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トロントで就職する

2024年にトロントで就職活動をした時の個人的な経験談です。
海外就職でオフィス勤務志望の方はご一読ください。

 セカンドワーホリで1年の就労ビザを手に入れ、カナダに渡航する。せっかくなので行ったことのない東海岸、トロントに住んでみることにした。まずはAirbnbで部屋を探すが、一人暮らし用1Rの部屋がほとんどない。ダウンタウンを拠点に1Kか1LDKで見てみると、予算がCAD2,000(約22万円)以上必要になる。もう少し範囲を広げ、トロントエリアの隣の市、空港から近いMississaugaでシェアハウスの一室を1か月CAD1,100で借りる。ダウンタウンまではバスとメトロを乗り継いで1時間ちょっとで行ける距離である。私が着いた4月はまだまだ冬真っ盛りで、結局5月末頃まで雪が残っていた。

Mississauga

バンクーバーでの就職活動結果

 過去にバンクーバーで就職活動をやっていたので、やることは決まっている。バンクーバーでは6か月の観光ビザで滞在していた。観光ビザの制度的には就職が禁止されており、就職活動も表向きにはできないことになっている。ただし、企業が就労ビザを出してくれれば働けることには変わりない。就職活動を114社エントリーして、8社電話スクリーニングに進み、4社面接に進み、全社ビザを理由に断られた。「ビザさえ自分で取ってくれればいつでも雇ってあげるよ。」という具合である。日系のPasonaや現地の The Headhunters や Active8 など何社か人材会社にも登録したが、就労ビザがない状態の求職者には紹介できない仕組みになっていた。

就労ビザ

 カナダでの就職には、就労ビザがあることが第一条件であり、就労ビザを企業にサポートしてもらうにはコネがないとかなり難しい。私の前職のカナダ支店で働けないか打診したが、経営難であること、人材ポストに余裕が無いことで実現しなかった。就労ビザのサポートには、政府への企業登録の段階で経営資料の提出や、申請料金を負担が発生する。そのため、ホワイトカラー職の中小企業では外国人採用を視野に入れていないことが多い。一方、カナダ政府が推進している介護職や看護職などの専門職や、寿司職人や建設作業員などのブルーカラー職であれば話は別である。ビザ要件が低く、政府のサポートもあり就労ビザが出やすい。

 セカンドワーホリで就労ビザを獲得したので、バンクーバーで面接した企業で働く選択肢もあったが、旅行がしたかったのでトロントを選んだ。人口も多く公共交通機関も整備された都会だし、色んな国籍の人が多く働く国際都市だから外国人向けの求人も多い。オタワやモントリオールはフランス語バイリンガル求人が多いので、フランス語話者におすすめしたい。

新規移民向け定住支援サービス

 カナダでは移民を推進していた時期が長かったので、移民向けの公共サービスが整っている。これを有効活用していきたい。まず、就職先が決まる前に銀行口座開設ができる。観光以外の長期ビザさえあれば、収入源がない状態でもOKなのである。ほとんどの銀行で移民支援のウェルカムオファーがあり、初年度のカード利用料無料やポイント付与など特典がある。私は潰れなそうで海外にも支店がある CIBC にした。

 また、移民推進の一環で多くのNPOなどが定住支援や職業紹介などをやっている。支援に繋がるには、まず自分が支援が必要だと認知される必要がある。外国人というマイノリティの立場では、カナダで生まれ育った人に比べて経験やコネが圧倒的に劣る。Facebookや LinkedIn でコミュニティを探し、積極的に人と繋がることができる。ACCES Employment のように多国籍の人材紹介に特化した人材会社もあり、そこで就活セミナーや面接練習などを開催していることもある。

