英語は音から|「英語のまま分かる」って、どういうこと?|小学生のうちに育てたい、英語を聞いて場面が浮かぶ力|#11
小学生の英語は、音から。
『Sounds to Stories』のMinnieです。
この連載では、音から始める「小学生の英語の土台づくり」について考えています。
今回のテーマは、英語を「英語のまま分かる」ということ。
小学校高学年は、中学英語に備えて、家庭でも何か始めたいと考える時期ではないでしょうか。
単語帳や英語アプリなら、気軽に取り組めそう。でもそれで身につくだろうか。
「楽しい」だけの英語教材は、もう合わない。でも「勉強」っぽいことは、嫌がりそう。
英語には、単語や文法を覚える「知識としての英語」だけでなく、音を聞いて意味を受け取り、場面を思い浮かべる「ことばとしての英語」もあります。
一般に「英語脳」や「英語回路」と呼ばれるのも、英語と意味が、日本語を介さずに結びついていく状態です。
これは、特別な能力ではありません。
ごく易しい英語なら、英語を始めたばかりでも、英語を聞いたり読んだりしたとき、日本語に訳す前に、場面や動きを頭に浮かべることができます。
今回は、『Bears in the Night』という一冊を例に、家庭でどのようにその経験をつくれるのかを考えます。
1|中学英語の前に、「英語から場面が浮かぶ」経験を
英語を理解することは、日本語に訳すことだけではない
そもそも、英語が分かるとは、どんな状態でしょうか。
単語の意味が分かる。
文法を説明できる。
英文を日本語に訳せる。
どれも英語を学ぶうえで役に立ちます。
けれども、別の受け取り方もあります。
英語を聞いたとき、日本語に置き換えるより先に、場面や動きが浮かぶ。
たとえば(下のイラストをご覧ください)、
塀を越える。何かの下をくぐる。何かのまわりをぐるっと回る。
英語の音声を聞きながら、頭の中でその場面を追っていく。

これも、英語を理解するということです。
自分のことば(母語)では、当たり前にやっていることです。
英語を「ことば」として使うとき、いつも日本語に訳しているわけにはいきません。
相手の声を聞いて、その意味を受け取り、その場で反応します。
その土台になるのが、英語の音から直接、意味や場面を受け取る経験です。
易しい英語なら、始めたばかりでも「英語のまま分かる」
英語を「英語のまま分かる」と聞くと、
・ 幼少期から英語に触れてきた子ども
・ 英語力の高い人
だけができることのように感じられるかもしれません。
けれども、英語のまま分かるかどうかは、ゼロかイチかではありません。
難しい英文は、日本語の助けがなければ理解できない。
でも、ごくやさしい一文なら、音からそのまま意味が分かる。
そのようなことは、英語を始めたばかりの小学生にもあることです。
たとえば、絵の中で、クマが木に登り、「up a tree」という音声が聞こえたとします。
そのとき、子どもは、
up は「上へ」tree は「木」
と一語ずつ、日本語に置き換えているとは限りません。
絵を見て、英語の音を聞き、クマが木を登っていく場面をそのまま受け取っていることもあると思います。
このように、日本語に置き換えなくても分かる小さな部分が、「英語のまま分かる」領域の始まりです。
とはいっても、一つの表現がそのまま分かることと、絵本のすべてを「英語だけ」で理解できることは別です。
最初から全部を英語だけで理解しようとする必要はありません。
本人にとって十分に易しい英語を使い、日本語に訳さなくても分かる部分を、少しずつ増やしていけばよいのです。
2|絵を手がかりに「英語から場面が浮かぶ」読み方
親が英語を教える必要はない
家庭で取り組むとき、親が英語を自分で読んで聞かせたり、意味を一つひとつ教えたりする必要はありません。
大切なのは、日本語で意味を教えることよりも、聞こえてくる音と、絵本の中の場面を結びつけ、「英語を英語のまま受け取る」経験をつくることです。
音源を聞きながら絵本を開き、聞こえてくる英語と、絵の中の動きを親子で一緒に追っていきます。
『Bears in the Night』で、英語の音と場面を結びつける
このような取り組みは、英語を始めたばかりの小学生にもできます。
その最初の一冊として、まずこちらを挙げたいと思います。
Bears in the Night
Stan and Jan Berenstain (1971)
Level D|36ページ
Random House Bright & Early
Out of bed.
