英語は音から|小学校英語を「音だけ」で終わらせない、フォニックスの基本7つ|#10
小学校英語では、聞く・話す活動を通して、英語の音声や基本的な表現に慣れ親しむことが大切にされています。
一方で、中学英語に進むと、単語のつづりを覚えたり、教科書の英文を読んだり、文法を学んだりと、文字を使った学習が一気に増えます。
せっかく小学校で「音から」英語に触れてきたのに、中学入学後に、単語暗記や文法学習に追われ、音に向き合う余裕がなくなってしまうのは、本当にもったいないことです。
小学校で「音から」始めた英語を、中学・高校の英語学習にムリなくつなげるには、聞いて知っている音を、丁寧に文字に結びつけていくステップが欠かせません。
その橋渡しになるのが、フォニックスです。
前回は、小学校英語の家庭学習として、お手本の音声を聞き、まねして声に出す「音の練習」を紹介しました。
英語の音に少しずつ慣れてきたら、次に取り組みたいのが、「音」と「文字」を結びつけるフォニックスです。
今回は、教科書の単語や英文を自分で読むために、家庭でプラスしたいフォニックスの基本7項目を提案します。
各項目には、すぐに音声を確認できる Starfall などのリンクも入れています。
小学校英語を家庭で少しサポートしたい方や、細々と「おうち英語」を続けている方に向けて、取り入れやすい形で整理してみます。
※トップ画像は、10年前、Minnie家で使用していたフォニックス系ワークブックです。
小学校英語×フォニックスの考え方
まずフォニックスとは
フォニックスとは、英語の文字と音の対応を学び、その知識を使って単語を読めるようにする学習法です。
例えば、apple、cake、car には、どれも「a」が含まれていますが、「a」はいつも同じ音で読むわけではありません。前後の文字やつづりのパターンによって、読み方が変わります。
また、文字と音を結びつけるときに、一つひとつの音に意識を向けることになるため、英語の音の特徴に気づきやすくなります。
そのため、読むための学習であると同時に、外国語として学ぶ子どもにとっては、英語の音を聞き分けたり、発音を見直したりするきっかけにもなります。
学校では、フォニックスを習う?
小学校英語でも、音声で知っている語句を文字と結びつける活動はあります。
ただ、文字と音の対応を使って、自分で単語を読むことを、順序立てて練習するものではありません。
なので、家庭で基本を確認しておくと、授業で聞いた単語のつづりを確かめたり、教科書の英語を自分で読んだりするときに、大きな助けになります。
全部やろうとせず、早めに音読へ
英語圏のフォニックス教材を見ると、項目の多さに驚くかもしれません。
文字を初めて学ぶ子どもが学校で時間をかけて取り組む内容になっているためです。
英語を外国語として学ぶ、すでに日本語で読み書きができる、日本の小学生(3年生〜6年生)が、すべての内容を同じように取り組む必要はないと思います。
まずは、学校英語でよく使う基本を押さえ、早めに易しい英文の音読に進み、実際に、読みながら定着させていきます。
フォニックス、7つの基本
学校英語で英語を始めた小学生は、フォニックスをどこまで学べばよいでしょうか。
超シンプル英語習慣『Sounds to Stories』では、まず次の7項目を基本とします。
短母音と子音 / short vowels and consonants
子音ダイグラフ / consonant digraphs
子音ブレンド / consonant blends
長母音と開音節 / long vowels and open syllables
マジックe / magic e
r のつく母音 / r-controlled vowels
母音チーム / vowel teams
進め方
全部を一度に覚える必要はありません。
まずは、代表単語の音声を聞いてまねをし、「つづり・ 音・代表単語1つ」のセットで結びつけます。例えば、sh ならshop、ee なら see です。
細かい口の形を最初から覚えようとするより、まずはお手本音声をよく聞き、同じ音を出そうとすることを大切にします。
前回の「音の練習」の記事でも書いたとおり、英語の音のお手本は、発音記号ではなく音声です。
発音記号やフォニックス用語を一部使っていますが、これは保護者向けの補足です。子どもが覚える必要はありません。
目指すこと
同じつづりを別の単語で見たときに、「あの単語と同じ音かも」と気づき、一つひとつの音をつないで、自分で読み方を考えられることを目指します。
音声教材について|Starfallですぐ試せます
手元にフォニックス教材がある場合は、対応するページや音声を活用してください。
この記事では、教材がなくてもすぐに試せるように、各項目に Starfall などの音声リンクを入れています。
Starfall は、音を聞きながら、文字と音の対応をインタラクティブに学べる老舗サイトです。一部無料で提供されているアクティビティは、親子で試してみる入口として便利です。
それでは、7項目を一つずつ見ていきます。
Core 1|短母音と子音
|Short Vowels and Consonants
しくみ
アルファベットには、文字の名前とは別に、単語の中で使われる音があります。まずは、短母音( a・e・i・o・u )と子音の基本の音に慣れます。
短母音 代表語
a apple、cat / æ /
e egg、pen / ɛ /
i in、pig / ɪ /
o on、hot / ɑ / (アメリカ英語)
u up、bus / ʌ /
特に意識したい子音
l like、long
r red、run
f five、fun
v very、visit
気をつけたい点
短母音を、日本語の母音やローマ字の読み方に置き換えないように注意します。子音は、日本語にない音や、日本語の似た音と混同しやすい音は、特に意識して聞きます。
音声の例
Starfall interactive ABCs (1文字ずつ、字+音、手話つき)
Starfall Phonics Song(ABC順、音+代表語、スクリプト)
Cambridge Dictionary の発音ページ (1文字ずつ、字+音+代表語)

