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「ことばと新人賞」の応募規定「リニューアル」が、ちょっと「?」だったこと

前の記事で、拙作「ラン・ライク・ア・ガール」が「第6回ことばと新人賞」の最終候補作の一つになったことをご報告しました。

受賞には至らなかったので、要は「落選報告」だったのですが、まあ、それでも最終候補作に選んでいただけたというのは純粋に嬉しく、厚かましくも前回の記事を書いた次第です。↓

さて、『ことばと』vol.8出版と同時に、版元である書肆侃侃房さんのwebサイトで、「第7回ことばと新人賞募集開始」の告示がされました。↓

わたしとしては、次回もぜひ応募したいと思い、勢い込んで「募集要項」をチェックしました。そして、応募規定が「リニューアル」されたことを知ったのです。

『ことばと』編集長の佐々木敦さんは、以下のように書いておられます。

選考委員の皆さんのお知恵を拝借し、ことばと新人賞は二度目のリニューアル、しかも前代未聞(ではないかもしれないが少なくともほとんど前例や類例がないレギュレーション)の募集形態を取ることになりました。

書肆侃侃房「ことばと新人賞」より引用

つまり、選考委員の先生方との話し合いにより、応募規定を改定したということのようです。

具体的にはどう変わったのでしょうか? そこで、前回までの応募規定との違いをまとめてみました。以下の通りです。

①応募時に、選考料2500円が必要。
②下読みはなく、選考委員が直接読む。
③全作品に担当した選考委員より選考コメントが付く。

おおっ、確かに「新人文学賞」としては、あまり類のない――ある意味尖った応募規定ですよね。

何しろわたしは次回も応募する気満々でしたから、応募規定を穴の開くほど読みました。その結果――

「え? これってちょっと……」と僭越ながら思ってしまったのです。

以下は、あくまでわたしが感じた違和感です。名だたる選考委員の先生方の合議で決まったことなのだそうですから、頭の悪いわたしなどには理解し得ない深い意味があるのに違いないとは思います……思いますが、しかし……!

わたしなどがここでつぶやいても、何の意味もないとはいえ、愛すべき『ことばと』の一読者として、「?」と感じたことは事実なので、メモ代わりに書いておきたいと思います。

①選考料2500円がかかる。

これは、わたしとしては別にかまわないと思います。「2500円」という金額が妥当なのか、どういう計算から出たものなのかは知りませんが……(もしかして選考委員の先生が合計5名なので、一篇につき、選考委員おひとりの取り分は「ワンコイン(500円 )」という計算なのでしょうか?)
ただ、応募締切りが「2025年6月10日(火)24時」となっているのですが、同時に「(募集上限に到達次第〆切)」となっているのが「?」です。ちなみに、「募集上限」は「130作品」なのだそうです。

新人文学賞の投稿者はふつう、締切りから逆算して執筆計画を立てると思うのですが、締切りに「募集上限」が加わると、話は違ってきます。
だって、実際には・・・・いつまでに応募すればいいのかわからないわけですから、投稿者としては、いつ「上限」になるかと戦々兢々としながら応募原稿を書かなければならない――なんともスリリングで、その意味では確かに「前代未聞」だと思います。

②下読みはなく、選考委員が直接読む。

これ自体は、「いい!」と感じる人が多いと思います。
わたし自身は、「下読み」制度が必ずしも悪いとは思わないのですが、文学賞の応募者の中には、匿名・・の「下読み」の方に読まれることに不安や不満を感じている人もいらっしゃるようなので、「なるほど」と思いました。でも……

江國香織、滝口悠生、豊﨑由美、山下澄人、佐々木敦が分担して応募原稿の全てを読みます(下読みはありません)

書肆侃侃房「ことばと新人賞」より引用

わたしが感じた「?」は、各選考委員が「分担して応募原稿を読む」という部分なのです。

これは、5名の選考委員の先生が、それぞれ「応募総数の1/5」ずつを読むという意味に解釈していいのでしょうか。

もしそうだとすると……ちょっと「あれ?」と思ってしまいます。

「下読み無し、選考委員が直接応募原稿を読む」を謳うのであれば、選考委員の先生が、各自応募作の全てに目を通すべきではないでしょうか。

従来の、下読み制度を採用している「新人文学賞」では、一次選考は外部委託の分担制が普通のようですが、二次選考以降は、応募作一篇につき、その出版社の編集者さんが二人か、三人一組で読むと聞きます。

それは、小説というのは読む人によって評価が異なるという前提に基づく、選考過程の公平を期すための措置なのでしょう。

しかし、「ことばと新人賞」の「分担して読む」という文言は、一つの作品を読むのは一人の選考委員のみであるという意味のようです。

では、ここで第三点です。

③全作品に担当した選考委員より選考コメントが付く。

但し――

応募作品には「ことばと」vol.9発行後、担当した選考委員による選考コメントがつきます。コメントは無記名で「ことばと編集部」よりメールで送付予定です。

書肆侃侃房「ことばと新人賞」より引用

要するに、自分の作品を選考委員のどなたが読んでくださったのかわからない……ってことですよね?

わたしが、一番「??」だったのは、実はこの部分です。

だって、わざわざ「(下読みはありません)」と強調するのは、選考過程における匿名性の否定――つまり、「あなたの作品は、匿名の下読みが読むのではなく、この錚々たる選考委員の先生方が直接読んでくださるんですよ!」ということではないのでしょうか?

それなのに、「コメントは無記名で」――

ホワイ? どぎゃんこつね?

これって矛盾じゃないの、と正直思ってしまいました。

匿名性を否定する「リニューアル」のはずが、結局、匿名になってしまっている。

「2500円」の選考料を払っても応募したいという人は、お目当ての選考委員がきっといるはずです。

でも、実際にはどなたが「担当」するかわからないし、最後にコメントをいただいても、五人のうちのどなたのコメントなのか、応募者には知らされない……。

「あなた、何言ってるの?素人が書いた応募作全てを、偉い作家先生が読んでくれるわけないじゃない?先生方はお忙しいんですからね!」

まあ、そう言われれば、「ごもっともです」とうなだれるしかありませんが、それなら、従来通り「最終候補作」だけを選考委員が読むという形でいいのではないかしら?

「下読みの人ではなく、名だたる選考委員の先生が直接読んでくださるんですよ!」というのが、佐々木敦さんの言う「前代未聞(ではないかもしれないが少なくともほとんど前例や類例がないレギュレーション)の募集形態」であるなら、「コメントは無記名」の規定は、投稿者に対してというより、ご自分の文学観に基づき、信念をもってコメントを書いてくださる先生方に対して失礼ではないのか、とすら思ってしまいます。

でも、今回の応募規定の「リニューアル」が「選考委員の皆さんのお知恵を拝借し」た結果だと書かれているので、わたしとしては、謎は深まるばかり……。

いっそ、アイドルの握手会みたいに、自分の好きな選考委員を投稿者が指名できるようにしたら盛り上がると思うんですけどね。

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