To the window.
At the window.
Out the window.
by Stan and Jan Berenstain (1971)
この絵本では、クマたちの動きが、ほぼ一つずつ絵に描かれています。
このため、日本語に訳さなくても、聞こえてくる英に合わせて、物語の流れが追いやすいのです。

絵を手がかりにし、英語の音と場面を結びつける。
↓
くり返し聞いているうちに、少しずつ、英語の音を聞くだけでも、クマたちの動きが浮かぶようになる。
そんな読み方の最初の練習に適した絵本だと思います。
こちらは公式の絵本動画です。
まずは音源を聞きながら、絵を一緒に眺めてみてください。
教材ではなく「物語」だから繰り返し楽しめる
子どもが英語絵本を読むとき、英文が易しいだけでは足りません。
子どもが「もう一度読みたい」と思えることも大切です。
上述の『Bears in the Night』は、「教材」ではなく、長く読み継がれてきた名作絵本です(1971年初版)。
英語圏では幼児向けの絵本ですが、英語は易しくても、展開にはユーモアがあって、幼稚すぎず、「作品」として楽しめる一冊だと思います。
Berenstain Bears(ベアレンステイン・ベアーズ)には、ほかにも、絵を手がかりに、易しい英語で楽しめる作品があります。
以下にご紹介します。
Big Bear, Small Bear
Stan and Jan Berenstain (1998)
100L | Level E|32ページ
Random House Step-into-Reading
Bears on Wheels
Stan and Jan Berenstain (1969)
BR40L | Level D|32ページ
Random House Bright & Early/Step-into-Reading
Old Hat New Hat
Stan and Jan Berenstain(1970)
30L|Level H|36ページ
Random House Bright & Early Books
Inside, Outside, Upside Down
Stan and Jan Berenstain(1968)
120L|Level E|36ページ
Random House Bright & Early Books
3|たくさん読む前に、まず一冊を繰り返す
分かった絵本を繰り返すから、音と意味が結びつく
絵本というと、できるだけたくさん読んだほうがよいと思われるかもしれません。
でも、英語を始めたばかりの時期は、冊数を増やすことよりも、まず一冊を反復することをおすすめします。
何度も音声を聞きながら、英語の音だけで、場面が思い出せるようにしていきます。
そして、耳になじんだところで、一緒に声に出してみます。
最初から、全部を読もうとせず、短く、言いやすいところだけでも十分です。
意味の分かっている英語を聞いて、自分の声でまねて言ってみます。
この繰り返しによって、英語の音、語順、意味が、一つのまとまりとして残っていくと思います。
一冊ずつ、「英語のまま分かる領域」を広げていく
英語を「英語のまま分かる」ことが、すべての英文を日本語なしで理解できることと考えてしまうと、苦しくなります。
この一文なら、英語のまま分かる。
この絵本なら、音を聞いて場面が浮かぶ。
この表現なら、日本語に直さなくても意味が入ってくる。
そのような領域を、少しずつ広げていくことを目指せば良いと思います。
一冊の絵本を繰り返し、英語の音と物語が結びついたら、次の一冊に進みます。
次の絵本で、聞いたことのあることばにもう一度出会う。
そんな経験を重ねるうちに、英語の音から意味を受け取れる範囲が、少しずつ広がっていきます。
中学の英語学習を控えている小学校高学年の家庭が、小学生のうちに、単語や文法を増やすことを急ぐ気持ちも分かりますが、小学生には小学生だからこそできる経験があります。
英語の「知識」とは別に、音と場面が自然につながる経験。
その物語を、英語のまま味わう経験。
そんな経験を家庭で一つずつ積み重ねていくことが、実は、中学で英語が「勉強」になる前に、小学生の今のうちにできる、いちばん価値のある取り組みではないかと、私は考えているのです。
お読みくださりありがとうございました。
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「小学生におすすめの英語絵本」に関する過去記事です
「乳幼児時期の英語の受け取り方」について書いた記事です
(今回の記事は、こちらの小学生バージョンでした)
日本語を添えながら英語絵本を読んでいる音声です
(一つの英語絵本を反復練習する場合は、この日本語の補足部分を、少しずつ減らしてくイメージになります)
