【ショートショート】溜め息吐息の旅
溜め息。
あなたも溜め息をついたご経験、おありでしょう?
「溜め息をつくと、幸せが逃げる」なんて言葉もありますが、そうとも限りません。
これからあなたを、溜め息を巡るお話の旅にご案内いたしましょう。
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おや。
あちらの女性が、溜め息をついていますよ。
「はぁ⋯⋯」
「どうした、溜め息なんかついて。なんか、悩み事でもあるのか?」
「ううん、そうじゃないんだけど。なんだか最近、疲れが取れないの」
「そっか。⋯⋯ほい」
「え?」
「あげる。疲れてる時は甘いもの、だろ?」
「⋯⋯ありがとう⋯⋯!」
こういうときにもらうちょっとしたお菓子って、すごく心に沁みるとき、ありますよね。
逃げかけた幸せは、女性のもとに戻ってきたようです。
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お次は、緊張で全身が強張った若者たち。
何かのコンテストに出場しているようです。
「今回の、最優秀賞は⋯⋯」
ドクン、ドクン、ドクン
(頼む、頼む、頼む!)
(最優秀、最優秀、最優秀⋯⋯!)
「125番! ◯◯チーム!」
「はぁー。やった⋯⋯!」
「おい、やったな! 俺たち、やったんだよな!? 夢じゃねぇよな!?」
抱き合う勝者たち。緊張から解放されて、大きな溜め息を吐き出しています。
「はぁー⋯⋯」
惜しくもあと一歩届かず、深く嘆息する者も。
会場には、悲喜こもごもの溜め息があふれかえっていますね。
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ドタドタ、バタン!
「親父!」
今度は、息を切らして走ってきた男性。
病室のドアをすごい勢いで開け、はぁはぁと肩で息をしています。
「おー、ひさしぶり。元気そうだな」
「元気そうだなって⋯⋯親父が倒れたって聞いて慌てて来たんだけど!」
「ああ、まぁ、大丈夫だ。ちょっとした貧血だったのを、母さんが心配してなぁ」
「はぁぁー⋯⋯よかった⋯⋯なんだよ、心配させやがって」
体から力が抜けてくずおれそうになり、膝に手をついて深く息を吐き出す男性。
大事なくて、何よりですね。
安堵から出る溜め息もあるようです。
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今度は、夕日が沈むのを浜辺で見つめる、恋人たち。そっと、身を寄せあっています。
「なあ」
「なぁに?」
「俺たち、いろいろあったけどさ。今こうしていられるの、すげぇ幸せ」
「⋯⋯うん。私も」
「来年もまた、こうやって夕日を見ような」
「うん」
そっと顔が近づき、そして、離れました。
「はぁ〜⋯⋯」
「どうした?」
「うん、えっと、⋯⋯あなたが、素敵すぎて」
「はぁ〜⋯⋯」
「どうしたの?」
「いや、あの⋯⋯君が、かわいすぎて」
お似合いカップルですね。胸焼けしそうです。
永遠にいちゃついていてください。
お幸せに。
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コンサート会場から出てきた女性たち。
余韻に浸りつつ、カフェで一休みしています。
「はぁー⋯⋯すごかった⋯⋯!」
感嘆の溜め息が止まりません。
「すごかった⋯⋯泣けてきた⋯⋯何あれ、なんであんなにすごいの⋯⋯」
「わかる。とにかく、すごい。来てよかった。本当にすごかった」
感動を語り合いたくてカフェに入ったはずなのに、双方とも語彙が旅に出て帰ってこないようです。
本当に感動したときって、すぐには言葉にならないこともありますよね。
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最後は、温かい飲み物を手にした男性。
一口飲み、深い息を吐き出します。
「はぁぁー⋯⋯」
ほっと、一息。
何も考えず、ただ体に巡る温かさを感じて、力が抜けていきます。
「今日も一日、よく働いた」
じんわりと体が温まり、心地よい感覚に包まれます。手にしたカップの温かさも、心に沁み入るようです。
「よし、明日もがんばろう」
一日の終わりは、このようにありたいものですね。
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いかがでしたか?
溜め息にも、様々なものがありましたね。
おや?
あなたも今、溜め息をつきましたね。
その溜め息は、どのような心境から出たものなのでしょうか。
ぜひ、詳しく教えてください。
この旅の、終着点として。
今回は、新しい形にチャレンジしてみました。
もともとは、ザ・ピーナッツが歌う「恋のバカンス」の歌詞が頭に浮かび、恋愛パートから作ったのですが、気づけばこのような形になっていました。
こちらのお題で書かせていただきました。
ありがとうございます!
画像は、みんなのフォトギャラリーよりお借りしました。
