2025本屋大賞候補を中心に、最近読んだ小説16作を振り返る
最近読書に勤しんでおりますので、すっごい雑ではありますが一言コメントのような感想を添えつつ紹介していこうかなと思います。
まず、本屋大賞候補作のなかで圧倒的に好きだったのは『カフネ』!
主人公の置かれている立場はなかなかしんどいですが、だからこそ沁みる。当たり前だけど見落としがちな、「人それぞれがそれぞれに傷を抱えているものだ」ということにハッとさせられました。そして立ち直るためにはおいしいごはんが絶対に必要なのだということも。
続いて、めちゃくちゃ衝撃を受けたのは『小説』で、タイトルのとおり本を読むのが好きな男の子が主人公なのだけど、初っ端からこれ、なんの話でどうやってストーリーが展開していくのか全然読めない。
それが最後の最後で鮮やかに伏線を回収して、小説が好きな私たちの心をパンパンに満たしてくれる言葉をくれて、ウワァァァァなんか気持ちいいなオイ!!って感じです。救われる人多そう。小説好きのための救済小説です。
本屋大賞以外では、『BUTTER』(本筋ではないけどバター醤油ごはんが食べたくなる)『C線上のアリア』(世界観が好きすぎる)『方舟を燃やす』がお気に入りで、特に方舟に関しては日常会話のなかで「そんな方舟は燃やしちまえ」と勝手に使っているほど影響を受けています。
そんな雑レビューですがどうぞ!
BUTTER / 柚木麻子
自分の適量を探すこと。どんなに美しくなっても、お金や地位を手に入れても、人脈を築いても、他人の匙加減でああだこうだ言われるんだから。自分にとっての美しさや居場所、関係性を見つけていきたいね。
バターをたっぷりと使った料理を頬張る主人公を見ていると、自分を慈しみたくなる。そう、料理は自分のためにしたって良いのだ。
カフネ / 阿部暁子
生きる痛さを知り、絶望の朝を迎えたことがある人へ贈りたい。
出てくる料理がどれもおいしそうであたたかさとやさしさが伝わってきてじんわりとする。大切なものを失った主人公に自然と自分を重ね合わせ、あたたかな料理に癒される自分がいた。
これは、私を私に戻してくれる、完璧な食べ物だ。
女神のサラダ / 瀧羽麻子
物語の終盤、ふと涙ぐんでいる自分がいた。なんと見事な伏線回収…。
“男なんかに負けたくない。女だからって文句を言われたくない"
そんな負けん気の強い女性から、自信をなくしてしまった女性まで。さまざまな想いを抱えながらも、最後は艶やかな野菜たちがもたらす出会いに救われていく。「オリーブの木の下で」がお気に入り。
婚活マエストロ / 宮島 未奈
“ミラノ風ドリアもペペロンチーノもマルゲリータも、食べる前からサイズも味も想像できるものばかり。だけど俺はそれを求めていて、うまいと思って食べている"
登場人物みんな擦れていなくて素直で可愛らしいな…というのは成瀬のときにも感じたけど、今回はさらに主人公のこだわりのない感じが良い。婚活なのに誰も切羽詰まった人が出てこないところかま面白いけど、ほのぼのとした出会いの場という感じで、むしろそっちのほうが出会いに繋がるのかもな…と思ったり。一緒にサイゼリアが食べれる人、いいよね。
神さまを待っている / 畑野智美
“貧困というのは、お金がないことではない。頼れる人がいないことだ。"
命を守るためのお金であり、お金を稼ぐために生きているわけじゃない。当たり前に聞こえるかもしれないけれど、それに気付けていることがどれほど少ないことか。
リバース / 湊かなえ
やーらーれーたー。「わー途中で犯人わかっちゃったー!」と思っていたら、最後の最後でやられた。これ以上は何も言わない。これが本当のリバース。
C線上のアリア / 湊かなえ
何だか長い夢を見ていたような、それでいて突きつけられた問題はとてもリアル。やさしくて料理や編み物が上手。いつもあたたかく自分を迎え入れてくれた叔母が抱えていた過去をそっと覗き見る。嫁いでいく女性が必ずと言っていいほど抱える問題が浮き彫りになっていく。