求人検索

 求人検索する前に、自分の希望職種のJob titleを絞る必要がある。日本企業では大きく「総合職」と「一般職」に分かれるが、日本以外のほとんどの国ではより細かい職種で採用される。”Inside Sales”, "Marketing Strategist", "Supply Chain Coordinator", "Secretary", "Purchasing Specialist", "Operacion Manager”など、その職務に応じた責任とそれに見合う報酬が設定される。このキーワードが絞れないと、見合った求人は出てこない。そしてこのキーワードをCVに散りばめることで、採用側の要望とマッチしていく。

 求人検索には主に2つのサイトを利用した。

  •   Indeed : 雇用形態、給与、勤務地、業種、職種など、キーワードを絞って検索できる。恐らく地域最大級なので求人数が多い。掲載時期を「2週間以内」など指定すると、募集中の企業だけ見られる。

  •  Glassdoor : 企業の口コミサイト。募集中の求人検索だけでなく、その企業や業界の平均給与や従業員からの評価もチェックできる。入社前も入社後も、基本的に自分で給与や福利厚生の条件交渉をすることになるので、前提知識をつけて臨みたい。

 求人に応募したら、スプレッドシートなどで自分用にメモを取っていた。企業によっては応募ページ時点で、テストや質問を準備しており後から齟齬が無いようにするためである。また、求人情報のページは一定期間で消えていることもあるので、スクショを保存しておく。

応募状況メモ

LinkedIn活用

 カナダで就職活動を始めるにあたり、LinkedInが名刺代わりになる。公立図書館の就労支援セミナーで、LinkedInのプロフィール欄の書き方がレクチャーされるほどである。日本の履歴書のように経歴を並べるだけでは足りない。その人物が何を得意としていて、どんな実績を積んだかというのを具体的な数字で簡潔にまとめる。一目で見て、企業の求める人物像に合うかが分かる必要がある。ネットでどこからでも求人応募できるため、英語圏のカナダにはインドからアメリカから中国から応募が殺到する。企業の人材採用担当やリクルーター目線で見れば、数千件の応募を一件ずつ見極めるのは不可能である。第一段階として、CVやプロフィールが書類選考の対象になる。LinkedInをただ登録していれば良い訳ではなく、Working Professionalと言われるような職種に関連したコミュニティや人脈があるかどうかも整合性を持つ。私の場合は自分の経歴のうち、”Supply Chain” や "Project Management" のキーワードで繋がりを広げていた。

 LinkedInには求人情報も掲載されている。求人掲載をしている企業はもれなく企業ページを持っている。条件に合う求人情報があれば、ワンクリックで応募できるというメリットがある。その反面、世界中から応募してくる数千、数万人がライバルとなる。確実に差別化が図れるポジションや経歴でない限り、採用される確率が低い。

CV作成

 スクリーニングに落とされないためには、CVの作成も重要である。CV作成についても、効率図書館や移民支援NPOなどが毎月のようにセミナーや添削会を開いている。日本の履歴書のように、一度作ったものの志望動機だけ書き換えるのでは足りない。日系企業の人柄採用とは異なり、カナダ企業ではJob採用である。求人要件に沿った単語を落とし込んだり、1-2ページ以内に収めるために添削したり、就職活動をしていく中で仕上げていくことになる。写真や年齢などの個人情報が不要なのは嬉しいが、実力主義の現実に直面する。

Elevator Pitch

 LinkedInやCVの作成だけでなく、セルフブランディング、志望動機を含めたElevator Pitchの練習もしていく。これは自己紹介のことで、「それでは自己紹介をお願いします。」のアンサーとなる。電話でのスクリーニング時に加え、対面の面接でも毎回使うので一度できるようになれば使い回せる。英語での面接時は普段より緊張するため、暗記しても良い。時間制限を指定される場合もあるが、3分程で話すのが良しとされている。短過ぎるとやる気や素質がないと思われるし、長過ぎると自己主張強過ぎと捉えられてしまう。この練習は一人でやるのが難しいので、同じ境遇の人やコミュニティで練習すると恥ずかしさを感じなくて済む。私は人間との方がよかったが、最近はAIとも練習できる。

