MVP ESSAYS | Emergent Current

Gold Rush の古いゴーストタウンの画像を眺めていた。
朽ちたホテル。 使われなくなったサルーン。 泥だらけの通り。
そこにはもう誰もいない。
しかし不思議なことに、人の気配だけは残っている。
その町にはかつて何千人もの人が集まった。
金を求めた者。 一攫千金を夢見た者。 家族を養おうとした者。 人生をやり直そうとした者。
彼らは皆、それぞれの理由・それぞれの思い・それぞれの人生の選択としてで西へ向かった。
歴史の教科書はそれを Gold Rush と呼ぶ。
その場にいた人々はそんな名前で生きていたわけではない。
彼らはただ、自分の人生を生きていた。
その時ふと思った。
歴史は最初からそこにあったわけではない。
無数の個人の選択が積み重なった結果として、後から「 歴史 」と呼ばれるようになる。
一人の希望。
一人の決断。
一人の失敗。
一人の偶然。
それぞれは小さな出来事に過ぎない。
しかし、その状態変化が十分に重なった時、人々はそれを「 時代の流れ 」と呼ぶ。
私はその流れを Emergent Current と呼びたくなった。
ー 創発する潮流。-
誰かが作ったわけではない。
誰かが命令したわけでもない。
それでも確かに存在する。
Gold Rushもそうだった。
Woodstockもそうだった。
革命も、技術革新も、社会変化もそうかもしれない。
私たちはしばしば歴史を巨大な出来事として見る。
しかし本当は逆なのかもしれない。
歴史とは、無数の人生が残した波紋の総体なのではないだろうか。
潮流は海の上に現れる。
その海を形作っているのは、ひとつひとつの波である。
