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【創作大賞】神の手(仮)

Grade 4 XXIII 惑星の氷河期終焉が約1万年前。その間さまざまなものが解明され、新技術が開発されてきた。そして人類はついに天候まで操作できるようになった。
地球全体の気温上昇に伴い、ある一定の地域だけが乾燥化、あるいは豪雨被害に遭うばかりで、復旧作業が一向に進まないことを懸念しての開発だった。

思い返してみると、人類は天候に左右されながら生きながらえてきた。ある所は干ばつで川や海が干上がり、作物も育たないため人や家畜も飢えに苦しんだ。
乾燥しすぎによる森林火災で失われていく緑。いくら植林しても、二酸化炭素上昇は防げず、地球温暖化への加速が止まらない。

またある所では、ひとたび雨が降るとなかなか降り止まない。そのうえ台風まで頻繁に直撃するなど、水害に悩まされている。ようやく復旧作業にとりかかっても、また嵐のような長雨が続くのだ。

終わりの見えない作業に心身ともに疲れ果てた各国は、考え抜いた末、天候を操作するシステムを作り上げた。地球全体を温室のようなドームで囲み、従来、気候観測に特化していた気象衛星に大気コントローラーと人工知能装置を組み込むことで、その時々に必要な天候へ操作できるようにした。天候操作は各国の気象庁が管轄し、毎週日曜には確定天気を発表することとなった。

これには諸手を挙げて誰もが喜んだ。暑すぎることも寒すぎることもなく、災害級の天候はもはや過去の遺物となった。作物もすくすく育つので、市場には安定して供給でき、かつ価格も安定。物価全体が下がり、人々の生活は潤いだした。
また、これまで復旧作業に費やされていた国家予算は3分の1程度に縮小され、宇宙開発費用へ転嫁されることとなった。
 

そうして50年が過ぎたころ、ある地域で幾何学模様の虹が出現し、世界中が大騒ぎになった。通常半円か円状に見える現象が、今まで誰も見たことのない奇妙な形で現れたのだ。

ある者はこの世の終わりだと言い、ある者は科学的な証明を試みたりもした。しかし日に日に奇妙な虹が目撃される地域が増えていく。それと同時に、発表される確定天気と異なる天候があちらこちらで起きるようになったのだ。とどろく雷鳴と大雨が10日も続く地域があれば、ある特定の位置からしか太陽光が差さなくなる地域や、雹が3メートルも降り積もった地域まで出てきた。

これではまずい、と各国の気象庁や科学者たちが調査に乗り出した。
すると、地球を包むドームが太陽熱により変形し、あちこちに亀裂を作っていた。このままではドーム崩壊まで間もない。再建を迫られたが、それ以上に大きな問題が発覚した。
天候操作システムが稼働していた一世紀の間に、太陽活動が大幅に低下し、活動停止寸前なのだ。
 
 

「はい、そこまで」

僕のプレゼンを聞いていた先生が制止した。

「よくできた方だけど、これでは太陽系が崩壊して人類滅亡ね。知ってる?いくらミニチュアとはいえ、この地球はリアルなのよ。天候操作まではよかったんだけどねぇ。じゃあ次は...24番の人」
 
どうしてこうなったのかは僕にもわからない。地球人ひとりひとりにだって愛着があったから、少しでも心地よい環境を与えたかっただけなのに。
丹精込めて作り上げたミニチュアの地球を見つめながら、僕はただ、崩壊していくさまを見守るしかなかった。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

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