探検記と戦争記は、いつの時代も動く
古書店をやっていると、
「これは、いま動く本なんだろうか」と
立ち止まることがあります。
今回の主役は
『現代世界ノンフィクション全集』(筑摩書房)。
全集もの。
正直、主役ではない。
でも、なぜか、たまに売れる。
というわけで今回は、
「売れた事実」から、
需要を探ってみようのコーナーです。
1|とりあえず、売れたタイトルを並べてみます
まずは、細かいことを考えず、
実際に売れた巻のタイトルを並べます。
ゴビ砂漠探検記
世界の屋根を越えて
ベドウィンの道
中央アジア探検記
白ナイル
シベリアの密林を行く
史上最大の作戦
スターリングラード決戦記
真珠湾攻撃
ミッドウェイ海戦
サイパン日記
ナイフの夜は終わった
ポツダムからモスクワまで
ベルリン日記
こうして見ると、
なかなか強めのラインナップです。
2|共通項を探ってみます
少し整理してみます。
探検
戦争
作戦
決戦
日記
地名がタイトルに出ている
共通しているのは、
すこし日常とはかけ離れた世界観の話という点です。

評論や研究書ではなく、
現場に行き、体験し、記録した話が多いです。
全集ですが、作家名よりも
「何が書いてあるか」が前に出ています。
ここは、ひとつのポイントだと思います。
3|どういうふうに興味を持たれたか、想像してみます
購入した人の気持ちを、少しだけ想像してみます。
文庫だと少し軽い
学術書だと少し重い
でも、ちゃんとしたノンフィクションが読みたい
もしかしたら、その中間に、この全集があるのかもしれません。
価格は手頃。
函付きで、少し硬派。
タイトルが具体的で強い。
「全集を集めたい」ではなく、
「この話が読みたい」。
たぶん、そういう選ばれ方だと思います。
たとえば──
「ゴビ砂漠探検記」
紀行文が好き。
昔の探検ものを何冊か読んでいる人。
文庫だと軽すぎるのは、もう知っている。
新書ほど説明はいらない。
現場の話を、ある程度の分量で読みたい。
だから、この巻を手に取った??
「スターリングラード決戦記」
戦史に興味はあるが、専門書までは追わない人。
新書は一通り読んだ。
でも、出来事の輪郭だけで終わっている感じが残った。
個人の視点で、もう一段深い記録を読みたい。
文庫では足りない。
ハードカバー一冊分なら、ちょうどいい。
そう判断して、この巻を選んだ??
のような印象かもしれません。※想像です。笑
まとめ|全集なのに、単品で動きます
今回見えてきたことです。
全集=まとめ買い需要、とは限らない
テーマが強い巻は、単品でも動く
探検・戦争・極限体験は、時代を超えて読まれる
地味ですが、確実に手に取られる層は存在します。
この全集は、
これからも、「たまに」売れ続けるのだと思います。
