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【アート巡り記】エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし@東京都現代美術館 2026.5.24訪問

 子どもがいないので絵本の世界には疎く、エリック・カール(1929-2021)という名まえはなんとなく聞いたことがある程度、「はらぺこあおむし」という絵本にもほとんど馴染みはない。それでも絵本の原画をアートとして見ることには興味があったので、博物館や美術館のハシゴはあまりしないようにしているのだが、江戸東京博物館がある両国駅から都営大江戸線に乗って清澄白河駅へ移動し、東京都現代美術館へ行ってみた。本当の目当てはエリック・カール展よりも、そのチケットで見られるMOTコレクション展である。

 しかしこちらも日曜日の昼過ぎに行くべきではなかった。まず腹ごしらえをしようと美術館内のカフェ「二階のサンドイッチ」に行ってみたら、ファミリー層であふれかえっていた。そういえば駅から美術館に来る途中の飲食店もことごとく混んでいたっけ。なるほどエリック・カール展、かなり盛況らしい。それでもここまで来たからには観ていきたいし、展覧会を見る前に食事をしておきたい。先に席を確保し、サンドイッチをトレイに載せてレジに並ぶこと10分強、ようやくコーヒーを注文して会計をすませることができた。会計待ちの間に少し空席もできてきたので、ハイカウンターにキープしていた席から、テーブル席に場所を移してようやく食事にありつく。

 そしていよいよエリック・カール展に入ろうと思ったら、入口に長い列ができていた。私は招待チケットを持っていたため知らなかったが、オンラインでは「土日・祝休日および会期末の日時指定チケット」が販売されていて、ちょうど13:00〜15:00のチケットを持っている人たちを案内していたのだった。どうやらいちばん混雑する時間帯に来てしまったらしい。やはり並んで 待つこと10〜15分ほどだったか、なんとか受付を通過してエスカレーターで3階に上がる。3階エリアは撮影不可だった。入口付近は子どもたちを含めて人が多く、そもそも撮影できるような状況ではなかったが。

 1章は「はらぺこあおむしの誕生」。最初に絵本『はらぺこあおむし』の1969年版と1987年版の原画が展示されていた。ここは親子が絵本を思い返しながら観る場となっているようだ。とても近寄れないので、遠目に見ながら通り過ぎる。世界中で人気の絵本ということで、20周年、25周年、30周年、45周年、50周年の記念アートワークも展示されていた。それらの絵が独特の透明感ある色づかいであることを心に留めつつ観て行くと、原画は紙を切り貼りしたコラージュであることに気づく。『はらぺこあおむし』以外の絵本の原画も同様にコラージュで作られているものが多い。

 2章は「思い出を絵本に」というタイトルで、エリック・カールがどのような経緯で絵本作家になったのかがわかる展示となっていた。もともとはデザインの勉強をし、グラフィックデザイナーとして活動していたという。独特の色彩感覚や絵の構成などはデザイナーとして培ったもののようである。絵本のダミーブックを作成するのも、デザインの仕事から来ているのだろう。絵本については最初は絵だけを描いていたようだが、後に自分で物語を書くようになる。つまり自分自身で絵本の原画を描き、物語を紡ぎ、造本までできる人なのだ。

 3章の「遊べる絵本、読めるおもちゃ」も、エリック・カールが制作した数々の絵本の原画とダミーブックが展示されていた。エリック・カールの絵本はページの形や開き方を工夫し、光や音などのしかけを加えた「遊べる本であり、読めるおもちゃ」を目指していたという。1967年に初めて絵本を手がけてから50年に及ぶ活動の中で、約90冊の絵本を作ったそうだ。

 1階に降りて観る4章「エリック・カールのアトリエ」は、スマートフォンやタブレットでの写真撮影は可となっていた。日本での展覧会のために制作されたイラストの複製や、グラフィックデザイナーとして手がけた大丸百貨店のカタログ用のイラストなどが展示されていた。絵本の原画ではない抽象コラージュなどは、アーティストとして制作したものなのだろうか。コラージュを制作するにあたり、エリック・カールは薄紙に絵の具を塗ったものをたくさん用意していたそうだ。独特の透明感ある色彩は、自身でつくり込んでいたのだ。単純に紙やボードに絵の具やインクで絵を描くのではなく、薄紙に色を塗って切り貼りするのだから、かなり手が込んでいる。それが楽しかったという本人のコメントもあり、それがそれぞれの絵本の楽しい雰囲気を醸し出すのだろう。

 エリック・カールの絵本のことも、生涯にわたる仕事のこともまったく知らなかったが、絵本作家としてだけではない数々のアートワークが見られたワクワクする楽しい展覧会だった。
 
参考:
東京都現代美術館ホームページ https://ericcarle2026-27.jp/index.html

会期 2026年4月25日(土)〜7月26日(日)

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