MVP ARCHIVE NASA | Search for Life Phase 02-05 : Titan / 太陽系で最も地球に似た環境を持つ衛星

太陽系で最も地球に似た環境を持つ衛星
土星最大の衛星 Titan( タイタン )は、太陽系の中でも特に生命探査の重要な対象として注目されている。
Titan は、地球以外で唯一、厚い大気と安定した液体の循環を持つ天体である。大気の約95%は窒素で構成されており、その圧力は地球とほぼ同程度である。
一方、地表温度は約マイナス179℃と極めて低く、水は岩石のように凍結している。
しかし、Titan には地球とは異なる「 気象 」が存在する。
地表には液体メタンや液体エタンからなる湖や海が広がり、雲が発生し、雨が降り、川が流れる。
蒸発と降水を繰り返す循環は、地球の水循環によく似た仕組みで成り立っている。
この世界を詳しく調べたのが、NASA と ESA による Cassini-Huygens ミッションである。
Huygens探査機による調査
2005年、Huygens探査機 は Titan への着陸に成功し、丸みを帯びた氷の小石や河川によって形成されたと考えられる地形を観測した。
その後、Cassini による長年の観測によって、湖、海岸線、砂丘、河川網など、複雑な地形が次々と明らかになった。
さらにTitanの内部には、氷殻の下に液体の水からなる地下海が存在する可能性も強く支持されている。
このような環境は、生命の材料となる有機化学や、生命が成立する条件を考える上で極めて重要な研究対象となっている。
現在分かっていること
Titan には厚い窒素大気があり、液体メタン・エタンによる気象循環が存在すること、そして多様な有機化合物が形成されていることである。
科学的な解釈として、Titan は初期地球とは異なる条件で有機化学がどのように進むのかを調べることができる、天然の実験場であると考えられている。
また、地下海の存在が事実であれば、生命が存在できる環境について新たな知見をもたらす可能性もある。
現在まで生命は発見されておらず、生命活動を示す確かな証拠も確認されていない。
Titanは、「 生命がいる世界 」として注目されているのではない。
生命が成立する条件とは何か、有機物はどのように進化するのかという根本的な問いを探るための、太陽系でも最も重要な自然実験室の一つなのである。
