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【エッセイ】ビエネッタと荒涼とした風景

 ビエネッタというアイスが販売が終了になるというニュースが流れた。チョコレートを薄く挟んで何層にもなって波打ったとてもおしゃれなケーキ風のアイスは昭和生まれの私には特別な存在だった。しかし、もう何年食べていなかっただろう?時々食べておくべきだったのだ。探しても市内のどの店にも売っていない。

 私はビエネッタというと、伊豆大島の火山噴火後の荒涼とした光景が脳裏に浮かぶ。二十歳くらいの時、一度だけ訪れた伊豆大島でみた景色だ。
 友人と一緒に熱海からフェリーに乗って訪れた伊豆大島は噴火から一、二年後だっただろうか。島に行ってから案内所で民宿を決め、宿のあるじのおじさんの手作りのギシギシした宿で、美味しいお刺身を楽しみ、島の中のどこでも停まって降ろしてくれるようなバスに乗って島のあちこちを観光して回った。
 リス園でタイワンリスを手に乗せてひまわりの種を食べさせ、動物公園に行ってそこらじゅうを歩いているクジャクや、サル山で鹿を乗り物にしている猿を眺めたりした。遠い記憶だけで書いているので、現在の伊豆大島がどんな風かは分からない。
 そんな観光の途中で山の上のほうにある温泉ホテルへ行った。たぶん温泉に入りに行ったと思うがそれはよく覚えていない。ただそこから見た、人工物が一切目に入らない、噴火後の原始的な荒涼とした光景が忘れられない。遠い過去へとタイムスリップしたような気がした。
 この流れのどこでビエネッタ?
 多分、温泉から出たあとに売店で買って食べたのだった。その記憶ももうあやふやなのに、荒涼としたその光景とビエネッタが私の記憶の中でいつも結びついている。

 ビエネッタはもう食べれないかもしれない。その温泉ホテルは、数年前に検索したときにはまだ存在していた。あの時は宿泊はしなかったそこに泊ってみたいとずっと思っていた。ビエネッタ販売終了のニュースで慌ててスーパーを探して回って見つからない絶望と同じ後悔をする前に、あのホテルに泊まりに行かなくてはならない。

*ヘッダー画像を「荒涼」で検索したらまさに伊豆大島の写真が出てきました。去年いらっしゃったときの写真のようでした。
ノンシャランさん、ありがとうございます。

*「ビエネッタ販売終了」はカンナ隊長から大賞を頂いたことで特別なワードとなりました。好きな気持ちを後回しにしない戒めとなる言葉になりました。カンナ隊長、ありがとうございます。

*かぜの帽子さんの「忘れられないあの風景」を書く企画に参加します。かぜの帽子さん、いつもありがとうございます✨


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