第6章 ドレスト光子でエネルギーが変換された こぼれ話15
こぼれ話15 先駆者の苦悩と展望[1]
追いつけ追い越せの研究開発を行っても先駆者の考えには遠く及ばないものです。つまり先駆者とそれに次ぐ第二位の人の実力の差は、第二位と第三位の差、第三位と第四位の差、・・・にくらべずっと大きいことが多々あります(図6.19)。
先駆者の考えの深さ、苦悩の大きさは計り知れません。先駆者は絶えず異端者なので、周囲から多くの批判を浴びます。しかしそれに耐えて打ち勝つために深く考え、広大な未知領域の展望を的確につかむのです。その結果「次は何に着手するか?研究のゴールは何か?」の答えにたどり着くのです。
ある先駆者が大きな研究成果を挙げた後に今までとは異なる研究分野(例えば物理学からバイオテクノロジーへ)へ突如転身するのはこの先駆者の展望の顕れでしょう。周囲は驚きますが、これは周囲が第二位以下だからです。
先駆的な研究とはそのアイデアを実現する活動であって、それが成功した後には次のアイデアがすぐに必要となります。
アインシュタインは1905年に特殊相対性理論、光量子説、ブラウン運動という現代科学の一大転機となる三つの論文を発表しましたが、それらの本質的な部分はまだ多くの謎を残しています。
科学は大胆な仮説と精密な実証の両方から成り立っており、アインシュタインは前者をもとにこれらの論文を発表したのですが、後者のみが科学だと思っている人の方が多いのではないでしょうか?この誤解はこぼれ話6の「習った学問」に通じるのかも知れません。
仮説をたて実証でき、議論に勝つ人材が必要です。また、それらの人材がなしえた先導的研究を見いだし、評価する事のできる目利きの後ろ盾を見出すことも重要でしょう。

脚注
1 本稿は私が著者となり自費出版した「光科学技術革命 ドレスト光子はやわかり」―異次元の光技術入門― (丸善プラネット、2014年3月)の第6.4節の一部の文章と図を適宜アップデートしたものです。
