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不在の風景【創作】

夏草の原っぱに足を踏み入れると、そこだけ草が倒れて白く乾いていた。誰かが横になった跡──いや、友がそこにいた気配だった。

目を凝らせば、陽の下でからかいあっていた姿が浮かぶ。思えばいつも、あいつは笑顔で冗談を飛ばしていたっけ。

もういないはずなのに、その空白が逆に鮮やかに形を持っている。日焼けした肌に、「焼けなかった部分」が確かに残っているように。

あの日、「最後にまたみんなで遊ぼう」って声をかけられた。

ぼくも友達も、大体のクラスのメンバーとは仲が良い。お別れ会をしたあとの、最後の放課後だった。

でもその日、ぼくは「塾があるから」って断った。決まり事やルールは守って生きてきたし、それが当然の選択だと思っていた。

今にして思えば、お母さんだったら、たまに塾を休むくらい責めたりしなかったのに。

ベンチに座れば、隣の空席がやけに重たい。
声も音もないのに、そこに響いていたはずの言葉が耳の奥にこだまする。

消えたんじゃない。
あの日と同じ光の中に、友の輪郭だけが残っている。誰もいないベンチの隣に、座る気配すら感じるほどに。

だからこそ、いないことがこんなにもはっきりと「ある」のだ。

夕暮れの光が揺れる中、自身の影の輪郭を見つめる。もう二度と触れられない空白を、ぼくは今、確かにここに感じていた。

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財布野紐ゆるみ 書いてる人も偉い。書いてないけど考えてる人も偉い。まぶしい。