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MVP ESSAYS | 遷移と選択

私たちは人生を「選択」の連続だと考えがちだ。
進学するか。 転職するか。 結婚するか。 挑戦するか。
まるで人生は分岐点の連続であり、その瞬間の決断が未来を決めるかのように見える。

しかし、本当にその分岐点が人生そして未来を決めるのだろうか。
確かに、見える現象としては、「 選択した 」と捉えても不思議はない。
その先にある結果が、選択の後に確認される事実として受け止めるからである。

しかし、私たちは選択の前から既に無数の小さな判断を繰り返している。
その一部が意識化の選択として、「 自分が選択した 」と感じるのである。
もしかすると、その選択もまた、長いプロセスの中で準備されていた結果なのかもしれない。

揺らぎの範囲の選択という意味で言うならば、この瞬間ではない将来的な分岐点、選択肢のための調整としての意味だろう。
そう考えると、人生を変えるのは数度の大きな選択だけではないのかもしれない。
その手前にある、無数の微調整で形作られる遷移の選択において、その土台は、気付かないほど小さな調整の積み重ねによって、少しずつ形作られているのかもしれない。

ある日突然、閃く人がいる。
ある日突然、人生が動き出す人がいる。

確かに後天的な突然変異は、可能性として起こりうると考えられる。
しかし、普通に生活を送る中で、その変化は突然起きたものではない。
その瞬間の手前には、長い時間をかけて形成された状態が存在している。
日々の思考。 小さな試行錯誤。 違和感との付き合い方。 好奇心の向け方。
それらが積み重なった結果として、ある遷移が起きる。


私たちは未来を直接選んでいるのではない。未来の遷移が起きやすい状態を整えているのだ。
だから選択とは、分岐を選ぶことではない。これから先の状態を調整することであると言えると考える。

同じ環境でも、閃き続ける人がいる。新しい挑戦を繰り返す人がいる。
一方で、いつも同じ場所へ戻ってしまう人もいる。
その違いは何なのだろうか。

私は、人にはそれぞれ収束しやすい状態があるのではないかと考えている。
MVP理論では、様々な因子の range によって形成される収束先を「 アトラクタ 」 と呼んでいる。

重要なのは、どのアトラクタを形成するかだ。

閃きが起きやすい状態。
更新が起きやすい状態。
可能性が維持される状態。

そのようなアトラクタを維持できれば、人は自分の持つ可能性をより深く引き出す事ができる。
閃きや更新は、偶然訪れる奇跡ではなく、そうした状態の中から生まれる現象なのかもしれない。

人生の価値は、どこへ到達したかだけでは測れない。
どれだけ自分の可能性が発揮される状態を維持できたか。
その方が、はるかに本質的であり重要だと言えるだろう。

人生を決めるのは、数度の大きな選択ではなく、日々繰り返される小さな調整なのではないか。
その積み重ねが、ある日ひとつの遷移として現れる。

私たちが本当に選んでいるのは、未来そのものではなく、未来が生まれやすい状態なのかもしれない。


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