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『余命零日』一年後

〈あらすじ〉

ある日、川村雅之は主治医から余命一か月である事を告げられる。
ある程度覚悟していたものの、実際それを宣告されると様々な後悔が思い起こされる。その日の帰り、道端で一人の妊婦・星野碧と遭遇する。激痛を訴える碧を病院へ連れて行こうとするが、彼女はそれを拒む。それどころか碧は、帰る所が無いという。そんな事が切欠で、二人の奇妙な同居生活が始まった。余命一か月の癌患者と出産まで一か月の妊婦。それぞれの過去が互いの心に波紋を広げる。余命へのカウントダウンが進んでいく中、雅之に不思議な出来事が度々訪れる。


一年後

「今日で1歳よね。」

厚い透明のアクリル板越しに、優子は語り掛ける。その1歳になる赤ん坊は、隣の茜がしっかりと抱きしめている。

「二人とも有難う御座います。何と言って感謝を伝えればいいか……。」

碧は涙ぐみながら、もう一人感謝すべき男を思い浮かべた。

「あれから、1年か……。」

碧の心を見透かした様に、優子はそれを言葉にした。

一年前、碧が無事に子供を出産でき、その後、自らの過ちを償う気持ちになれたのも、あの人との出会いがあったから。そしてあの人を愛する、この二人が居てくれたから。

「雅君に関しては安心して。茜さんと協力しながら、しっかり育てるから。だから、出来るだけ早く、此処から出て来るのよ。きっと、あの人もそれを望んでる筈だから……。」

碧は二人を交互に見詰め、力強く頷いた。

今夜は七夕。拘置所の数少ない高い窓からも、ほんの少しだけ綺麗な星空が見える。

「雅之さん、私は大丈夫です。強く生きていきます。貴方が生きたかった残りの人生の分も。何故か貴方によく似た、雅と共に。」

直後に落下した流れ星は、あの人の返事だったのだろう……。



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