見出し画像

言われるがままシリーズ③はモリ君のお話し。



大学生時代。
一人暮らしのアパート近くのイタリアンレストランでバイトを始めた。
たくさんいるバイトのうち、ほとんどシフトが被らないのがモリ君。

体育大学の2年で、1つ年下だった。

私は主に土日祝要員だったが、体育会のバスケ部レギュラーのモリ君曰く、試合が週末に集中するそうで、シフトで顔を合わせたのは2〜3度だけだった。

そんなモリ君と偶然シフトが重なって、BBQ大会からお久しぶりの再会をした。

モリ君、足はどう?治ったの?

お皿だから早くは完治しないよ。けどもうちゃんと歩けるよ。

結構客足の激しい日で、賄いをいただく頃には10時半を回っていた。
せせこましいバックヤードで会話も続かず、2人で黙々と箸を進めた。

更衣室前でお疲れ様と挨拶したのに、駐輪場に行く通路でまた会った。

モリ君、自転車なの?

なんでわかったの?

自転車のチェーンがリュックについてるから。

てりちゃんも自転車?

私、自転車ないの(彼氏さんが乗って帰ったの)、だから歩き。

乗っていく?

ここ。
このポイント。
距離を詰めてこられたら、意図的に離すところ。
2人乗りになって、否が応でも密着することが分かっているので、断るところ。

なんだけど。
このポイントでどうもハッキリと断れない。


バス停3つ分くらいまで乗せて。

吉野家とかの辺?

そうそう。いいの?ありがとう。


利用できるものはすべて利用しよう。
裏にある細かくて温かい気持ちには気づかないふりをして、ただ送ってくれることだけに、ありがとうって言おう。
あとからの展開は相手任せにして、分が悪くなったら謝ろう。

行動に一貫性や戦略はなく、その場その場の自分があるだけだった。
わかりやすく言うとずるくてイヤなやつだった。


今ならわかるけど、当時どうしてそれに違和感を感じなかったのだろう。


モリ君は足が本調子でないにもかかわらず、重い私を乗せて吉野家の方まで来てくれた。


ありがとう。ごめんね、足痛いのに。


てりちゃん、さっき話してた○○のお店、今度行ってみない?おもしろいらしいよ!


断れ。私。
モリ君は真っ直ぐな男の子なのよ!  
どっちかが気まずくてバイトに来れなくなったらどうする。

○○のお店?
どうしようかな。


2週間くらい経った頃、モリ君と2人乗りして○○のお店方面へ出掛けた。

その後何ごともない顔である日バイトに行ったら、バイトリーダーに話しかけられた。

えっ?どうして。

モリ君から聞いたよ。てりちゃん彼氏と別れちゃったの?


いいなと思ったら応援しよう!