僻地こそ価値になる? 非日常を追求した「SHELTER.都留」から学ぶ、空き家の未来
「福祉増進と職員負担軽減との両立をめざす」というテーマで発信している、みきやと申します。関西在住の地方公務員で、2027年4月の統一地方選で地元の市会議員になり、地場産業を取り戻すことをめざしています。
先日、山梨県都留市にある一棟貸しのプライベートヴィラ「SHELTER.都留(シェルターツル)」に宿泊する、こちらのイベントに参加させていただきました。
この滞在、単なる休暇ではなく、不動産賃貸業を営む私にとって、今後の事業展開を考える上で非常に多くの示唆を与えてくれる学びの場となりました。
「不便」が価値になる立地戦略
まず驚かされたのはその立地です。完全に人里離れた場所にあり、車で向かう途中には幅1メートルほどの川を横切るという、まさに「この先に宿があるのか?」と疑うほどの僻地でした。
しかし、この不便さこそが、「非日常空間」を演出する強力な仕掛けだと気づかされました。日常から物理的に切り離されることで、心理的にも解放感が強調される。
聖書ではイエス・キリストは川で洗礼をうけました。生死を分かつのは三途の川。こんな感じで実は川は生死のはざま、生まれ変わりというメッセージを持っています。これをまたぐという行為から生まれる非日常感はとても興味深い仕掛けでした。
はっきりいって不便な場所なのですが、一見ネガティブに思える「不便さ」が、ターゲット層によっては「価値」に転換される。都心部に住む人々が求める「デジタルデトックス」や「自然回帰」といったニーズに応える上で、僻地の物件は大きな可能性を秘めていると感じました。
徹底した「非日常」へのこだわり
現地に到着してからも、そのこだわりは続きます。建物へ向かう坂道のアプローチには直径1~2メートルもの巨大な石が並べられ、周囲に植えられた木々も計算し尽くされた配置でした。この時点で、ただの宿泊施設ではない「特別感」がひしひしと伝わってきます。
そして、かつて芸術家のアトリエだったという建物は、単なる木造家屋という言葉では表現できないほどの威厳を放っていました。樹齢100年を超えるであろう杉の木を丸ごと使ったと思われる柱、厚さ5センチ・幅30センチはあろうかという巨大な床板など、何もかもが規格外の仕様で、その圧倒的な存在感に息を飲みました。



さらに、設備一つひとつの細部にまで「非日常」へのこだわりが貫かれていました。照明器具やドアノブ、釘に至るまで真鍮(しんちゅう)で統一されており、随所で放つ金色が高級感を高めます。真鍮でない部分はビスを深く打ち込んだり、隠し釘を使うなど、真鍮だけを見せるという徹底ぶりには感銘を受けました。
また、電気配線やコーキング材の色まで木材に合わせ、時には柱をくり抜いて配線を隠すといった職人技には惚れ惚れしました。普段の生活では目にすることのない、細部への美意識と徹底した仕事ぶりに、「神は細部に宿る」という言葉を改めて実感させられました。このような見えない部分へのこだわりこそが、真の高級感と唯一無二の価値を生み出すのだと、不動産賃貸業に携わる者として深く学びました。
空き家問題への新たなアプローチ「体験価値」の創出
今回の滞在は、各自が発信テーマを掘り下げるためのクリエイティブ合宿という目的がありました。シェルター都留のような空間は、まさにこのような用途にうってつけ。日常の喧騒から離れ、集中して思考を深めたり、新たなアイデアを生み出したりするのに理想的な環境でした。
この経験を通して、私は増え続ける空き家問題に対する一つの答えを見出した気がします。単に「人が住む家」として空き家を捉えるのではなく、シェルター都留のように「特定の目的を持つ人々に、非日常的な体験と創造的な空間を提供する場」として活用する。
従来の賃貸業が「住まい」を貸し出すビジネスモデルであるのに対し、「時間と空間、そして体験を貸し出す」という、より高次元の価値提供へとシフトする可能性を示唆しています。
空き家が持つ「古い」「不便」といったイメージを逆手に取り、「ユニークな体験ができる場所」「特別な時間を過ごせる場所」へと昇華させることで、新たな需要を掘り起こし、地域活性化にも繋げられるかもしれません。
今回のシェルター都留での2日間は、単なる宿泊体験に留まらず、不動産の価値、そして賃貸業の未来について深く考える貴重な機会となりました。
今回の記事は主にハード面の話になりましたが、次回はソフト面、クリエイティブ合宿の中身の話をお届けしようと思います。
