没落の旋律
この物語は、没落史観を、企業の衰退と再興という形で表現しました。
序章:黄昏色の記憶
夕焼けが桜井電機の巨大な工場を赤く染め上げる。
真琴は、その光景を何度も何度も見てきた。幼い頃から、この工場は彼女にとって特別な存在だった。祖父、桜井源太郎が一代で築き上げた、日本の経済成長を象徴するような場所。
真琴にとって、祖父は英雄だった。
戦後の焼け野原から立ち上がり、独創的な発想と不屈の精神で桜井電機を世界的な企業へと成長させた。幼い彼女を膝に乗せ、技術の重要性、挑戦することの大切さを熱く語る祖父の姿は、今も鮮明に焼き付いている。
しかし、今、目の前にある工場は、どこか寂しげだ。
かつては活気に満ち溢れ、夜遅くまで機械音が響き渡っていた場所も、今は静まり返っている。リストラの嵐が吹き荒れ、多くの従業員が職を失った。
「真琴、お前には桜井の血が流れている。この会社を立て直してくれ」
祖父の言葉が、真琴の胸に重く響く。
大学で工学を学び、満を持して桜井電機に入社したものの、彼女は何もできなかった。旧態依然とした組織、変化を恐れる人々、そして、過去の栄光にすがろうとする上層部。
明日、桜井電機は倒産する。
ここから先は
3,048字
/
1画像
¥ 100
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで
ご支援ありがとうございます いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!