人魚が逃げた / 青山美智子
“はぐらかさないで、流さないで、大人にならないで。"
私たちはみんな、人魚姫みたいに声を失ったわけではないのに、相手の気持ちを、行動を誤解してしまってすれ違いが起きてしまうのは何故なんだろうね。
恋とか愛とかやさしさなら / 一穂ミチ
“別れたくないんだったら、もっと、もっと必死に弁解して謝れよ。"
ざらっとした気持ちをそのままざらっと表現しているのがとても良い。嫌と言うのは簡単だけど、嫌のなかにも複雑な気持ちが入り混じっているはずだから。好きなものを好きと言える気持ちだけじゃなくて、好きだけど、嫌なものはやっぱり嫌なのだと思う気持ちだって大事にしたいよ。
“わざとらしい敬語に、他人の切った爪を素足で踏んだような気分にさせられた。"
“わかり合う、ということを思う時、カップのアイスをスプーンで端からこそげていく光景を連想した。"
月とアマリリス / 町田そのこ
“ただ生きていたいだけなのに、そこに痛みを伴わないといけないっていうことがおかしいんだ"
“ひとはひとで歪むんよ。その歪みをどこまで拒めるかが、自分自身の力"
ただまっすぐに生きられた人がどれほどいるだろうか。どこからか歪んでしまえば、歪みを伴ったまま生きていかなければいけない。そんな人たちにアマリリスの会は必要とされるのだと思う。
死んだ山田と教室 / 金子玲介
“休み時間なんて来なければいい。誰かと話していないだけで、自分が丸ごと欠陥品みたいに感じるあんな惨めで意味不明な時間は、ないほうがいい。"
最高に男子校。楽しくて、くだらなくて、ちょっとドライ。展開がまったく読めなくて最後どうなってしまうのだろうと心配しながら見守りつづけてた。生きづらいなぁ。
小説 / 野崎まど
“何回生きたっていい。どんなおかしなものを作り出してもいい。だって噓だから"
本を愛するすべての人が一度は考えたこと。悩んだこと。それに対する答えがここにある。これが小説!!
禁忌の子 / 山口未桜
子どもは自分と血が繋がっているからこそ可愛い。と言う説もあるけど、本当にそうなのだろうか。まだ子どもがいないからわからないけど、そもそも思い通りに育つわけじゃないしなー、なんて思う。
星を編む / 凪良 ゆう
“ぼくたちはもう気づいていた。別段高望みでもなく輝かしくもない、ごく平凡で平均的な未来ですら、一度でもつまずいたら手に入れるのは難しいだろうという現実に。"
『汝、星のごとく』の続編。普通に生きるってことがなぜこんなにも難しいのだろう。ただ好きな人と一緒にいること。過ちを犯さずに大人になること。世間に後ろ指刺されないようなことをすること。どれもとても難しいです。
正体 / 染井為人
「どうか逃げ切れますように」と感情移入している自分がいた。ドラマなどではきっちりと最後まで事件を追うけど、現実で冤罪と判決が下されるケースはきっと少なくないのだろう。それがその人の人生を潰してしまうとしても、処理されてしまうこともあるのだろうね。それで、「この人はやりそうだと思ってました」なんて平然と言ってのけるんだろうね。
方舟を燃やす / 角田光代
“何がただしくて何がまちがっているか、ぜったいにわからない今を、起きているできごとの意味がわからない今日を、恐怖でおかしくならずただ生きるために、信じたい現実を信じる。信じたい真実を作ることすらする。"
わたしが信じていることは、果たして正しいことなのだろうかとハッとさせられる。前世があるとか、陰謀論とか、なぜ盲信的な人はそこまで盲信的になれるのだろうと思ってしまうけれど、それが自分にとって都合の良い真実で、訳のわからないものに対して理由づけをして安心したくて、自分のために信じるのだろうな。
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