岩手県紫波町のオガールプロジェクトから学んだこと①
「福祉増進と職員負担軽減との両立をめざす」というテーマで発信している、みきやといいます。
このnoteでは、公務員として福祉業務のDXに取り組む私が、リアルな現場での気づきや公務員としての本音、まちづくりに関することについても発信しています。
冒頭の自己紹介文を少し変えてみました。公務員として働く中で気づいたことや思ったことをnoteに書くことが多いのと、「市会議員議員をめざす」と書くと市会議員になっていない自分をアファメーションしているような気がしたので修正しました。
さて本題に入りたいと思います。今回は岩手県紫波町にある官民連携プロジェクトのオガールを視察してきたというお話です。
オガールプロジェクトとは?
オガールとは、JR紫波中央駅前の町有地を活用して整備された複合施設エリアの総称です。
この「オガールプロジェクト」は、公民連携の先進事例として全国的に注目されています。オガールという名前は、紫波の方言で「成長する」という意味の「おがる」と、フランス語で「駅」を意味する「Gare(ガール)」を組み合わせた造語で、「このエリアを出発点として、紫波が持続的に成長していくように」という願いが込められているそうです。
この視察で特に印象的だったのは、公共事業における資金の使い方と、民間事業における資金の使い方の大きな違いです。
民間と公共との資金の使い方の違い
オガールには、町が建てた施設(役場の一部)と、民間が建てた施設(オガールプラザなど)が隣接しています。この2つの建物を見比べると、その違いを垣間見ることができます。
違いが現れているのは建物の規模。
民間の施設が2階建てなのに対し、役所の施設は3階建て。外から見て判る違いは建物を支える柱の太さです。民間の建物は構造上可能なギリギリの太さの柱で建設されているのに対し、役所の建物はそれよりも太い柱が使われていました。
それぞれ次のような理念が現れているのではないかと思いました。
民間: 投資した費用をいかに早く回収し、利益を上げるかが最優先。そのため、安全性を確保しつつ、材料費を最小限に抑えるように徹底した合理化のもとでプロジェクトを進めていく。
公共: 災害時にも機能するという点を重視し、「安全第一」が絶対的な原則。万が一の事態に備え、安全マージンを見込む傾向があり、結果として建設費が膨らむ。
もちろん安全性の確保は重要です。しかし、どこまでが本当に必要なコストなのか、しっかりとチェック機能が果たされたのかは、常に問われることが重要です。
特に建物の場合、ライフサイクルコストという視点は欠かせません。
ライフサイクルコストについて
私はDIYをします。その経験から、建物の構造はシンプルであるほど、後々の修繕がしやすく、メンテナンスコストも抑えられることを実感しています。日本の古い木造家屋は断熱性に問題を感じるものの、修繕等のしやすさについてはある種メリットと言えなくもありません。
メンテナンスコストを含めたライフサイクルコストをいかに抑えることができるのか。これは公共施設にもそのまま当てはまります。
多くの公共事業では、建設費という「初期費用」ばかりが注目されがちです。しかし、建物のコストの大部分は、その後の維持管理や修繕にかかる「ライフサイクルコスト」が占めると言われています。
豪華で複雑な建物は、建設時には見栄えがするかもしれませんが、後々のメンテナンスで多額の税金が投入され、自治体の財政を苦しめることになりかねません。(別に紫波町の役場が豪華で複雑だと言いたいわけではないので誤解のないようにお願いします)
なぜライフサイクルコストという視点が抜けがちなのか。その原因の一つに、役所の人事異動が短期間で行われるということも影響しているのではないかと思います。
政治家が持つべき長期的な視点
役所の職員は数年で人事異動があるため、どうしても「自分が担当している間に事業を成功させる」という短期的な視点になりがちです。
その結果、短期的な視点では採算がとれているように見える計画や見積もりを作成する要因になる可能性も否定できません。ところが実際は事業が長期化し、コストが増大するという問題が全国各地で起きています。
実は、私が住んでいる町でも、隣町との共同事業である連続立体交差事業が、当初の予定より期間延長される事態が起きました。これは、初期の計画や見積もりの甘さに原因があると言われても仕方ないと思います。
これに対して議員は基本的に4年間の任期。複数回当選すると10年、20年という視点で政策に関わっていくことになります。それであればなおさら、議員は長期的な視点を持つことが重要です。
これからは日本もインフレ傾向が続き、建設費や維持管理費は上昇し続けると予想されます。この厳しい時代に、本当の意味での「最少の経費で最大の効果」とは何かを常に問い続けることが、未来の世代に負担を先送りしない、責任ある政治家にとって不可欠な姿勢です。
地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
オガールの視察で学んだこれらのことを、今後の活動に活かし、住民にとって本当に価値のあるまちづくりに貢献していきたいと思います。
