【創作】なんのはなしです家
以前、フォロワーさんから「こういう企画ありますよ」と教えていただきました。
ルールを守って投稿すると、全員まとめて本にしてくれるそうです。すごいですね!
夢があります。
締切は今月の30日までらしいので、気になる方はリンクへ。
私も、せっかく教えていただいたので、ルールを5往復くらい確認して、タグもチェックした上で創作をぶっ込んでみようと思います。
ヤバい。緊張で胸が張り裂けそう。張り裂けたらすみません。
自作の作品↑のお話です。
本作はほのかなブロマンス寄りのBL創作ですが、今回のお話からはBL要素は抜いているので、苦手な方も読める話になっていると思う。
以下、本文。
────────────────────
【創作小説】ツリーハウス
「───はい、皆さんお疲れ様です。今日はお集まりいただき、ありがとうございます」
林が自宅にて集まった一同を見回し、主賓として挨拶をする。
彼の前のテーブルには坂木が買ってきた『大袋のポテトチップス』と『ウーロン茶のペットボトル』、そして小岩井が持参した『実家の牧場の瓶牛乳』、伊藤が持ってきた『朝摘みの苺2パック』等が、所狭しと並んでいた。
「これ、ばあちゃんが摘んだやつ。イチゴミルクも出来そうじゃない?」
伊藤がまるで我が家のように、食器棚に向かい準備している。慣れて居るのか、林も気にしていない。
「えー、では改めて概要を確認します。
きっかけは、石井くんによるツリーハウスの思い出語りから始まりました『ツリーハウスプロジェクト』。
まずは、我が町で見本を造り、見学や体験を通じて様々な世代に町の魅力などを知ってもらおうという───」
話の途中で、玄関のチャイムが鳴る。
「リンは続けてな。私が出るから」
と伊藤はイチゴミルクの入ったボウルをテーブルに置いて、そのまま玄関に向かう。
ややしばらくして「ばぁ!来たの?」と玄関から伊藤の明るい声が聴こえた。
「伊藤のおばあさんだ」
と、何も知らない坂木と石井に林が言う。
「ちょっと、二人はコイと続けてて」
林は3人を置いて玄関に向かった。
「静さーん!こんにちは〜」
と林の愛想の良い声が、玄関から聴こえてくる。続いて会話も聴こえてくるが、坂木と石井にはよく伝わらなかったようだ。
ただニコニコして小岩井を見つめている。
「あー…続けますか」
林の用意していたカンペを手にして、小岩井が会議を続ける。
「『『保全しなきゃいけない』なんて堅苦しい理屈を押し付けても、誰も見向きもしない。
まずは住民である自分たちが、子どもの頃みたいにワクワクする場所を作りたい。大きな木の上に家を建てて、そこで淹れたてのコーヒーを……』」
一際明るい笑い声が聴こえた後、玄関の閉まる音がして伊藤と林が戻ってきた。
「静さんがおまんじゅう蒸してくれたんだって!食べよう食べよう」
と、ニコニコ林が持って来たのは、皿くらいの大きさの饅頭だった。
「「これ、おまんじゅうなんですか!?」」
坂木と石井の声が重なる。
丸いは丸いが、重力のまま平べったくなっている。
「デカいでしょ」
伊藤が笑う。
「うちのばあちゃん、作るもの皆デカいの」
「俺、大好きなんだよ。静さんのおまんじゅう」
と、林は真っ先にかぶりついていた。
「良かったら二人も食べなよ」
「いただきます」
小岩井もすでに饅頭を食べていた。
3人の馴染みのある味なのかもしれない。
饅頭は、小柄な石井の顔くらいあるように見えた。はむ、とかぶりつく石井を見て、坂木が微笑ましそうに目を細めて、自分も続く。
(おもち(実家の柴犬)も、蒸しパンとか作ってると真っ先に飛んで来ていたな…)
などと思い出しながら、坂木は饅頭を小さくちぎって口に入れる。
口には出して言えないが、坂木は小柄な石井に実家の柴犬を重ねている所がある。
饅頭は、ホットケーキミックスを思わせる粉の風味と、甘さ控えめで少し粒感の残る餡が入っていた。素朴な甘みで美味しい。生地には少し、塩気も感じる。
「坂木くんのは、あんこか。俺のはジャムだった」
ふと林と目が合い、林から屈託なく笑いかけてきた。坂木も笑みを返す。
「それで、どこまで話したの?」
伊藤がイチゴミルクをさらに小岩井の牛乳で薄めて飲み、訊いてくる。
「概要はあらかた話した所だ」
小岩井が答えた。
まだ途中ではあったが、最後まで話す必要も無いと判斷したのだろう。
「えーと、そっか。それじゃあ……見本をタブで見る?」
と、まだもぐもぐ言いながら、林がタブレットを操作して皆に見える位置に差し出した。
林が見せたのは、海外のツリーハウスの事例だった。緑の海に浮かぶような、秘密基地そのものの外観に、伊藤は目を惹かれたようだ。前のめりになって覗き込んでいる。
「いいなー。大人になってから、本気で木登りなんてしなくなったもんね」
「僕が見たものは、ここまで本格的ではなかったですね」
石井も身を乗り出している。
伊藤の言葉に、小岩井が頷く。
「構造上の問題はありますが、地元の間伐材を使えばコストも抑えられる。……坂木さん」
「はい」
小岩井に話をふられて、一瞬、坂木の顔が緊張で強張る。悪い人では無いのだが、小岩井の鋭い視線が向くと緊張してしまう。
「坂木さんは確か、実家で犬を飼われているとか。連れてくるとしたら、どんな物があると快適ですか?」
「そうですね……。あまり急勾配じゃない方がいいかもしれません。おもち、あ、うちの柴犬の名前なんですが。臆病な所があるので」
坂木の提案に、石井がすかさず「じゃあ、階段じゃなくて緩やかなデッキを回したりするといいかもしれませんね」と、手元のノートにさらさらとラフを描き始めた。
「いいね、それ! 屋根は藁葺きっぽくしてさ」
「いや、維持が大変だ。ガルバリウムでモダンに攻めるか、それとも──」
最初は「見本」の話だったはずが、いつの間にか議論は「自分たちの理想」へと変わっていた。ウーロン茶のペットボトルは空になり、小岩井の牛乳瓶も珈琲と合わせて空になっていた。
「あー……これ、本気でやるとしたら、まずは場所の選定からだな。町長の許可も取らないと」
「それなら心当たりがあるよ」
林がいたずらっぽく笑って、タブレットを閉じた。
「みんな、明日ちょっと歩ける靴で集まれる? 最高の候補を見つけてたんだ」
お菓子はすっかりなくなり、代わりにテーブルの上には、夢が詰まった新しいプロジェクトのメモがどっさりと積み上がっていた。
────────────────────
お世話になります!
2000文字以内には仕上げているので、たぶん大丈夫なはず。
素敵な企画を教えて下さり、ありがとうございました😊
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