メンター制度

 就職活動はすぐには終わらない。基本的に落選した企業からフィードバックが来ることはない。自分だけで就職活動をしていると、暗中模索状態になりいずれは心を病む。その前に気軽に相談したり、壁打ちしたり、親身にアドバイスをもらったりできる相手を見つけたい。定住支援のNPO Triec Mentoring Partnershipを始めとして、移住者とその希望職種のメンターを間チングするプログラムなどもある。カナダで活躍する移民は移住時に大変な苦労をしており、定住後にそれを新メンバーに還元したいと思っていることが多い。基本的にメンターはボランティアで、新メンバー側は無料で利用できる。メンターは一人に限らず、自分と相性の合う相手を探したい。志望する企業の先輩でもいいし、業界の仲間でもいいし、プロでもいい。でも、家族や友達以外の人がいい。参考までに、私がお世話になったメンターたちをほんの一部紹介しておく。

  • John Edgard McGraw :多国籍企業や多国籍人材に向けたコーチング業を営む。企業や商工会でのセミナーやPodcastなどで、カナダにおける多文化とのカルチャーギャップを指摘し対策や改善方法などを提案。日本でも就労経験があり、特に日本人が陥りがちなマインドセットや働き方などについて熟知している。

  • Luki Danukarjanto : Focus Inspiredでソフトスキルに重点を置いたコーチング業を営む。PodcastやUdemyのe-Learningでカナダにおける就職や入社後のワークカルチャーなどを広める。個人向けのメンターとしても、ソフトスキルの再発見やセルフブランディングなど、幅広く向き合う。

  • Garry Donaphy:TRIEC Mentoringship Program において、Supply Chain領域でメンターを長年務める。オタワのPurolatorに勤めており、日本での就労経験もあることから、自身の移住体験を元にNew Comerにアドバイスを届ける。

Coffe Chat

 カナダにはCoffee Chat文化が存在する。ただ単に集まってお茶をしばくのではない。OB訪問のような感じで、Working Professionalが集まって情報交換をする。日本人だと馴染みがないが、カナダでは転職が一般的なので、現職に就いている人も気軽にやる。LinkedInやセミナーなどを通じて、企業の採用担当や希望の職種で働いている人に声をかける。求人情報だけでなく、業界のネットワークや困ったときに頼れる仲間を探しておく。カナダで暮らす多くの人は元々が移民で、生活を安定させるまでに苦労している人が多い。近所に住んでいればカフェで待ち合わせて話してもいいし、WhatsAppやZoomなどのオンライン通話でもいい。

 今の仕事に就いた経緯や努力したことなどを聞いてみると、みんなそれぞれ夢があって違う道を通って今に至ることが分かる。メキシコのScotiabankで銀行支店長だった人はカナダですぐに就職できず、しばらくコーヒーチェーンTim Hortonのバイトで生計を立てていた。その後銀行でキャリアを築き、今は副業でコミュニティ運営などのスタートアップ会社を起業している。カナダに移住してすぐ過去の経歴と同じ職種に就くことができず、こうしたSurvival Jobを経る人も少なくない。カナダに引っ越してから希望の仕事を見つけるまで、3か月から半年、1年かかる人もいるのである。

トロントでの就職活動結果

 こうして一時的に収入ゼロのまま、様々な活動を同時に行った。97社エントリーして、5社電話スクリーニング、3社面接を受けた。未経験の業界に絞ったため、バンクーバーでの就職活動よりも確率が落ちた。メンタルが崩壊する寸前で、トロントのホビー製品を扱う卸売商社に内定し、就職活動は3か月で終わった。

まとめ

 就職活動では、希望の1社に受かればそれが成功。もし自分が戦略的なタイプなら、もっと入念に自己分析や企業分析をして、効率的に終えられたと思う。でも結果的に、バンクーバーでの失敗経験がトロントでの成功に結び付いた。今が一番若いし、何度でもやり直せる。海外で就職したい人にはぜひ挑戦してみてほしい。

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