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文フリ行ったことない人間が、絵本フェスに行ってきた【イベントレポート】

 文フリ行ってみたいなぁと言い始めてから、3年ほど月日が経過している。

 ここまでくると「本当に行く気あるんかい」と、自分で自分に突っ込んでしまう。

 盛大な言い訳をしてしまうと、

「あのっ、私……noteでいつも見てます……みくまゆたんです」

って話しかけて「えっ?」って困った顔をされたらどうしようとか、「ああ、あいつか……」って苦笑いされたら……とか。

 余計なことをぐるぐる考えてしまい、ずっと重い腰が上がらなかった。

 文フリには無駄な思考を手放し、手ぶらで行けばいい。自分も名乗る必要はない。なぜなら、私は本を買う側だ。

 なぜ、自己アピールしなきゃいけないと考えてしまうのか。根っからの商売人じゃないか。そんな時こそ、本を買う側の気持ちを知るために、ワクワクドキドキを楽しめばいい。

 仕事ではないので、名刺を配る必要もない。なのに、行く前には名刺を印刷しなきゃとか。名刺足りないのではとか、余計なことを考えてしまう。

 ならば覆面で参加して、欲しい本を気の赴くまま購入し、会場の雰囲気を楽しめばいい。

 そもそも私は、インターネットに横顔と後ろ姿しか公表していない。正体はバレない。バレたら「そうなんです。実は私があの……」って変なおじさん風に告白したらいいじゃないか。そもそもバレたところで、別にどうにもならないから。

 人は自分が思うほど、そこまで人のことは気にしていない。

 自分の興味や関心も、いつまで続くかわからない。だから、行きたいと思うタイミング動いた方がいい。

 そう思ってる癖に、私は「人からの誘われ待ち」をしてしまう狡い女だ。

 先日、夫がこの「鉛みたいな重い腰」をひょいっと持ち上げてくれた。

「絵本フェス行かない?」

 夫、絵本なんて興味あったっけ。あまりの意外すぎる発言に、私の体が硬直する。

「絵本フェスって何?なぜ絵本フェスに?」

 そう呟きながら、私は携帯で「絵本フェス」と検索する。

 公式サイトの情報によると、絵本フェスは日本最大級の絵本の祭典であり、絵本作家の方々と触れ合いを楽しめるらしい。

2021年から毎年夏に年1回で開催する、日本最大級の絵本の祭典。日本全国から100名の絵本作家が集まり、自身の作品の即売会から、各種ステージイベントを開催! 日本全国から集まった絵本作家と絵本を愛する多くの人たちが触れ合えるイベント。今年は「絵本のリサイクル」も開催! お家に眠った絵本を持っていこう。

「いこーよ」より引用

「参加費は無料だって。おみやげ券が、無料で配布される!!無料で、何かもらえるかもしれん!!」

 夫は、お得情報に弱い。そして無料イベントを探すスキルは玄人だ。

 夫がWEBライターなら「超お得!!名古屋市内で楽しめるおすすめ無料スポット100選」という記事も書けそうだ。無料イベントに参加する時は、駐車場が無料かどうかもしっかりチェックする。

 そんな夫はどうやら、絵本というより「無料」に惹かれたらしい。

「この日は土曜日だから、土日エコきっぷ(地下鉄乗り放題)を購入して、あちこち回ればいいじゃん!土日エコきっぷは、3回乗れば得をするから!!」

 電車代に関しても抜かりない。とにかく「お得」には目がないのだ。これまで夫は、ありとあらゆるお得情報を調べ尽くし、私に教えてくれた。

 食べ放題。ご飯おかわり自由。夫は、その度にいつも食べすぎてお腹を壊している。家に帰るになり、

「ごめん!我慢できない!!車で待ってて!!ちょっとトイレに!!トイレに行かなきゃ!!あああ!!」

と叫びながら、お腹を抱えてトイレに駆け込んでいく。お得も吸収しすぎると自分が壊れてしまったり、時には損をするのかもしれない。

「じゃあ、絵本フェス……行きましょうか」

 そして、私たちの絵本フェス行きが決まった。

 それからしばらくしたのち、Xのタイムラインをぼんやり眺めているとnoterのコッシーさんが「 #絵本フェス  」のハッシュタグをつけて100円玉が足りないと呟いていた。

 そういえば、コッシーさん愛知県在住だったはず。私はその投稿を見るなり、突っ込んでみることに。

 すると、コッシーさんより参加ブースを教えてもらえた。

 ご本人様より直接「会場案内」の地図をもらえると、足を運びやすい。それは「来ても大丈夫ですよ」の合図だから。

ブースの写真も、事前にnoteで確認できたので迷わなくて良かったです。

 絵本フェスに行ったら、コッシーさんに挨拶をしよう。そして、コッシーさんには創作大賞で応募していた作品の感想も書いてもらっていたので、お礼を伝えようと決めていた。

 コッシーさんには、作品のイメージソングも考案してもらえた。感想を書いてもらうと嬉しい。感想はnoteでも書けるし、いただけるとすごく嬉しい。感想をもらうことで、自分の作品に奥行きが生まれる気もする。

