、先に置かれたモフモフくんのごはんを食べてしまうからだ。
この頃、人馴れしているようだけれども、大声やダメという言葉、コラッなど、追い払われるときに聞く言葉には敏感に反応するので、使わなくていいように、ごはんはハチワレくんからがルールだった。
ハチワレくんとモフモフくんが仲良く並んでごはんを食べていると、もう2匹の家猫たちが、ミャー!ぼくたちのは!と催促した。
ごはんを食べ終えた頃、ゴミの日はハチワレくんは私とゴミ出しに行く。
帰ってきたときのハチワレくんは、行ってきたよーと得意げにモフモフくんに駆け寄って行った。
モフモフくんは、その間にこっそりとちゅーるをもらっていたりした。
匂いに敏感なハチワレくんは、ぼくもー!と催促する。ちゅーるははんぶんこなので、ハチワレくんも残りのちゅーるをもらって満足していた。
デッキか猫嫌いなお隣さん宅の倉庫の屋根でくつろいだ後、その猫嫌いなお隣さんが稼働する前に、ハチワレくんはアパートごはん仲間のいる近所の丘へ出掛けていく。
モフモフくんは猫嫌いなお隣さん宅の倉庫の屋根がお気に入りだった。
午前中は陽が当たりがいい。冬は暖かく、夏の早い時間はヒンヤリしているのだろう。
いつからともなくというより、いつの間にか定着した朝の時間だった。
「モフモフくーん」と呼んでも反応しないときが多いことに気がついた。
最初はたまたま聞こえなかったのかなぐらいにしか思わなかったが、たまたまがちょいちょい増えてきた頃、聞こえているのかいないのか、注意して観察してみた。よく考えたら、猫は聴力がすこぶる良いのだから、たまたま聞こえないなんてことは、おそらくない。
庭先にいるモフモフくんに「モフモフくーん」と呼んでも気が付かない。その様子を見ていたハチワレくんが、モフモフくんに駆け寄って、呼んでるよ、と言う感じでモフモフくんをつついた。
モフモフくんがこちらを振り返った。
モフモフくんの耳があまり聞こえていないことを確信した出来事だった。
まったく聞こえていないわけではないようだったけれど、もし、車の音に気がつけなかったらと心配だった。
猫の1年は人間の4年に該当するらしい。
単純に半年で2年。
推定10歳かもう少しのモフモフくん。
人間にすると50代後半。
彼らと生活するようになって、まだ1年にもならないのだが、人間には『まだ』でも、猫にとってはそれなりの時間なのかもしれない。
猫の推定10歳は高齢猫だから、モフモフくんも老化してきていた。
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