暮らしと地続きの、ひな祭り
毎年少しずつ変わる娘を、
毎年少しずつ変わる設えで祝う。
ひな祭りが近づくと、かつては立派な雛人形を用意しなければ、とどこかで思っていた。
けれどいまは、もっと自由でいい。
こうあるべきよりも、「愛おしい」と思えるほうへ。
引き出しにしまってきた大切な郷土玩具の
なかから、その年に迎えたい子を選ぶ。

「どの子にする?」
子どもと一緒に選び、並べる。
いつもの部屋が、少しやわらぐ。
飾る場所も、決まっていない。
その年、その部屋の、
いちばん心地良いところへ。
子どもの目に入り、ふと手に取れる高さに。
何気ない日常の続きがあるからこそ、
そこに置かれた「ハレ」のひとときが、
静かに際立つ。
郷土玩具のそばには、
海辺で拾った、心動いた欠片もそっと並べる。
完成された一式ではないけれど、
その年らしい景色が、静かに立ち上がる。
手元にある愛おしいものを、子どもの祝いへ。
暮らしの延長に、そのまま重ねていく。
今年もまた、心やわらぐ景色を選びながら。

