悩みが深い人ほど、うまく説明できない
夜、布団に入ってから、誰かにLINEを送ろうとするときのこと。
「最近ちょっとしんどくて」
そこまでは打てる。
でも、そのあとが続かない。
仕事のことを書こうとすると、人間関係の話になるし、
人間関係のことを書こうとすると、自分の性格の話になって、
自分の性格のことを書こうとすると、急に恥ずかしくなってしまう。
そんなことを考えているうちに、文章がどんどん違うものになっていくんです。
最初は、ただ聞いてほしかっただけなのに、いつの間にか自分を弁護したり、相手をかばったり、話を軽く見せようとしたりしている。
何度か書き直して、最後は全部消す。
スマホの画面を閉じて、
「まあ、送るほどのことでもないか」
と思う。
でも、しんどさだけは残っている。
けっこう苦しい。
同じような経験、されたことありませんか?

悩みを人に話せないことそのものより、
「自分でも何に悩んでいるのか、うまく説明できない」
ということが、さらに自分を追い詰めることがあります。
本当に悩んでいるなら、もっとはっきり言えるはず。
説明できないなら、大したことではないのかもしれない。
そんなふうに、自分の悩みを自分で疑ってしまう。
でも、僕はそれを、少し雑な見方だと思います。
うまく説明できない悩みは、存在しない悩みではないんです。
むしろ、悩みが深いときほど、ひとことで言えないことがあります。
「仕事がしんどい」と言えば、たしかにそう。
でも、仕事そのものが嫌なわけではない。
職場の人の顔色を見てしまうこと。
頼まれると断れないこと。
休みの日にも、月曜のことを考えて体が重くなること。
ちゃんとやっているのに、どこかでずっと足りない気がすること。
そういうのが全部、少しずつ混ざっていたり。
「人間関係がしんどい」と言えば、たしかにそう。
でも、誰か一人を嫌いになりたいわけでもない。
相手の言い方に傷ついた。
でも、相手を悪者にしたいわけではない。
自分も気にしすぎなのかもしれない。
夜になってもその一言が頭から離れない。
こういうものは、ひとつの言葉にしようとすると、どうしても薄くなります。

悩みは、きれいに分類されて出てくるわけではないんです。
怒っているのに相手をかばっていたり、悲しいのに「私も悪い」と思っていたり、助けてほしいのに「迷惑をかけたくない」とブレーキをかけていたりする。
本音がないのではなく、本音が一列に並んでくれない日がある。
だから、言葉にしようとしたときに詰まる。
心理学の言葉で言えば、心はつらすぎるものをすぐには見せないことがあります。
でも、難しい言葉で考えなくてもいいと思います。
いちばん痛いところに、心が少しだけ霧をかけているような感じです。
全部を一気に見るとしんどすぎる。
だから、少しぼかす。
少し遠ざける。
「よくわからない」という形にして、なんとか日常を続けようとする。
だから、
「何がしんどいのかわからない」
という状態は、怠けでも甘えでも、ない。
まだ、自分の心が安全な言葉を探している途中なのかもしれない。
厄介なのは、悩みを話す前に自分でその悩みにダメ出ししてしまうことです。
「こんなことで悩むのはおかしい」とか、「相手も悪気があったわけじゃない」って考えたり。
もっと大変な人もいるし、私が気にしすぎなだけかもって感じたり。
自分の痛みにたどり着く前に、話が終わってしまうこともある。
本当は、嫌だった、とか、悲しかった、とか。
気持ちがあるのに、その手前で止まってしまう。
これは、かなり疲れる生き方。
人に合わせるのが上手な人ほど、自分の気持ちを後ろへ下げるのが早いんです。
相手が困る顔を想像した瞬間に、
「やっぱり言わない方がいいか」
と思う。
相手に嫌われそうだと思った瞬間に、
「私の考えすぎかもしれない」
と引っ込めてしまう。
そうやって何度も自分の気持ちを後ろへ下げているうちに、自分でも何が本音だったのか見えにくくなっていく。
だから、悩みが説明できないとき、
「私は自分のこともわからないダメな人間だ」
と決めつけなくていいんです。
もしかすると、わからないのではなく、これまで何度も飲み込んできたのかもしれない。

相談するときも同じです。
何かに申し込もうとして、
「相談内容をご記入ください」
という欄で手が止まることがある。
「仕事」と書くと違う。
「人間関係」と書くと足りない。
「自分に自信がない」と書くと、急に薄っぺらく見えたり。
本当は何かある。
ずっとあるんですよね。
でも、文章にしようとすると、どれも違うとうに思えてくる。
そこで、
「もっと整理してから相談しよう」
と思って、ページを閉じてしまう。
けれど、考えてみればちょっと変な話です。
整理できないから、相談したい。
言葉にならないから、誰かの視点を借りたい。
ひとりで考えるほどわからなくなるから、外から見てもらいたい。
それなのに、
「きれいに説明できるようになってから」
と自分に条件をつけてしまう。
きれいに説明できる悩みだけが、相談していい悩みではありません。
まとまっていない言葉や、途中で止まる文章
何度も消したLINEとか、「大丈夫」と言ったあとに残る重さ。
そういうものは、捨てるものではなく、手がかりです。
悩みは、最初から完成した文章で出てくるわけではありません。
断片、違和感、体の重さ。
誰かの一言が夜まで残る、という形で出てきたりする。
それをすぐに、
気にしすぎ、とか、弱いだけとか、説明できないなら大したことない、
と片づけてしまうのは、少し早い。
うまく説明できない悩みは、存在しない悩みではないんです。
まだ、言葉になる途中の悩みです。
まずは、
「うまく言えないけど、何かがしんどい」
というところから見てもいい。
そこには、まだ名前のついていない本音があるのかもしれません。

こういうモヤモヤを、もう少し個別に整理してみたいあなたは、
あなたのモヤモヤを読む【星読みミニレター】
をご用意しています。
うまく説明できなくても大丈夫です。
まとまっていない言葉の中から、今どこで引っかかっているのかを、読み解いていきます。
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