音をつなげて読む|ブレンディング
短母音と子音は、CVC単語を使って、音をつなげて読む練習へ進みます。CVCとは、子音(C)+短母音(V)+子音(C)の形です。
例えば cat なら、c・a・t が表す音を順につなげて、「cat」と読みます。
これをブレンディング(blending)といいます。
音声の例
Starfall Word Machines (ブレンディングの練習)

Core 2|子音ダイグラフ:まずは sh / ch / th
|Consonant Digraphs
しくみ
子音ダイグラフとは、2つの子音文字が並んで、1つの音を表すつづりです。
子音ダイグラフの代表単語
sh she、fish
ch chair、lunch
th three、mouth 無声音 /θ/
th this、that 有声音 /ð/
気をつけたい点
「th」には、thank のように声を出さない音(無声音)と、this のように声を出す音(有声音)があります。
「sh」を s のように読んだり、「th」を s や z のように発音したりしやすいため、お手本音声をよく聞き比べます。
音声の例
Starfallのアクティビティ: 「sh」|「th」|「ch」

Core 3|子音ブレンド
|Consonant Blends
しくみ
子音ブレンドとは、複数の子音が並び、それぞれの音を残したまま、続けて発音する(ブレンドする)組み合わせのことです。
例えば、blue では /b/ と /l/ の音を続けて発音します。
子音ブレンド
bl blue pl play tr tree dr drink st study sp sport str strong
気をつけたい点
日本語話者は、子音の間や後ろに母音を入れやすい傾向があります。
例えば、blue や drink では、日本語の「ブルー」、「ドリンク」のように発音すると、英語にはない母音が聞こえることになります。
子音を一音ずつ切らずに、子音の後ろに「ウ」や「オ」が入らないように、そのまま次の子音へなめらかにつなげることを意識します。
Core 4|長母音と開音節
|Long Vowels and Open Syllables
しくみ
母音の字(a, e, i, o, u)を「アルファベットの名前(letter name)と同じ音で読む」場合を、「長母音」といいます。
母音の字で終わる音節を「開音節」といいます。開音節では、その母音を長母音で読むことがあります。
長母音は、短母音を長く伸ばした音ではありません。
例えば go の o は、日本語の「オ」を長く伸ばして「オー」と読むのではなく、アルファベットの名前と同じ/oʊ/「オウ」と読みます。
長母音で読む開音節
e he、me、we
i hi
o go、no、so
ただし、to や do のように、この読み方に当てはまらない単語もあります。
開音節を知っていると、学習が進んだとき、より長い単語を読むときにも役立ちます。例えば、robotの最初の音節 ro では、o を長母音で読みます。
Core 5|マジックe
|Magic e
しくみ
単語の最後に e がつくと、その前の母音が、長母音になることがあります。
最後のeは、通常は発音しません。
マジック e
a_e name、cake
i_e time、like
o_e home
u_e cute
短母音の単語と比べると、ルールを理解しやすくなります。
cap → cape
kit → kite
ただし、have、give、come など、このルールに当てはまらない単語もあります。
音声の例
Starfall Long a|Starfall Long i|Starfall Long o

Core 6|r のつく母音
r-Controlled Vowels
しくみ
母音の字の後ろに r が続くと、母音単独とは異なる音になります。
母音と r を切り離さず、一つの音のまとまりとして聞いて、まねをします。
r のつく母音
ar car、park
er her、term
ir bird、girl
ur nurse、turn
or sport、short
er・ir・urは、強く読む音節では、つづりが違っても、同じ音になることが多くあります。
アメリカ英語とイギリス英語では、母音の後ろの r の聞こえ方が異なることがあります。まずは、使用している教科書や教材の音声をお手本にすれば十分です。
音声の例
Starfall Learn to Read arの練習|orの練習|er/ir/usの練習

単語の発音を確認したいときは、やはりオンライン辞書が便利です。
Cambridge Dictionary (代表語の発音確認に)
(USのスピーカーアイコンを押すと、アメリカ英語の発音が聞けます)
Core 7|母音チーム:まずは ee / ea / oo / ai
|Vowel Teams: ee, ea, oo, ai
しくみ
2つの母音文字が並び、1つのまとまった母音を表すつづりです。
まずは、小学校英語でもよく目にする ee、ea、oo、ai を優先します。
母音チームの例
ai rain、train
ee see、green
ea eat、tea
oo book、good
oo moon、school
気をつけたい点
同じ oo でも、book と moon では読み方が異なります。
つづりだけで一つの音に決めず、代表単語と音声をセットで確認します。
音声の例
Starfall Learn to Read
Cambridge Dictionary phonetics page (英語・米語)

まとめ
今回は、小学生が自分で英単語を読むために、まず押さえたいフォニックスの基本7項目を紹介しました。
フォニックスの目的は、ルールそのものを覚えることではありません。
文字と音の対応を手がかりに、一つひとつの音をつないで、「自分で読んでみよう」と思えるようになることです。
基本が少しずつ分かってきたら、フォニックスだけを続けるのではなく、教科書などの易しい英文を声に出して読みます。
単語の音を確認する練習から、英文全体のリズムやイントネーションを感じながら読む練習へ、少しずつ「自分で読めた」という経験を増やしていくと、自信につながります。
お読みくださりありがとうございました。
次回は、絵本を使った音読を取り上げる予定です。
