ナギくんのガン闘病記①
10歳と10ヶ月の我が家の大黒柱、ナギくんの食欲がなく、痩せてきたので、いつもの動物病院に連れて行った。
血液検査、異常なし。
レントゲンで異影を発見。
超音波、エコー検査で、リンパ腫が見つかった。
3ヶ月前にはなかった。
多分ここ1ヶ月くらいで出来たのかもしれない、と院長。
二の句を告げずに黙ってしまった私に院長は問う。
『何を考えていますか』
正直、何も考えられない、と答えた。
『半年の抗がん剤治療をやります。アイちゃんの時と違い、リンパ腫はある程度治療方針が固まっています。治療を始めるなら、今日、ひとつ薬を打ちましょう。本番は来週からです。』
私は黙っている。黙ってそれを聞いている。
『何を考えていますか?どうしますか』
答えは決まっている。言葉がうまく喉から出てこないだけで。なんとか私は乾き切った唇を開く。
『やります』
消化器性リンパ腫というものらしい。血液検査ではわからないタイプのもので、エコーをして良かった、とのこと。
昨日、薬を打ってもらったせいか、今日のナギくんはごはんを食べてお水を飲んで、私の横にいる。
寝てばかりだった、ここ最近からみたら元気そうだ。

また毎週、動物病院通いになる。
抗がん剤治療が上手くいけば、予後は2年。
治療をしなければ数ヶ月ももたない。
まだ全然末期ではない。早く見つけられた方だ、と院長。
やっと仕事が見つかったというのに。
何故、わたしはいつも大切なものを奪われるんだろう。
何かを得ると、何かが必ず失われる。
ナギくんは失いたくない。
黙って奪われてたまるか。
