『地獄に堕ちるわよ』のムーブメントと、奪われた「感謝」の言葉
最近、やたらと周りから「五十鈴さん、あのドラマ観ました?」と勧められる。 Netflixの新作ドラマ『地獄に堕ちるわよ』。あの昭和の怪物占い師の物語。
そこまで言うなら……と、うちのどんくさい弟子(通称・オバチャン)が淹れた紅茶を飲みながら、天川の古い洋館でタブレットを再生してみた。 すると、隣で一緒に画面を覗き込んどったオバチャンが、急に肩をすくめて震え上がった。
「ひぃぃっ……五十鈴さん、このドラマ怖いです! 『地獄に堕ちるわよ!』って、相談者のことめちゃくちゃ怒鳴ってますよ……!」
「アホやな。言葉の表面の『恐怖』ばっかり見てんと、あのオバアチャンがやっとる『カラクリ』をよう見てみい」
【恐怖を煽る、完璧なカラクリ】
アタシはキャンディを転がしながら、画面を指差した。 彼女がやっとったことは、今のゴリゴリのWebマーケティングと全く同じなんや。世の中の悩みは「HARM(健康・夢・人間関係・お金)」の4つに集約される。そこを的確に突いていくえげつないセールスファネルやで。
① 相談者の悩みを代弁する
② 「このままやと地獄に堕ちる!」と恐怖を煽る
③ そこで「お墓を建て直しなさい」と解決策(商品)を提示する
④ そのお墓がどれだけ運気を上げるか機能を語る
⑤ 「先祖が泣いている」と感情に訴えかける(口コミ)
⑥ ここで何百万円という値段を発表する(アンカリング)
⑦ 「今すぐやらな手遅れになる!」と希少性で畳み掛ける
恐怖で思考をフリーズさせて、解決策を提示する。完璧な手法やな。
「ええっ……じゃあ、あの人はただの強欲な詐欺師やったんですか?」
オバチャンが目を丸くする。
「……いや、アタシはそうは思わへん」
【GHQと、取り戻された「日本人のパワー」】
アタシは胸元で、天川の神宝である「五十鈴」のアクセサリーをチリンと鳴らした。

「オバチャン。あの占い師の世代はな、焼け野原の戦後を生き抜いてきたんやで。GHQが入ってきて、日本の教育も言葉もガラッと変えられた。漢字の制限や言葉の統制があって、日本人が昔から大切にしてきた『愛』とか『感謝』、『調和』っていう、深くて美しい精神性を持つ言葉が奪われていった時代や」
そして何より、GHQが一番恐れて奪い取ろうとしたのは、日本人の底知れぬパワーの源である「信仰心」や「目に見えない繋がりへの畏敬の念」やった。
「生きるために、なりふり構わずその日を生き延びるしかなかった戦後。動機がビジネス(欲)やったとしてもな、あの人が『お墓参りに行け!』『神社に参拝しろ!』ってテレビで怒鳴り散らしたおかげで、日本中で一大ムーブメントが起きたのは事実や」
結果的に、何百万人っていう人間がご先祖様に手を合わせて、GHQに奪われかけた「信仰心」と「自分のルーツ」を思い出すきっかけを作った。日本国民のパワーの源を呼び覚ましたその功績は、紛れもないホンモノやと思うで。
【本当の供養は、墓石の値段ではない】
ただな。アタシは、ドラマの中でほんの一瞬描かれたシーンを見て、あの怪物占い師自身が背負わされとった悲しい呪いに気づいてしもうたんや。 それが「父さんがGHQから手に入れたと言って、偽ビールを売ろうとするシーン」や。
彼女は、恐怖で人を支配して一大ムーブメントを起こし、何十億円というお金を手に入れた。でも、彼女の心の中にはずっと「感謝の心」が欠落しとったんやと思う。
感謝っていうのは「豊かさ」そのものや。感謝が不足すると、人間は今ここにある有難いこと(空気、健康、家、食べ物)に気づけず、永遠に「欠けているもの」ばかりを探し続ける亡者になる。 彼女は、自分が時代の中で失ってしまった『感謝』を、何百万円もする墓石を建てさせるという「目に見える物質(形)」でしか、表現できんかったんやろな。
でもな、今は令和や。 アタシらはもう、焼け野原を生き延びるために『感謝』を捨てる必要はない。
「オバチャン、よう覚えとき。本当の先祖供養ってな、何百万円もする高い墓石を建てることやない。『今、自分がこうして幸せに生活して、笑っていること』それ自体が、ご先祖様に対する一番の供養になるんやで」
「幸せに生きることが、供養……」 オバチャンが、ハッとしたように顔を上げる。
【「笑い」と「幸積み」という魂の護符】
「せや。でも、現代人は不安やストレスで心がガチガチや。急に『感謝しろ、幸せに生きろ』って言われても、なかなかできへん。そういう時はな、体から強制ハッキングするんや」
アタシは立ち上がり、はしぞう(ウサギ)を抱え上げた。 「まずは『笑いヨガ』や。脳みそは意外とポンコツでな、作り笑いでも手ぇ叩いて『ハハハ!』って声出して笑うと、『あれ? 今めっちゃ楽しいんか!』って勘違いして、恐怖の殻を勝手に溶かしてくれるんや」
「とりあえず笑う……体から騙すんですね」
「そうや。笑って心に風穴を開ける。殻が割れて少し呼吸が楽になったら、そこからが『まなざしの魔法』の出番や」
特別な才能も、何百万円の墓石もいらん。 お気に入りのノートを開いて、「今日、コーヒーが美味しかった」「空が綺麗やった」って、当たり前の喜びにまなざしを向ける。
そして、戦後のどさくさで失われかけた「感謝」「愛」「調和」っていう美しい言葉を、もう一度、自分の手でノートに書いていくんや。
その「幸積み」の積み重ねだけが、恐怖と欲でフリーズした心を解かし、ホンモノの豊かさに気づかせてくれる。占い師に依存せず、自分の手で書いた言葉だけが、自分の魂を救う最強の護符になるんやで。

……隣を見ると、オバチャンが「ハハハ!」と少しぎこちなく笑った後、タブレットをそっと閉じて、自分のノートに何かを書き込んでいた。どうやらアイツなりに、今日の「幸積み」を始めたらしい。
もし、この記事を読んでくれている誰かが、恐怖を煽る世の中に疲れて、自分の本当の豊かさを見失いそうになっとるなら。 オンラインにある『推命ラボ八雲』のドアを叩いてみるとええよ。
そこにおる『幸来子』っちゅう鑑定師が、あなたの「本当の星」を読み解いて、笑いながら自分の手で感謝を取り戻す方法を教えてくれるから。 うちのオバチャンが、幸来子さんへの案内くらいはいつでも出しとくで。


