法律よりも一票が大事? ~議員対応に感じた違和感~
「福祉増進と職員負担軽減との両立をめざす」というテーマで発信している、みきやと申します。関西在住の地方公務員で、2027年4月の統一地方選で地元の市会議員になり、地場産業を取り戻すことをめざしています。
役所の窓口でクレーム対応をすることは珍しくありません。しかし、時にはどう考えても対応できない要求が寄せられることがあります。先日も、まさにそのようなケースがありました。
今回は、このクレーム対応を通じて考えたことについて書こうと思います。結論から言うと「職員を守ってくれる議員はいないのか?」ということです。
私が経験したクレーム対応
事案の概要
窓口に現れたのは50代の男性でした。役所にいろいろネチネチを言ってくるのはこの属性の人がめちゃくちゃ多い気がするのですが、他の公務員の方はいかがでしょうか?
この方は被害妄想が強く、「自分が損をするのは構わないが、他人が得をするのは許せない」という考えを持っているように思われます。シャーデンフロイデ、ですね。
具体的な背景は個人情報の関係で明かせませんが、要するに自分の身内と揉めており、相手が経済的な恩恵を受けていると思い込んで、それが許せないという気持ちが強いのです。
事例の詳細を紹介しつつ、その後の展開について御紹介します。
先日のやりとり①
この方は何度も窓口に足を運び、つい先日もアポイントなしで来庁しました。ふだんは身内への攻撃のため、自分の命の時間を使い続けるという生活を送っています。
そんな生活を送っているわけですから、自分のために使う時間なんてありません。役所にわざわざアポなんかとっていられません。VIPは忙しいですから。
そのお忍びで来られたVIPとのやり取り、具体的にはこんな感じでした。
VIP:「○○(相手方)に支払われている手当の内訳を教えろ」
私:「できません」
VIP:「それなら✕✕(相手方の知人で、クレーマーの言うことを聞く人)が来たら教えてくれるのか?」
私:「できません」
VIP:「なぜだ!?」
私:「他人の情報だからです」
このようなやりとりの末、彼はひとまず帰っていきました。しかし、予想通りというべきか、お決まりの行動に出ました。
それは、議員に訴えることです。さすがVIP。議員とのコネクションもバッチリです。
そして、第2ラウンドが始まりました。
先日のやりとり②
VIP:「議員から連絡がいったと思うが、聞いたか?」
私:「聞きました」
VIP:「○○(相手方)に支払われている手当の内訳を教えろ」
私:「できません。○○(相手方)さんの了承をもらってきてください」
VIP:「それなら役所を訴えてやる!」
私:「どうぞ」(←本当に言いました)
この「センセイに言いつけてやる!」という展開、何度も体験した覚えがあります。そもそも最初の時点で不当な要求であり、行政として対応してはいけないケースです。それを議員に訴えるという行動を見ると、正直なところ少し気の毒にも感じます。他に頼るべきところがなかったのでしょう。
とはいえ役所が他人の個人情報を開示しないことに、どのような「訴えの利益」があるのかと、ずっと疑問に思っていました。原告適格すらなさそうですよね。(専門用語を羅列してすみません。法学部出身なもので。)
裁判所が受理するのかどうか、行方を見守りたいと思います。
考えたこと
議員はなぜたしなめないのか?
ここでひとつ疑問が湧きました。
それは「なぜ議員はこのような人物をたしなめないのか」ということ。
前後のやりとりから察するに、相談を受けた議員の方は「丁寧に対応するように言っておきますね」とお茶を濁し、その場をやり過ごしたのでしょう。無下に突き返すことができないというのが、議員にとっての悩ましいポイントなのかもしれません。
特に小選挙区制では「それなら相手陣営に投票する」と言われると、1人で2票分のインパクトがあります。自分の票が減り、対立候補との差が2倍のスピードで変化するため、一票の重みが大きくなるのです。
「一票でも少なければ負け。負けたらただの人。」
この厳しい現実を考えると、2票分のインパクトは相当大きいかもしれません。
小選挙区制の議員には少し同情してしまいますね。
自分が議員になったらどうするか?
では、私が議員になった場合、どう対応するべきかを考えてみました。
私がめざしている地方議会では大選挙区制なので、1人が2票分のインパクトを持つ場面は考えにくいです。そういう点ではたしなめることができる素地はあります。
また、明らかに法律違反となる要求を言ってくる人に「役所にも言っておくから」と見過ごすことは、できれば避けたいところです。公務員出身の議員としてそこは大事にしたいところ。
ただし、要求している本人は「自分は正しい」と本気で思っているため、単純に否定するだけでは解決しません。
デール・カーネギーも言っていますが、議論に勝つには議論を避けることが最良。この記事に登場する議員の対応は、好ましくはありませんが間違いと言い切ることはできない気がしています。
では、この「避ける」を私ならどのように実現するのか。
それについては、また別の機会に考察していきたいと思います。
