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自学ノートの外にも、時間は流れていた

「自学ノート」という言葉を、よく目にする。

SNSで見かけた、感嘆する内容。
見事に整ったレイアウトや、きれいな文字。
よくできたものを見るたびに、少し遠く感じることもあった。

文房具屋に行けば、専用のノートまで売っている。

試しに息子に声をかけてみても、動かない。
図鑑や本を眺めるのは好きだけど、それを「まとめる」ことには、全く興味を示さない。


私は目に見えない「正解」にとらわれて、どこか引っかかりだけが残っていた。


┈ ┈ ┈ ┈ ┈

ある日、息子は図書館で「サメ」と検索し、
一冊を借りてきた。

サメの種類をたくさん知りたい。そんな関心があったのだと思う。

サメだけに絞って、写真も豊富に載っている本は、意外と少ない。
その中で選ばれた一冊だった。


ページをめくる手が、止まらない。
同じところを、何度も見ている。

その本は、あとで家の本棚に並ぶことになった。


文:仲谷一宏 写真:中村康夫
出版社:データハウス


息子から「紙、使っていい?」と声がかかる。
コピー用紙を数枚渡した。

すると、絵の具を引っ張り出し、一心不乱にサメを描き始めた。

細かな説明の文字は書いていない。
けれど、見ていたかたちが、そのまま線になっている。

そして、しばらく描き続けていた。


┈ ┈ ┈ ┈ ┈


これが、この子のやり方だったのかもしれない。


本を読むことと、何かを表現すること。
離れているようで、同じ流れの中にある。

本棚には、そういう時間が並んでいる。
だから、ときどき手が動く。

理由ははっきりしなくても、もう内側ではつながっている。


▼ 筆者について
暮らしや表現を見つめるまなざしについて、綴っています。

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