NOを許さない上司のもとから「考える部下」が消えていく
「何か意見があったら、遠慮なく言ってほしい」
そう部下に伝えている管理職は多いと思います
けれど、本当に大切なのは、「意見を言っていい」と
伝えることではありません
その意見が自分と違ったときに、上司がどう反応しているか
たとえば、急ぎの仕事を部下にお願いしたとします
「今日中にこれもお願いできる?」
部下から、
「今日はA社の資料もあるので、両方を今日中に仕上げるのは難しいです」
と返ってきた
その瞬間、
「仕事なんだから、それくらいやってよ」
「みんな忙しいんだから」
「最近の人はすぐできないって言うよね」
そんな言葉を返していないでしょうか?
もちろん、仕事ですから、部下の希望を
すべて受け入れる必要はありません。
上司には上司の役割があります
納期を守ることも、チームの成果を出すことも
必要な仕事を部下に依頼することも管理職の仕事です
だから、
「申し訳ないけれど、これは今日中にやってほしい」
と上司がNOを伝えることもあっていい
ただ、ここで考えたいことがあります
部下がNOと言ったこと自体を、罰していないでしょうか?
部下は「言ってもいいか」を上司の反応から学んでいる
一度、勇気を出して意見を言った
すると不機嫌になられた
別の日に「難しい」と伝えたら、
「やる気がない」というような反応をされた
さらに別の日には、反対意見を伝えたら、
「でも、決めるのは私だから」と会話を終わらされた
これが続けば、人は学習します
「この人には言っても無駄なんだ」
そして、少しずつ言わなくなります
「分かりました」
「大丈夫です」
「特にありません」
上司から見れば、扱いやすい部下になったように見えるかもしれません
でも、実際に起きているのは逆の可能性も……
部下が、自分で考えたことを口にするのをやめただけなのです
「考えない部下」を、上司自身がつくっていることがある
管理職から、
「うちの部下は指示待ちなんです」
「自分で考えて動いてくれないんですよね」
という話を聞くことがあります
もちろん、本人の主体性の問題もあります
でも、一度考えてみてほしいのです
部下が自分で考えて、
「この方法より、こちらの方がいいと思います」
と言ったとき
「いや、それは違う」とすぐ否定していないでしょうか?
「今はそれを考えなくていい」
「言われた通りやって」と終わらせていないでしょうか?
それを何度も経験した部下に、
「もっと自分で考えて」と言っても難しいのです
なぜなら、
考えても採用されないのではなく、考えたことを表に
出すこと自体にメリットがないと学習しているからです
上司と部下は、役割が違う
ここで「対等」という考え方が大切になります
対等というと、
「上司も部下も同じ権限を持つ」
「部下の希望を何でも聞かなければならない」
という意味に捉えられることがあります
そうではありません
上司には、判断する責任があります
部下には、自分の担当業務を遂行する責任があります
役割も権限も責任も違います
でも、
人としてどちらが上で、どちらが下という話ではありません
上司だからNOと言っていい
部下だからNOと言ってはいけない
そうではありません
上司にも「その提案は今回は採用できない」というNOがある
部下にも
「そのスケジュールでは難しいです」
「私は別の方法がいいと思います」というNOがある
大切なのは、NOをなくすことではありません
NOが出てきたときに、そこから対話できるかどうかです
「どちらが正しいか」になった瞬間、相手は敵になる
意見が食い違ったとき
「上司である自分の判断が正しい」
「現場を知っている自分の方が正しい」
と、お互いが正しさを証明し始めることがあります
すると、いつの間にか目的が変わります
本来は、
「どうすればお客様により良いものを届けられるか」
「どうすればチームとして成果を出せるか」
を考えていたはずなのに、
「どちらの意見を通すか」が目的になってしまう
上司と部下が、敵と味方に分かれてしまうのです
でも、本来は同じビジネスをつくっている仲間です
だから必要なのは、「どちらが正しいのか?」
ではなく、
「私たちは何を実現したいのか?」という視点ではないでしょうか
「NO」は対話の終わりではない
部下が、「その納期では難しいです」と言った
そこで、
「仕事なんだからやって」で終わらせるのではなく、
「どこが難しい?」と聞いてみる
「A社の仕事と重なっています」と言われたら、
「では、どちらを優先する?」
「誰かに一部をお願いできないか?」
「今日絶対に必要なのはどこまでか?」と一緒に考える
もちろん、話し合った結果、
「それでも今日はお願いしたい」となることもあり得ます
それでいいのです
大切なのは、部下のNOが必ず通ることではありません
NOを言ったことで、
「面倒な部下」「やる気のない部下」と評価されないこと
そして、NOの背景にある情報を、次の判断材料として扱うことです
「何でも言って」より大切なこと
心理的安全性のある職場をつくろうとして、
「何でも言ってね」「意見があれば遠慮なく言って」
と伝えることがあります
でも、人は上司の言葉よりも、自分が実際に意見を言ったときの
上司の反応を見ています
だから管理職が見るべきなのは、
「部下が意見を言っているか」だけではありません
自分と違う意見を言われたとき、自分はどんな反応をしているか
そこに、そのチームの本当のコミュニケーションが表れます
上司もNOと言う
部下もNOと言う
意見が違うこともある
それでも、「では、どうする?」と同じテーブルで考え続けられる
対等とは、何でも意見が通る関係ではありません
役割の違う人たちが、それぞれの立場から考えたことを持ち寄り、
一つのビジネスをつくっていける関係なのだと思います
部下からNOが出てこなくなったとき
考えない部下ではなく、考えたことを言わない部下を
つくっている可能性はないか?という視点に立つと
自分のマネジメントを見直すヒントが見えてくるのではないでしょうか
「相手に強く言ってしまう…」もしくは「言わないで黙ってしまう」
この2択になりやすい人は自分も相手も大切にする伝え方に
切り替えませんか👇
💫スキ・フォローうれしいです💫
