📖感想企画 #1-1|のぶさん『初恋の先生』第4話を読んで
読ませていただいた作品から、
私が受け取ったものを、
そのまま言葉にしてみます。
今回読ませていただいたのは、
のぶ|気分は小説家さんの
『初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺』
第4話「初恋の人との別れ」です。
初恋の先生と結ばれるため、人生を幼稚園児からやり直すという大胆な設定で描かれる、笑いと切なさが同居する恋愛ファンタジーです。
第4話で最初に残ったのは、
つねちゃんの姿よりも、
隆の視界の低さでした。
ホームの床も、電車の窓も、
やけに大きく見える。
四十九歳の隆が、幼稚園児の身体に戻っていることを説明されるより先に、
その小ささが伝わってきます。
でも、中にいるのは、人生のほとんどを後悔しながら生きてきた大人の隆です。
第1話から第3話まで、彼は何度も「あの時こうしていれば」と考えていました。
卒園後につねちゃんを探していれば。
会いに行っていれば。
気持ちを伝えていれば。
けれど、過去を悔やむ言葉が重なるほど、
隆が本当に戻りたかったのは、
つねちゃんと結婚できる未来だけではなかったのかもしれないと思いました。
一度も呼べなかった名前を、
ちゃんと呼ぶこと。
言えなかった言葉を、今度こそ口にすること。
第4話は、人生をやり直す物語の始まりでありながら、まず「あの別れ」をやり直す場面だったんですよね。
つねちゃんが隆と目線を合わせ、
頭を撫でながら、
「先生は、隆君のこと、いつまでも大好きだからね」
と伝える場面では、少し苦しくなりました。
大人の隆には、
その言葉の意味がすべて分かる。
でも幼い頃の隆は、もしかしたら、その優しさを受け取りきれなかったのかもしれません。
記憶になかった会話だからこそ、
本当に過去へ戻ったのか、
それとも隆がずっと欲しかった言葉を夢の中で聞いているのか、まだ分からない。
その曖昧さも、
この場面に合っているように感じました。
そして、電車の扉が閉まる直前。
隆はようやく「つねちゃん」と叫びます。
さらに、
「俺が大きくなったら――
俺と結婚してくれーっ!!」
と、四十九年間言えなかった思いまで、
一気に外へ出してしまう。
少し可笑しくて、でも笑いきれませんでした。
幼稚園児のまっすぐな言葉なのに、
そこには、何もできなかった大人の後悔が全部入っていたからです。
窓越しのつねちゃんが、
涙ぐみながら笑っていた。
その姿を見た隆の、
「つねちゃんとの別れをやり直すことができた」
という言葉が印象に残りました。
まだ人生を変えたわけではありません。
つねちゃんを幸せにしたわけでもありません。
それでも、呼べなかった名前を呼び、
言えなかった思いを伝えた。
隆にとっては、それだけでも、止まっていた時間が少し動き始めたのだと思います。
この先、本当に人生をやり直していくのか。
それとも、これはまだ夢の中なのか。
続きを知りたい気持ちと一緒に、
ホームから遠ざかる電車の窓が、
しばらく頭に残りました。
のぶさん、
大切な作品を読ませていただき、
ありがとうございました。
また掲載をご快諾くださったり、
心より感謝いたします。
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