スリランカの果物事情|おいくらですか?
私の仕事先でもあるスリランカのアーユルヴェーダリゾート、「タマリンドツリー ガーデンリゾート(以下、タマリンドツリー)」。
空港から近いのでまずは4泊し、他のエリアを軽く旅してから、再び1週間くらい、ミーティングやライブ配信の実施のために滞在する予定。
前半の4泊は、ちょうどアーユルヴェーダのお客様は2名しか入っていないようだったので(アーユルヴェーダは予約制のため定員は6名)、私もアーユルヴェーダを受けさせてもらおうと思っていた。
アーユルヴェーダなしのアーユルヴェーダリゾート
しかし、ゼネラルマネージャーから「後半の滞在の時に受けてよ」と言われたので、なんだか暇に。
ちなみになぜ、このタイミングで受けさせてもらえなかったのかと言うと、タマリンドツリーにはドクターが2人常駐しているのだが、初回のロングコンサルテーションでは、国内トップクラスのドクター3名のうちのいずれかが来て診てもらえることになっている。
そのドクターを急にはアレンジできないから、とのことだったのだ。
ならば仕方がないので、溜まっていたPC業務でもしようかなと思ったものの…
こんな楽園にいて、ずっと画面に向かっているのは、やはりもったいない!

南の島でめきめき育つ作物たち
敷地内にある、オーガニックベジタブル ガーデンを撮影がてらぶらつくことにした。

ココナッツの殻がわんさか積まれているのが、ベジタブルガーデンの入り口。

この山盛りのココナッツの外皮は肥料として使うらしい。
スリランカは、世界でも上位に入るココナッツ生産国。
ココナッツウォーターにココナッツミルク、ココナッツオイル、ココナッツの殻を使った食器、その葉は編んで敷物に、と、とにかくココナッツは人々の生活に密着している。
ガーデンに入ると、アーユルヴェーダハーブや果物、野菜が元気よく育っていた。
バナナの木を見上げると、紫色っぽい大きな蕾のような、実のようなものが付いている。
やや離れた所で畑を耕しているおじさんに「これなにー?」と指をさしながら声をかけると「フラワー」と言いつつ寄ってきた。

そして、その大きな花を引っ張って「バナーナ」と。
驚くほどたくさんの緑色のバナナが、その上には実っていた。

私が大喜びではしゃいで写真を撮っていると、おじさんも嬉しくなってきちゃったみたいで「カム、カム」と言って歩き出した。
パッションフルーツってどんな味?
「Come(来い)」だな、と思ってついて行くと、葉っぱが生い茂るトンネルのような背の高いアーチに入って行き、その葉の中にぶら下がるように生っている実を2つ、もいでくれた。
そしてもいだ実を水道で洗って、包丁でカット。
その実はパッションフルーツだった。

そしておじさんが「手掴みで食べろ」とジェスチャーをするので、早速いただいてみる。
強烈に爽やかな香りが鼻に抜け、、
うーん、酸っぱい!!
でもおじさんが嬉しそうにニコニコしながら私が食べるのを見つめているので、頑張って2個とも食べてしまった。
しかし、飲み込んでからもまだ酸っぱくて「すっぱー!」と叫んでいると、どこからかおばちゃんがやってきて、「その日本人、酸っぱいって言ってるじゃないの。もっと甘いの探しなさいよ」という感じでおじさんに文句を言い、再び先ほどのトンネルへおじさんを連れて行った。

いや、もういらないんだけど…
と思っていたが、二人で嬉しそうにさらにパッションフルーツを持ってきてくれたので、人の善意に弱い私はもう一ついただいた。
そうねえ。確かに、少しは甘いかな。
ていうか3つも食べたら、もはや胃が酸にやられてきたような。
内心、そう思いつつも「美味しいよ、ありがとう!」と二人にお礼を言うと、喜んでさらにパッションフルーツを2個くれた。(いらない)
パパイヤとお金
体中が酸っぱいままだったが、せっかくなので色々な作物の写真を撮らせてもらい、帰ろうとすると、再びおじさんが「カム」と。
今度はびっくりするほど大きなパパイヤをプレゼントしてくれた。
その時はお金を持ち歩いていなかったので、チップを渡すこともできなかったのだが、本当はこういうスペシャルなことをしてもらった時にこそ渡すべきなんだろうなと思った。
「部屋に戻ってチップを取ってきていい?」とおじさんに言いたいくらいだったが、おじさんは英語がほぼ分からないようだし、私もシンハラ語が全く分からないので、心を込めてサンキューと言うしかなかった。
なんだか後からチップだけ持っていくのも、変な感じだし。

彼らの好意にスマートに応えたかったな、と、ちょっとだけ罪悪感のようなものを感じながらプールサイドで休んでいたら、
「ミナコ、その大きなパパイヤはなんなんだ」
とレストランスタッフのチャマルさんというおじさんが声を掛けてきた。
ベジタブルガーデンでもらってきたことを伝えると、「そんなサイズのパパイヤ、自分の部屋ではカットできないだろ。レストランの冷蔵庫に入れておいてあげるよ。」とパッションフルーツもろとも引き取って行ってしまった。
リゾートで育てている果物を無料でいただき、それをさらにレストランスタッフが預かってくれる。
ふだん果物に高いお金を支払っている日本人としては、不思議な感覚である。
でもふと見渡せば、ベジタブルガーデンでなくても、そこら中に様々な実がなり、花が咲き乱れている。
リゾート内の客室でもレストランでもアーユルヴェーダセンターでも、どこにでも可愛らしい花が飾られているが、摘んでも摘んでも毎日、新しい花が咲くのだろう。
そして、人間や小動物が食べても食べても毎日、実がなるのだろう。
スリランカは日本に比べると経済的には厳しい国。
生活に困ってしまうくらいに貧しい人も多い。
でも、「お金を稼がなければ生きていけない」という現代の経済システムがもしなかったとしたら。
自然資本だけで人間が暮らすことが常識であるような世の中だったとしたら。
この国の多くの地域では、かなり豊かに暮らせるだろう。
私がスリランカに惹きつけられる一つの理由は、お金では測れない豊かさがあるからなのかもしれない。
「経済的には発展途上国」と言われる一方で、「自然や暮らしの豊かさでは、とても恵まれた国」であるスリランカ。
大自然の恩恵を当たり前のように受けることができて、その胸に抱かれるかのような安心感が、常にある。
すると普段は見逃してしまっているであろう、素敵なものが目に入ってくる。
それは真っ青な空に浮かぶ雲だったり、風に揺れる葉ずれの音だったり、そこで寛ぐ小動物や鳥の息遣いだったり、陽の光に向かって顔を上げる花だったり、人のちょっとした好意だったりする。
それだけで心の汚れが流れ落ちて行く気がする。
その日の夕食。
食後にチャマルさんが、約束通りパパイヤをデザートとして出してくれた。
「ミナコのパパイヤだよ」と。
ううん、これはガーデンで育てたリゾートのパパイヤだよね。ありがとう。

でも、パッションフルーツはすみません、半分以上を残してしまいました。
だって、もう、胃が…
つづく
