福祉担当の変な業務①:NHK受信料減免の証明
役所の福祉の窓口では、本当にいろんな手続きがあります。児童手当や障がい者手帳の申請なんかはイメージしやすいですが、「これって本当に役所がするべきものなの?」と思う業務がいくつかあるのですが、これについて掘り下げていきたいと思います。今日御紹介するのは、障がいのある方のためのNHK受信料の減免制度です。
「なんでNHKの受信料の減免に役所が関わらないといけないの!?」というのが結論ではありますが、まずは制度の概要等をお伝えしようと思います。
制度の概要
NHKの受信料減免ですが、半額免除と全額免除との2種類があります。
半額免除:重度の障がいを持っている方が世帯主のとき
全額免除:障がい者のいる家庭が市民税非課税世帯のとき
私はこの制度自体は福祉目的から何の問題もないと思っていますが、問題はこれらの証明書発行が役所の業務になっていることです。NHKという半分民間の会社が独自に実施するサービスなのに、それに対してわざわざ役所のリソースを使って証明させているという実態があるのです。世帯主かどうかは住民票の写しを提出させれば確認できることですし、非課税世帯かどうかは課税証明書を提出させれば済む話(そもそも課税証明書ってこういったことのために使われるものですよね)。でもこの証明をあえて自治体に作らせるのです。課税証明書なら今の時代コンビニでマイナンバーカードを使えば役所に行かなくても発行できるのに。ちなみに役所は労働力を提供しているのにNHKから1円ももらっていません。
さらには全額免除(非課税世帯かどうか)の調査は毎年必要で、わざわざ役所の担当者が1日がかりで対象者の税情報を1件1件調べ上げ、引き続き免除を受けられるかどうか報告しているという状況。この間担当者はほかの業務ができず、その分業務の停滞を招いています。正直なところ「NHKのために役所がそこまでしないといけないの?」と思わざるをえません。
NHKはどう考えているのか
この業務について調べたところ、NHKの「日本放送協会受信規約」にはこう書かれていました。
「NHKは、免除基準に定めるところにより、定期的に、(中略)免除の事由が存続していることを調査するものとする。」(同規約第10条第4項)
、、、って、主語NHKやん!役所がする必要なんてどこにあるのでしょう?
一応NHKもここに課題を感じてはいるようで、内閣府のホームページにこの制度の話や課題について記載がありましたが、そこにも「自治体の職員の負担」というワードが出ていました。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2210_01startup/221209/startup06_04.pdf
今後、半額免除(重度の障がいのある方が世帯主の場合)については、マイナンバーで連携させることで世帯主かどうか判るようにし、役所の人的リソースを必要とせずに手続きができるようになる可能性はあるようです。が、ここでも全額免除(障害のある方のいる非課税世帯)かどうかの調査については触れられておらず、引き続きこちらの業務は残るようです。役所側の負担を認識しているのであれば、せめて調査にかかる人件費くらい各自治体に支払ってもいいのでは、と感じています。
窓口で実際に感じている課題
福祉目的で制度が存在しているのはいいとして、そのための証明業務を役所側がなぜか負っているという実態を書きましたが、もうひとつ問題を感じているのはNHKの受信料徴収員の勉強不足です。実際に窓口に来られた市民の方から「NHKから『役所に行けば受信料がタダになる』って聞いた」と言われたこともあり、受信料徴収員の説明が不十分なケースが少なくないように感じています。こちらで調べた結果減免できない人もいるので、その場合NHKの受信料が減免にならないことの説明を自治体の窓口職員がしなければならない、という事態が生じています。
結局この制度って、受信料が免除される人が増えれば増えるほど、NHKの受信料未収世帯が減っていくわけで、NHKの経営的にはプラスになるんでしょうね。NHKにとっては、役所が証明をしてくれるし、毎年の調査も役所がやってくれるし、外向けには受信料未収世帯が減っているように見せることができていいことだらけですよね。
本来NHKがやるべき業務を自治体が背負っているので、自治体はNHKに報酬を請求してもいいのではないかと思っています。
