書く仕事で生き残るために【フリーランス、個人事業者向け生き残り戦術イベントレポ】
先に言っておく。今日の話は、人を選ぶかもしれない。
創作大賞応援期間最後の日に「攻めた内容」かもしれないが、好感度は度外視だ。
もちろん、私はプロなので特定の誰かに向けて書いたのではない。その点は安心して欲しい。
私はあくまで、自分の視点で昨日のイベントレポートを淡々と書いただけである。
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先日、株式会社エーアイプロダクション主催のオンラインイベント「フリーランス、個人事業者向け生き残り戦術」に参加した。
主催者は、ライター研究所を運営している敏腕編集者の江郷さんだ。
2020年7月にライターのための雑誌『ライターマガジン』を創刊。その後、2023年12月には書籍『誰も教えてくれない編集力の鍛え方~AI時代を戦う編集者・ライターの生存戦略~』を自社レーベル『JOB MAGAZINE』から出版した江郷編集長は、エッジの効いた企画を形にして、発信し続けている。
参加を決めたのは、その日の昼過ぎ。療育で娘を抱っこしながらプールの中を歩いたので、体はすっかりクタクタ。
私は車を運転できないので、炎天下の元で重たいベビーカーを押しながら徒歩で療育に通っている。電車移動とはいえ、駅から療育施設へ向かって数分歩くだけでもフラフラだ。
家に帰るなり、月末の作業を終えて「今日はゆっくりしようかしら」と一息つく。
でも、その日はイベントで江郷さんが喋る。
——江郷さん、何話すんだろう。
フリーランス向けのイベントと聞けば「読まれる記事を書くために」「月収50万円稼ぐ方法」といった有益情報がテーマのものを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。
江郷さんは、その逆だ。知り合って長いが、いつ見ても飄々としている。思い起こせば、江郷さんの肩に力が入ってる姿を見たことがない。でも、サラッという言葉に重みがあり、苦労を見せない苦労人ならではのオーラがある。
世には、これを書けばバズる。刺さる。売れる。効率良く稼げる。そんな、コスパの良い有益な情報で溢れている。
江郷さんから、そんな話を聞いたことは一度もない。
彼が運営するライター研究所のオンラインイベントには何度も顔を出しているが
「そんなすぐ簡単にできないと思うけどねぇ〜」
「難しいと思うけどねぇ〜」
という、何かの説明の際に「前置き」があることも多い。きっと、何事においてもそう一筋縄ではいかないのだろう。
そんな江郷さんが、「生き残り戦術」に向けて話すらしい。
イベントは2時間程度なので、その短い間に江郷さんが「生き抜くためのサバイバル的な戦術」を話すということになる。
一体、どんな凄い話が飛び出るのか。生き残るの、大変だと思うよぉ〜みたいな話だろうか。(本当に言いそうで心配である)
江郷さんの話、聞きたい。
気づけば私は、オンラインイベントの「申し込みボタン」をクリックしていた。
◇
イベントの江郷さんは、いつものように飄々としていた。主催者の方からも「今日は、江郷さんのファンばっかりですよぉ〜」というツッコミがあった。もはや、人気編集者の推し活。ファンミーティングである。
そんなことを言われたら「いやぁ〜そうでもないですよぉー」みたいな感じになるかと思いきや、いつもと変わらず飄々としていた。知ってはいたけど、やはり只者ではない。大物だ。江郷さんはイベントで、
「まだWEBのない頃から編集してて……あの時は紙だったんだけどねぇ」
と、相変わらず凄いことをサラッと当たり前のように言っていた。そんなところに、彼の凄さを垣間見るのだが、きっと彼に「凄いですね」と伝えても「あっ、そうなの。でもさぁ〜」で終わりそうだ。
イベントの中で主催者の方が「どんな人が生き残るのか」について、江郷さんに質問する。すると江郷さんは、
「仕事つきない人、淡々と忙しい人は僕の周りにも一定数いるねぇ〜。それも、そんな特別なことじゃないんだけどさぁ〜。
共通してるのは、驕らず低姿勢で、コミュニケーションが丁寧なところかな」
