第6章 ドレスト光子でエネルギーが変換された こぼれ話13
こぼれ話13 先導性の判断基準[1]
こぼれ話3の冒頭に記したように、 シンゲは論文を発表するにあたり、言い訳じみたことを書いています。しかし彼にとって幸いなことは、研究の先導性を見い出し励ましてくれる目利きの後ろ盾となる人がいたことです。このような後ろ盾に敬意を払うことにより研究は「習った学問」(こぼれ話6)の域を脱するでしょう。
日本でも「作った学問」で研究や教育ができてよいはずなのに、いまだ「習った学問」が多いように感じられます。外国にライバルがいることを誇り、その論文は引用するものの、日本人のライバルがいるのを喜ばず、その論文は引用しないという風潮はないでしょうか?
ただし研究が際立った先導性を保っている限り、その論文は他の研究者の論文にはあまり引用されないので、このあたりの判断が微妙です。「日本発の技術用語を使って研究ができる分野はどれか?問題が作れる研究者は誰か?」を見極められるようになりたいものです。
論文が発表されるとそれが話題になるのはもちろんですが、むしろ大事なのは「あの人のアイデアは果たして実現するかどうか?」を話題にすることでしょう。
先導的な研究とはアイデアを実現する過程です。先導的に見える研究でも実はそのような過程を経ていない場合には、優れた研究者はいち早くそれを見抜き、その分野には参入しないでしょうし、そのようなことを書いている論文も引用しないでしょう。
一方、関連分野の研究者が仲間内で論文を引用しあうといった「相互引用互助」をするのはよろしくありません。似たようなテーマで多くの研究者が盛り上がりを見せていたとしても、これらの流行研究を気にしないでいることが先導性と創造性に結びつくのでしょう。
脚注
1 本稿は私が著者となり自費出版した「光科学技術革命 ドレスト光子はやわかり」―異次元の光技術入門― (丸善プラネット、2014年3月)の第6.3節の一部の文章と図を適宜アップデートしたものです。