 どうせ会えるなら、直接顔を見て感想を伝えるのもアリかも。声と表情で、伝わる想いもきっとあるはず。

 会場につくなり、私は夫に「コッシーさんのブースはここだから、挨拶に行きたい」と伝えた。

「友達がいるのね、わかった!行こう!あっ、クジが無料で引けるって!!」

 コッシーさんのブースに行く前に、私たちは会場の隅に設置された協賛企業のブースへと向かう。不動産、保険会社。子ども向け英会話教室などなど。至る所のブースを回った。

 ブースのイベントには、クジや子どもの手形制作、箸置きづくりなどもあった。

こねこね……
形も好きなものを使える
可愛い箸置きたくさん作りました


 それらが終わるたびに「アンケートにお答えください」とスタッフから伝えられ、夫は意気揚々とした様子で個人情報を記し始めた。

 協賛企業からは、お菓子やすみっこ暮らしの人形など、色んなプレゼントをもらった。数日後、夫の携帯が蝉のように鳴り続けることとなるのだろう。

 家にも、1週間後に保険会社二社が「作った箸置き」と「子どもの手形に名前の入った額縁」を届けるために訪れる予定だ。

 家にいるのは私。営業に対応するのは私だ。さあ、無事保険の営業を断れるのか。私、断るの苦手なんだけど。ああ、どうしよう。緊張で額に汗が滲む。

 たくさんのプレゼントを抱えた私たちは、やっとコッシーさんの元へ。コッシーさんは、私の顔を知らないが、私は昨年度の「創作大賞受賞式レポート記事」の写真で、コッシーさんを知っていた。

ベストレビュアー賞紹介のところに、コッシーさんがいます。

 実はお恥ずかしい限りではあるが、当初はコッシーさんとコニシ木の子さんを間違えて覚えていた。

どっちがコッシーさんで、コニシさんなのか。そういえば2人とも、名前が「コ」から始まる。

 遠くからでも、ふわっとしたパーマヘアーは目立っていたので「あの人がコッシーさんだ」と、すぐにわかった。

「あっ、あの。すいません……みくまゆたん……と申します」

 挨拶をするとコッシーさんは、にこやかな笑みをして、私たちを迎えてくれた。穏やかで優しそうな雰囲気に癒された。

 来て良かった。

ゲットした絵本

 絵本作家の方々が一同に集う、絵本フェス。日本全国から、この日は100日の絵本作家が吹上ホールに集結する。

 会場の熱気は凄いんだろうなぁ。雰囲気に飲み込まれたらどうしようと思っていたが、思いの外アットホームで優しい雰囲気だった。

 色んな絵本作家さんともお話できた。話しかけると、みんなとても嬉しそう。

 そうか。絵本フェスって、交流を楽しめるイベントなのか。実際に会場へ足を運んではじめて、気づくことも多かった。

 私は日頃から、娘に絵本の読み聞かせをしている。何気なく絵本を読んでいたが、そういえば作者がどんな人なのかとか考えたことは一度もない。作者の顔と、雰囲気を知ると、より一層作品を読む時の気持ちにも変化が生まれそうだ。

 本を売るのは難しいと聞く。まわりにも出版経験のある方々はいて、出すより売る方が……。というよりも、2作目を出せるかどうか。そして、売り続けることが大変とはよく耳にしていた。

 ひょっとすると、絵本を売るのも大変なのかもしれないと、この会場に来て改めて実感した。けれども、絵本を販売されている方々はみんな穏やかで、嬉しそうにも見えた。あくまで、表面的な部分を掬い取っただけかもしれないけれども。

 好きなことを仕事にする。そこには、「好き」だけではどうにもならないこともある。その道のベテランが「好きだけじゃ仕事できない」と苦言を残すこともしばしば。

 自分がどうしたいのか。何がやりたいのかを、もっと掘り下げた方がいいのだろうか。

 それにしても、世の中にはふわっとしたものがあまりにも多い。私みたいに、たまたまふらっと道に入り込んでしまった人が片足を突っ込んだら、曖昧な答えばかりを掲示する深い沼の数々に吸収されてしまいそうだ。

 けれども、泡みたいに柔らかいから救われた気持ちになるのもわかる。ここが明確すぎると、自分が該当してなかったら落ち込んでしまうから。

 好きを仕事にするのは、それなりに大変だ。でも、それはとても幸せなことかもしれない。

 私は今、ライターとして活動している。書くことは好きというより、呼吸みたいなもの。好きを仕事にしているという実感もない。それが幸せかどうかも、いまいち掴めないままだ。

 書くことの面白さと同時に、怖さも把握している。守りに入りがちだけど、時と場合によってはそれじゃ駄目なこともあるし、むしろ「曖昧さ」を求められることもある。

 何年すぎても正解がわからないし、わからないから不安にもなる。けれど、だから面白いんじゃないだろうか。知るために追求するし、学ぼうとする。ゴールがわかってたら、つまらないじゃない。

 好きと大変は、紙一重。けれど、それを楽しめるようになったら最高だ。

 絵本フェスに行って、「好き」を大事にできることの有り難みを知れた。自分が絵本を描いた訳でも、売った訳でもないけど、足を運んで空気を吸い込むだけでも、大きな学びがあった。

 よし決めた。今度こそ、文フリに行こう。

【完】

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