と、サラリ。
その後も、人との繋がりを大切にすること、名前を覚えてもらう大切さ(コメントの返信とか、一年に一回メールするでもいいらしい)など、誰でも「意識」さえすれば出来ることが、長く仕事を続ける上で重要らしい。
そういえば、私の周りで長くお仕事が続いている方々は、みんな低姿勢で優しい。
唐突に喧嘩をふっかけてくる人や、回答に困るようなdmを送ってくる人、さりげなくマウント取るような人も1人もいない。
駆け出しの頃は、やり取りもしたことない同業者から「婚活の記事読みました。お金がそんなに大事なんですか?」といった宣戦布告みたいなメールが来ることもあった。お金、大事に決まってるだろうか。
やり取りしたら、なぜか彼女の身の上話になったので「大変ですね。頑張ってください」と返した記憶がある。
誰かに突っ込む人はきっと、話を聞いて欲しいのだ。そして、ただそのキッカケを探しているだけ。ならば、相談サービスを利用した方がいい。プロのサポートを受けられるし、心がスッキリするはずだ。
そういう目に遭いやすいのは、私も足元を見られていたからだろう。
今は、そういう目にすっかり遭わなくなった。書き続けていくうちに、仲間が増えたのもあるかも。
仕事を続けていくには、「同業者に喧嘩をふっかけられない」という意味で舐められないことも大切だ。意外と、それがダメージを喰らうことに繋がったりもする。
書く仲間は、何も頻繁に連絡しなくてもいい。相手の抱える背景を想像し、思い合うことが大事だと思う。
不思議と、しばらく連絡していなくても、「久しぶり」と声をかけられる。でもそれって、もしかしたら当たり前ではないのかもしれない。
きっとお互いに、努力や意識をしていないと、そのような関係って作れないから。
◇
私は、書くだけなら1人でもできると思っている。
むしろ、書く作業は孤独だ。自分と向き合わなきゃ書けない。人に見てもらうと間違いに気づくけど、その前に1人で書き上げる必要がある。
けれど、仕事となると話は別だ。仕事は、誰かとやり取りをしなければならない。
だから、人に好かれることも大切だし、誰かがこの仕事をお願いしたいと思った時に、「あの人なら……」と思い出してもらえる人になることが大切だ。
◇
灯火杯コンテストのテーマは、書く人へのエール。本来なら、
「折れそうになっても大丈夫。きっとまた、書けるから」
と、優しい言葉を述べるべきだったのかもしれない。
私は、書くのを休んだこともある。過去には、何度か筆を折ったこともある。休んだり、辞めたりしつつも、なんだかんだで書き続けてこれたのは、奇跡と運のおかげだ。
時と場合によっては、私は今……noteを書いていないかもしれない。
だから、「もう書けません」という人に対し、慰めの言葉を簡単にはかけられない。実際に、今までスルーしてきたはずだ。もしかしたら、冷たいと思われてるかもしれない。
けど、一度でも書く情熱があった人なら、たとえ筆を置いたとしても、何らかのきっかけさえあれば、ふたたび心の炎が灯る可能性があると私は信じている。
だから、やめると言った人には「まってます」といえるし、戻ってきてくれた人には「おかえり」と言える。それは、その人の「書く」を信じているからだ。
こんな辛辣な話をして、一体誰を応援できるのか。創作大賞の最後に、疲れが一気にどっと出たのかもしれない。厳しい言葉が出ていたら申し訳ない……いや?この記事内では、私も江郷さんも。誰1人として、難しいことは一つも言っていないはずだ。
大学へ行き直せとか、難しい資格を取れとか、直木賞を受賞しろとか、イケメンを捕まえろとか。そんな難しいことではなく、ほんの少しの心がけで、誰でもできそうなことだ。
でもきっと、誰でもできることを丁寧に行い、なおかつ継続できるというのは、簡単なようで実に難しいのかもしれない。
ほんの少し、人への思いやりや気遣いを忘れないことと、それを継続していくことが大事なのだと。イベントでは、他にもさまざまな金言があったが、とくに印象的だったのがこのお話だった。
イベント内の江郷さんは、穏やかな笑みを浮かべていた。私は少なくとも、彼の笑顔に励まされたし、これからも書き続けたいと思った。
【完】
