福祉担当の変な業務②:高速道路割引
前回の記事ではNHKの受信料減免のための証明書作成、減免資格の継続調査を役所の職員が無償で代行していることを書きましたが、今回も似たような話です。それは「高速道路の利用料金割引」です。
制度の概要
この制度は身体障がい者手帳をお持ちの方を対象としたもので、1種・2種という種別に応じ、1種は誰の運転でも割引(障がい者が乗車していることが大前提)、2種は本人が運転していたら割引、となっています。
この制度、調べてみると1979年に当時の建設省道路局長通達がきっかけて始まったようですね。当時の高速道路事業は政府が出資する日本道路公団という、いわば国のような組織が運営していたので、国からの依頼に基づき地方自治体が実施していたということなんでしょうね。
役所の業務
この証明発行ですが、役所でどんなことをしているかを御紹介したいと思います。まず申請者は障がい者手帳、車検証を役所の窓口に持っていきます(ETCの登録も希望する場合はETCカードと車載器番号の判るものを持参)。それらの書類を役所の職員が点検し、コピーをとり(アナログですよね)、車番と有効期限(2年後の誕生日)を書き込んだ証明シールを手帳に貼る、という流れになっています。
でもよくよく考えると、障がい者手帳を発行した時点でその人が障がいを持っているということを証明しているわけなので、そこからさらに高速道路の割引を受けられる人ですよという証明書を追加で発行する意味はあまりないのでは?とも感じます。
疑問点①:手帳に車番を書き込む意味
「車番と2年後の誕生日まで有効と記載した証明シールを手帳に貼る」と書きましたが、もはやETCの普及率が約9割にまで達している昨今、手帳に書き込まれた車番を料金所の職員がチェックするという業務フローがどこまで有効なのか、疑問が残ります。
ここは思い切ってETCありきの制度に転換を図り、手帳にわざわざシールを貼って、そこに車番や有効期限を書き込んで、、、という業務フローは省略してしまってもいいのではないかと感じています。
疑問点②:民間企業との関係
前回同様、この制度の是非をどうこう言うつもりはありません。今回も注目したい点は、証明書の発行を役所が行っているという点です。ある人が障がい者かどうかを証明するのは役所、つまり行政の仕事なのはわかりますが、それを受けて高速道路の利用料金の割引をするかどうかは道路会社のサービスになっているなので、役所をかませる必要は無いんじゃないかと思うわけです。
それなのに障がい者手帳を発行した後で、障がいをお持ちの方やその御家族に車検証やETCカード、車載器の番号が書かれた書類を役所に持ってこさせて、役所に書類を提出させるという手続きが発生しています。別に役所を介さなくても必要な書類を揃えて高速道路会社に提出すれば済むのでは?と疑問を抱かざるをえません。
前回書いたNHKにしろ、今回の高速道路会社にしろ、もとをたどれば国の組織だったことが関係しているのでしょうか。いずれにせよ今は民間の会社なのだから、わざわざ役所を使う必要は無いと思うのですがいかがでしょうか。
解決策
この問題の根本的な解決というわけではないのですが、最近ではマイナンバーを活用してオンラインで申請ができるようになってきました。
これは当事者にとっても役所にとってもありがたいです。役所の手続きってまだまだアナログな部分が多いのですが、ETCの情報と障がいのある方の情報とを紐づけることでオンラインでの申請を可能にしているいい例だと思います。まだまだ窓口に来られる方も多いですが、オンライン申請ができることをもっとPRしていけば、行政の効率アップにもつながると思います。
「増改築」をくり返す福祉の窓口業務
役所の業務、とりわけ福祉部門の業務というのは建物に例えると「増改築」をくり返しているなと感じます。具体的に言うと、新しい対応策を講じた際に以前の方策を残し続けているということ。高速道路でいうなら、ETCにも対応するようにしたことでETCとセットにすればいいのに、従前の有人対応部分も残した形での業務フローになっているのがその例です。申請を受け付ける役所の側のリソースは増えていないのに、対応するケースがじわじわじわじわと増えていっている。日々そんな感じです。
「誰一人取り残さない社会」というと聞こえはいいのですが、あらゆる制度を生きながらえさせるのではなく、新しい制度にスムーズに移行できるように支援するというのがあるべき姿だなと思います。
