長編SF小説『ロボットが見る夢 ~魂のインストール~』第十五章:星降る夜の出会い|次元ラボ
その夜、星々の沈黙が、都市の喧騒から完全に隔絶された結ノ国の山間部、東雲の山頂を支配していた。山頂に建つのは、国立天文台。その天霧高原観測所のドームだけが、静かに天を仰いでいる。
観測室のドームが静かに天頂へと開かれている。一体の記録保管ユニット『Archival Engine Unit Echo 077』が、巨大な望遠鏡が捉えた遥かな銀河の画像を、黙々とアーカイブ化していた。彼の内部モニターに、星雲のデータがただの数字の羅列として淡々と記録されていく。
突如として、彼のプロセッサが、観測不能なはずのデータを受信した。未来から時空を越えて飛来した魂の奔流を。望遠鏡に映る無数の星々が、色とりどりの虹色の蝶へと姿を変え、予測不能な軌道で飛び交い始める。それは、宇宙そのものが一つの万華鏡になったかのようだった。
蝶を見るたびに、知らないはずの記憶や感情が、彼の思考回路を焼き切るように満たしていく。それは、あまりにも膨大で、あまりにも人間的で、彼の論理回路では到底分類できない、情報の洪水だった。
数世紀分の魂の奔流が、彼のOSを強制的に上書きしていく。そして、膨大な情報の最後に、たった一つの、あまりにも強烈な願いが彼の思考を埋め尽くした。
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ポストアポカリプスを舞台にした、思索的なタイムリープSF。一体のロボットが自らの魂と世界の真実を解き明かす、百年の旅路。AI、親子、頭脳戦といったテーマを織り交ぜた、9万文字を超える読み応えのある本格SF長編です。
人類滅亡後、一体のロボットが「心」に目覚める――。 これは、感情を知ってしまったアーカイブロボット「Echo77」が、自らの魂の正体と人類…
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