上司の仕事は部下に勇気を出させること

「福祉増進と職員負担軽減との両立をめざす」というテーマで発信している、みきやと申します。関西在住の地方公務員で、2027年4月の統一地方選で地元の市会議員になり、地場産業を取り戻すことをめざしています。

今年の4月に組織改正があり、私の職場では2名の会計年度職員が窓口業務をメインで担ってくださることになりました。

窓口の担当になってまだ1か月。まだまだよちよち歩きの段階ではありますが、少し気になったことと、タイトルにもあるとおり勇気を持たせる必要があるなと思ったので記事にしました。


Aさんについて

不安を抱えながらの仕事

そのうちの一人、Aさん(仮名)は、いつもどこかおびえたような雰囲気をまとっていました。話しかけるときも遠慮がちで、少しのミスにも過剰に緊張しているように見えることがありました。

ある日、少し空き時間ができたので、思い切ってAさんとゆっくり話してみることにしました。

Aさんは以前、介護関係の仕事をされていたそうです。その職場では、即座に対応できないと怒られたり、先輩職員から「前にも言ったよね」と強く言われたりすることがあったとのこと。特に年寄りはすぐに対応してくれないとめっちゃ怒るそうです。認知症になっているとそれに拍車がかかるそう。大変な職場を経験されたようです。

さらにAさんは関西出身ではありません。関西特有のテンポの速い話し方や、少しきつめに聞こえる言い回しが恐怖感につながると話してくれました。話す側には悪意がなくても、聞く側にとっては十分にプレッシャーになることがあるのだと、改めて気づかされました。

それにしても介護してもらっているのに偉そうに振る舞うなんて、日本の高齢者はどうなっているのでしょうか。

オンラインの活用で守ることができる

この話を聞いて、私はあらためて「予約制」の大切さを感じました。

窓口が混雑し、職員が常にフル回転で対応し続けなければならない状況では、精神的な余裕がどんどん削られていきます。とくにAさんのように不安を感じやすい方にとって、窓口の現場はさながら地獄のように映ってしまうのかもしれません。

だからこそ、職員を守らなければなりません。予約制はその一つです。来庁者の流れをコントロールし、職員側にも対応の余裕を持たせる。オンライン申請が増えれば窓口はもっと楽になる。こういう仕組みを作っていくことが上司としても重要な仕事なのだなと思いました。

一方で厳しく見るべき点も

一方で、少しシビアな視点も持ち合わせておく必要があります。

たとえ「怒られるかもしれない」と思っても、その場でわかったふりをしてしまうことの方が、ずっと大きな問題を引き起こします。間違った案内や不十分な説明は、信頼を損ね、市民に不利益を与える可能性があります。

実際、Aさんからは「分からないことがあっても、臆病な性格が邪魔をして、なかなか周囲の職員に聞けない」との声も聞きました。でも、窓口対応は待ったなし。悩んでいる時間にも市民の列は伸びていくし、対応が遅れれば周囲の職員にも影響が出てしまいます。

だから私ははっきりと伝えました。

「窓口が最優先。だからこそ、どんなときでも職員には声をかけてください。それが市民のためであり、チーム全体のためでもあります」と。
そして、「話しかけにくい」と感じているなら、それを正直に上司や周囲に伝えることも、あなたの立派な仕事のひとつですよ、と。

理解度テストを通して気づかされたこと

回答時間8秒!?

業務理解を深めるために、私は簡単な確認テストを作成してみました。Microsoft Formsで作成した正誤問題で、「正しいものをすべて選べ」という形式の問題を2問。選択肢はそれぞれ8〜9個ほどでした。

Aさんの回答時間は——なんとわずか8秒。選択肢ひとつあたり0.5秒もありません。

まともに読んだとは思えないスピードでした。後で確認すると、「私は読むのが早いんです」と言ったかと思えば、「こういう文書を読む問題は苦手なんです」とも。

日本語の文章を理解できない人は3割いると聞いたことがあります。ひょっとしたらその3割の方なのかもしれません。決して能力がないわけではありませんが、文章を読むという点ではかなり不安が残る結果でした。

「見抜けないと思われた」ことについて

正直に言うと——テストに8秒で回答されたとき、「適当に読んだな」とすぐに感じました。あの問題は、選択肢をひととおり読むだけでもそれ以上かかるはずです。

たしかに文章を読むのが苦手だと言っていたので、その気持ちは汲みたい。でも、適当に処理してしまえばすぐにわかる。そういうことが見抜けないと思われたのだとしたら、私も見くびられたものです。そこを責めるつもりはありません。ただ、「それで済む」と思われたことが少し残念だったのです。

テストのあと、Aさんに「自分にはまだ対応できないようなことに、今後対応できるようになるにはどうすればいいと思いますか?」と問いかけてみました。

、、、。答えは返ってきませんでした。

たとえ苦手なことがあったとしても、苦手なりに精一杯戦ってほしい。わからないことは何度も何度も読んで、聞いて、口に出して体にしみこませていく。そうでなければ、自分のキャパシティはいつまでも広がらないし、状況も変わらないからです。

こういうことに立ち向かうには勇気が必要ですね。

上司の仕事は部下に勇気を出させること

この方との対話を通じ、上司の仕事は部下に勇気を出させることだと認識しました。

  • 怒られることをおそれず、分からないことを分からないと表明する勇気

  • 「窓口が最優先だ」と職員に割り込んでいく勇気

  • 「声をかけやすい職場にしてほしい」と声を上げていく勇気

  • 分からないなりに自分の答えを言ってみる勇気

いろんな勇気があります。こういった勇気を出させることが、今の私に課せられたテーマなのかなと思わされたひとコマでした。


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