私が出会った愛すべき男たち 四|「何かの関係になりたくない、けど君が好き」と言い続ける男
彼は、バイト先のお客さんだった。
指名されて、好意を持たれた。
一つ年上の大学三年生。
私も、彼が好みだった。
気づけば、名前のつかない関係になっていた。
それは、いつまで経っても変わらなかった。
連絡もしない。
約束もしない。
縛らない。
扉だけは、開けておいた。
閉めたら、もう来ない気がしたから。
私が留学している間に、彼は大学を卒業し、
就職した。
帰国すると、また関係が始まった。
仕事が終わると、たまにふらっと、その開いた扉から入ってくる。
そんなことが、ぽつぽつと続いた。
「何かの関係になりたくない。
でも君がずっと好きだ。」
その言葉を、何度聞いただろう。
私は、もう聞き飽きていた。
そして、ようやく扉を閉めた。

▶︎この話のあとがき
創作ノート|何かの関係になりたくない、けど君が好きと言い続ける男を書いたあとに、書いていて一番意外だったこと
