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【創作イラスト物語】言葉をひろう小鳥たち


《プロフィールはこちらから↑》

​「ありがとう」や「ごめんね」
そんな当たり前のような言葉ほど
心の中で迷子に
なってしまうことがあります。

​そんな言えなかった言葉たちは
どこへ行くのでしょうか…。

今日は、本当の気持ちを届ける
心温まるような小さな
物語を書いてみました。

それでは、どうぞ!

*.。.。✽ ──── ❁ ──── ✽ 。.。.*


僕たちは小鳥。

えっ?
見れば分かるって?


チッチッチ!


それが
人間には見えないんだな。

だって僕たちは
鳥の精霊だから。


親指くらいの大きさで
ふわふわの羽を持っててね。

風に乗って遊んだり
木の実を食べたりして
暮らしているの。



でも
遊んでばかりじゃないよ。


僕たちには大切な仕事があるんだ。
それはね。

人間が落としてしまった
言葉を届けること。

この世界では
言葉のことを
「言霊」ってよく言うよね。


僕たちも
その呼び方が大好きなんだ。

だって言葉には
ちゃんと魂が宿っているんだよ。


それにね。
言霊には匂いがあるの。

「ありがとう」は優しい匂い。
「ごめんね」は少ししょっぱい匂い。
「大好きだよ」はポカポカした匂い。


どれも素敵な匂いなんだ。

でもね。
言えないまま、ずっと心の中に
しまっておくと大変なの。

言霊は少しずつ殻を作り始めるから。
最初は卵の殻みたいな小さなもの。 

でも何年も何年も放っておくと
石ころみたいに頑丈になっちゃう。 

そして匂いも変わるんだよね。
なんだか苦くて。
なんだか酸っぱくて。

本当は優しい言葉なのに
閉じ込められて拗ねちゃうんだ。 

だから僕たちの仕事は
ただ運ぶだけじゃなくって
言霊の殻を剥いてあげること。

カリッ。
コリッ。
パキッ。

僕たちは小さなくちばしで
ひとつずつ丁寧に殻を剥くんだよ。

するとね。
中からツルンと
本当の言葉が顔を出すんだ。 

「ありがとう」
「嬉しいな」
「よく頑張った」

ほらね。
僕たちの周りに
優しい匂いが戻ってきた。 



そんなある日。
とんでもない
匂いが流れてきたんだ。


「うわぁ!」
「すごい匂い!」
「うへ~鼻が曲がりそう!」

僕たちは慌てて
匂いのもとへ羽ばたいた。

「ねえ、あれって…」
「うん、あの人だよ」
「頑固父さんじゃん!」
「しーっ!聞こえるよ!」 


“ヒソヒソ……”
そこにいたのは頑固父さん。



この父さん
何を隠そう超がつくほど頑固なんだ。

お母さんが
朝早く起きてお弁当を作っても
「ありがとう」
じゃなくて
「箸入れたか?」
なんて聞くし。

子ども達がテストでいい点を取っても
「頑張ったな」
じゃなくて
「次も気を抜くなよ」
なんて言う。

運動会で1等賞をとった日も。
卒業式の日も…

ぜんぶ、あったかい言葉は
胸の中に飲み込んじゃうんだ。 

でもね。
僕たちは知ってるんだよ。

頑固父さんには
ちゃんと伝えたい
気持ちがあるってこと。


だって見てごらん…
お父さんの周り。

あっちにも。こっちにも。

言えなかった言霊が
たくさん、こぼれ落ちているんだ。

「ありがとな」
「応援してるぞ」
「悪かった」
「お疲れさま」
「感謝してるよ」

まるで、砂利みたいに
積みあがってる。



次の日
心配で様子を見に行った僕たち。

でもね
頑固父さんは、家にいなかったの。

「どこにいっちゃったんだろう?」

ほんのり残る匂いをたどって
僕たちは空を飛びまわった。


やがて行き着いたのは
大きな白い建物。

そこで、頑固父さんは
ベッドで寝ていたんだ。


僕たちは思わず顔を見合わせた。

「大変だよ!」
「こんなに溜まってる!」
「全部、拗ねちゃってる!」



しかもね
頑固父さんからは
いつもと違う匂いもしていたんだ。

なんだか
急がなくちゃいけない匂い。

「急ごう!」
「今ならまだ間に合うよ!」

僕たちは言霊を拾い集めた。

カリッ。
コリッ。
パキッ。

硬い殻を剥くたびに
優しい匂いが
ふわっと戻ってくる。

どの言葉も
ずっと胸の中で温めていた言葉。

僕たちは羽が
くたくたになるまで
働いたんだ。


次の朝、全部の言霊を磨き終えてから
僕たちは窓辺に並んだ。

だって今日は
頑固父さんの家族が来る日だから。

お母さんが来た。
子どもたちも来た。

みんな心配そうな顔をして
頑固父さんを見つめてる。



頑固父さんは
しばらく黙っていた。

僕たちも窓辺で丸くなって
じっと見守った。 

するとね。
頑固父さんの胸が
すぅっと大きく膨らんだんだ。 

“あっ、言うんだ”

僕たちには分かった。

だって磨いたばかりの言霊たちが
嬉しそうにふわふわ
浮かび始めたから。


「母さん…心配させて
すまなかった」

「あと、母さんの弁当、毎日
楽しみにしてたんだ。ありがとな」

ひとつ目の言霊が
お母さんの胸に
まっすぐ飛んでいった。 

届いた!

僕たちは思わず
パタパタパタ!っと羽を震わせた。

 

次の言霊が子どもたちに飛んでいく。

「お前たちも。勉強にスポーツ
ほんとによく頑張ってるな」

「お前たち家族のおかげで
父さん頑張れているんだ」

「みんなのこと大好きだ」


家族みんなに届くたび
言霊たちは綺麗な光になって
吸い込まれていったんだ。 


そしたらね。
お母さんの目から
涙がぽろり。

子どもたちの目からも
ぽろぽろ、ぽろり。

でも
みんな、ヒマワリみたいに
笑っていたんだよ。 



僕たち、そのとき
あらためて思ったんだ。
やっぱり人間の言霊って
とってもいい匂いだなぁって。 

すると、お父さんが
ふと、僕たちがいる
窓辺に目を向けたの。 

“あれ?”
“もしかして”
“見えてる?”

僕たちは驚いて
頭の羽をぴんと逆立てた。 



お父さんは少しだけ微笑んで
「ありがとな」
って言ったんだ。

それから
「言えたよ」
って。

ただ、お母さんも、子どもたちも
その言葉が誰に
向けられたものなのか
分からなかったみたい。

だって窓辺には
木々を揺らす
風しか見えないんだもの。


だけど
お父さんの目線の先には
確かにいたんだ。

親指くらいの小さな体で
羽をぱたぱたさせながら
嬉しくて仕方ない僕たちが。

でもね、これは僕たちだけの秘密。

…ううん
君と僕たちだけの秘密なんだよ。

✽ ──── ❁ ──── ✽ 

こちらの記事は
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心に届くものがありましたら…


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それでは、また∞
あなたの明日が心ほどける
1日となりますように🌠
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家政婦セラピスト【光言(みこと)】 最後まで読んでくださり、ありがとうございます! 『この記事、役に立った』と感じていただけたら 氣軽にエールをいただけると嬉しいです♪ これからもあなたに届く記事を生み出す力にさせていただきます。