命の物語は「アルマゲドン」より壮大だった(?)映画「スペルマゲドン 精なる大冒険」レビュー
オリンピックが終わったので、とっとと消費しておかねばならないテアトルの優待を使いに「スペルマゲドン」を鑑賞しに行きました。
タイトルからして、あの名作を彷彿とさせる「スペルマゲドン」(ノルウェー作品)。予告編から気になっていた本作は、期待通り、いやそれ以上に「泣かせる」作品となっており大変感激しました。
物語の舞台の半分は、主人公イェンス(♂)の「体の中」。というか「精巣の中」です(笑)。彼らが冒険するのは、子宮~卵管あたりです(なぜか消化管もありますが、以下略)。
その描写は、まるで漫画「はたらく細胞」を彷彿とさせますが、展開はどこまでも王道の「アルマゲドン」。医学的な演出のデフォルメ(最後にその旨、字幕が出てました)も、物語の熱量を高めるための「ナイスな味付け」となっています。
全編を通して面白おかしくコミカルに描かれていますが、特筆すべきは「性教育」としての質の高さです(レイティングは、PG12のようです)。若者が抱く不安への配慮や、避妊についての啓蒙など。特に、イェンスがゴムを開ける時、本体までも噛みちぎってしまっており(本人は気づいていない)、それでも念のためと彼女は、性向後に殺精子剤を投入し、さらにはアフターピルも服用します。そこで体内では、アイアンスーツを纏った精子(ヒール役)が「くそっ!何て用心深い女なんだ!」と捨て台詞を吐くところはとても面白い(笑)。このヒールがいるおかげでストーリーが面白くなってます。精子たちの大冒険は、仲間同士の友情や自己犠牲など(「アルマゲドン」も自己犠牲の精神が凄かったですよね)すごく丁寧に描かれていて好感が持てます。
0.1%の奇跡と人体の神秘
この作品を観て、かつて目にした一本の動画を思い出しました。それは、どこかの大学の先生(?)が生徒さん用に作成されたという受精~出産までの神秘を描いた動画です。あまりの神々しさに、これを見ると毎回思わず涙がこぼれるのです。
それは、私自身が治療の過程で、まだ「ヒト」と呼ぶ前の受精卵や桑実胚などの顕微鏡写真を見ていたから余計にということもあります。結果として私は子供を「産めなかった(not 産まなかった)」けれど、精子と卵子が出会い、受精、細胞分裂を繰り返し、着床、そして胎芽を形成。ヒトの形へと成していく過程が、どれほどの奇跡の積み重ねであるかを痛感せずにはいられません。
産めることが当たり前の方は、受精卵の顕微鏡写真など見ることはないと思いますが(通常では着床後の超音波画像)、その小さな「一歩一歩の尊さ」を、この映画はイェンスという青年の精子の大冒険を通して、丁寧に描き出していました。イェンスがちょっと頭悪そうな感じに描かれてましたが(愛嬌があるという見方もある!)、とても心優しい青年のようです。
あなたが、ここにいる理由
映画を観終えて、かつて親友がプレゼントしてくれた一冊の本を思い出しました。当時、私は離婚と仕事とWで悩んでおり、その本は人生のどん底にいた私を救ってくれたと言っても過言ではない、そんな本でした。親友よ、ありがとう( ノД`)シクシク…
あなたを責める人が
いるかもしれません。
あなたの自由を奪おうとする人が
いるかもしれません。
「頑張れ」と言う人が
いるかもしれません。
人と違うことをしたり
特別な存在になることを
期待する人がいるかもしれません。
でもーーーー
あなたは、ただ、世界を
楽しむだけでいいのです。
あなたのやり方で、
たった一度の
とてつもなく貴重なその人生を、
味わい、
楽しんでください。
そのために、あなたは生まれたのです。
とここまで書いてて、また涙が( ノД`)シクシク…
億単位の競争を勝ち抜き、いくつもの障壁を乗り越え、私たちは今ここに立っています。劇中の精子たちが命がけで卵子(まるで光り輝く太陽のようでした)を目指したように、私たち一人ひとりの始まりは、それ自体が壮大な冒険だったはず。
「スペルマゲドン」は、単なるパロディ映画ではありません。「生まれてきたこと、それだけであなたは勝者なのだ」と、笑いと涙で肯定してくれる、最高の人間(精子)ドラマでした(笑)。
「あなたの物語」でもこう書かれています。
これはあなたが生まれる前に起きた出来事。
あなたは、
3億人が参加したレースの、
たった一人の勝者です。
(中略)
今、あなたがいる場所は、
3億の私たちが
行きたかった世界
ーーー生きたかった世界

